絵じゃないかおじさん

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仮想はてな物語 「万葉おおみわ異聞」  28/34

2015-12-23 07:17:10 | 仮想はてな物語 
  copyright (c)ち ふ



 (これ以上のことは出来ない。
  雪香の裸を見るだけでもよかったのだ。
  裸のまま抱き合って口あわせ出来るなんて、
  オレはもう大満足。
  雪香のしとやかな黒髪を敷いて、一緒に寝られるだけで、
  もうこれ以上の幸せはないのだから。


  魂合わせの喜びよ。
  これが、夢に見続けていた雪香の手枕か。
  月の神よ、ゆっくり夜の空を渡って欲しい。
  それにしても、恋というものは尽くしきれないものだ)


 お母さん、私にいつも言っている。
 もう耳にタコが出来るくらい。男には気をつけよって。
 私は、四郎太さんと絶対結婚するわ。
 だから、何をしてもいいの。
 もし、結婚出来なくってもいい。
 四郎太さんと結婚できないのなら、私一生ひとりで暮らすわ。
 たった一人の、私の私だけの男の人。


 (雪香が何もかも投げ捨てて、オレに尽くして
  くれようとしている。
  オレは、それに応えなければならない。
  幸せにしてやりたい)


 四郎太さんを感じるわ。
 乳房や脇腹で。
 もう恥ずかしくて、恥ずかしくて。
 でも、とっても幸せ。
 この幸せ、百世、八千年も続けば、いい。


 (朝鳥も鳴き始めた。
  夜の早く明けること。
  あっという間に時間が過ぎた。
  雪香と過ごす時の流れの速いこと!

  しかし、この後には長い長い虚ろな時間が打ち続くのだ。
  餌を集める蟻のように通いたいものだが)

{もう、帰るの?
 お仕事にゆく時間なのね。
 少しも寝ていないのに大丈夫?}



                              つづく

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