copyright (c)ち ふ
一目見た時この人だわと感じたの。
私が捜していた人は、この人に違いないと思った。
あの人は、空ばかり見上げていた。
私が、話しかけると、口の辺りを指差して首を横に振った。
ああ口が不自由だったのね。
悪いことをした。
あの人は、私に手の平を出すように合図してきたの。
それで私が左の手の平を差し出すと、
顔を紅葉葉のように真っ赤に染めながら、
それはそれはゆっくりと手文字を書いてくれた。
震えているようだった。
その仕草がとても可愛くて印象的だった。
あの人の指先はとても冷たかった。
けれども、手先の冷たい人は心が暖かいというわ。
きっと、あの人も優しくて暖かい人に違いないわ。
あの人が書く一文字ごとに背筋にビクッビクッと雷が走ったの。
そのお話が楽しくて楽しくて仕方なかった。
あんなに楽しい時間を過ごしたことはなかったわ。
雨が上がっていたのも気がつかなかった。
つづく
一目見た時この人だわと感じたの。
私が捜していた人は、この人に違いないと思った。
あの人は、空ばかり見上げていた。
私が、話しかけると、口の辺りを指差して首を横に振った。
ああ口が不自由だったのね。
悪いことをした。
あの人は、私に手の平を出すように合図してきたの。
それで私が左の手の平を差し出すと、
顔を紅葉葉のように真っ赤に染めながら、
それはそれはゆっくりと手文字を書いてくれた。
震えているようだった。
その仕草がとても可愛くて印象的だった。
あの人の指先はとても冷たかった。
けれども、手先の冷たい人は心が暖かいというわ。
きっと、あの人も優しくて暖かい人に違いないわ。
あの人が書く一文字ごとに背筋にビクッビクッと雷が走ったの。
そのお話が楽しくて楽しくて仕方なかった。
あんなに楽しい時間を過ごしたことはなかったわ。
雨が上がっていたのも気がつかなかった。
つづく
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます