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絵じゃないかおじさんぐるーぷ
イモンガーの家は、羅城門の西の方にある湿地帯の傍の安普請のバラック小屋だった。同僚と喧嘩でもしたのか、住み込み生活から足を洗っていた。40も越えると、さすがに厚顔な奴といえども、部屋住みは気が引けるのだろうか?
それにしても不潔極まりない。こんな奴に、「食べ物商売」やらして大丈夫かいなあ? 少々心配になってきた。
その夜は、センティからのリース顔を飛ばし、イモンガーに暗示を掛けるだけにした。もちろん、この術はサヤカに頼む。私たち二人は、隙間から覗いていた。
{五位の者よ、目覚めよ。わらわは、六波羅の観音じゃ}
イモンガーは、せんべい布団を跳ねあげて飛び起きた。眠る時まで熟睡できないらしい。可哀相にもう何もかも小心に出来ている。この私そっくり。首観音を見て、頭を板の床につけ、両手を合わせて、観音経を唱え始めた。
つづく
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