凛太郎の徒然草

別に思い出だけに生きているわけじゃないですが

旅の移動手段 その4 鉄道全般

2007年10月31日 | 旅のアングル
 世の中には鉄道マニアと呼ばれる一群の人が居て、それぞれ車輌派、模型派、蒐集派、時刻表派などと分派して隆盛である。これだけ鉄道が廃止の憂き目に遭ってもまだまだ頑張っている。この廃止という流れの中で、さらに「廃線跡派」なども出現しているらしい。
 僕は残念ながら鉄道を移動手段としてしか考えることが出来ずに全然マニアの域に達しない。ただ時刻表派には憧れを持つ。せめて「旅行が好き」と公言するからには、時刻表の見方くらいは精通したい。しかし当方は数字の羅列を見ると頭痛がしてくる方で、「時刻表は見るものではなく読むものだ」という達人たちの言葉にただ恐れ入るばかりである。自分で努力もせずに羨ましいなとだけ思う。
 昔よく中学生くらいの旅行者と同宿したりした。そういう彼はたいてい時刻表に強い。宿の2段ベッドの上で「ちきしょう接続がないぜ」と独り言をブツブツ言っていたりする。僕はと言えば、「ここはどうやって行くといい?」と聞くばかりである。たいていは掌を示すかのように丁寧に教授してくれる。何番線に何時に入るから、ここらへんで待っていればいい。こっちも旅のベテランを自負していたのに形無しである。こっちも負けずに分厚い時刻表を持参したこともあったが、当該月のものでないために臨時列車を逃したりする。
 もう最近では達観して諦めた。時刻表も重いので携行しない。駅に行ってざっとメモして済ましている。それでもなんとか事足りている。もはや長い時間もとれる若者でなくなり、旅行はピンポイントであるために自由度も減ったことが原因ではあるのだが。

 さて、周遊券も主たるものは廃止され、わずかにゾーン券とかよくわからない周遊きっぷにとってかわられてしまい、自由度が少なからず失われ利用者としてはちょっとしんどくなった。それでも旅には出なくてはいけない。きっぷの種類が変わったところで諦めるわけにもいかないのだ。
 時間の無い旅行者にとって、新幹線というのは有難い乗り物である。新幹線網というものも昨今全国区になり、こんなところにまで新幹線が伸びているのか、と隔世の感がある。
 しかしながら、僕はやむを得ない場合を除いて、プライベートで新幹線を利用することはあまりない。もちろん貧乏だから、というのもあるが、どうも新幹線に乗ると出張しているような感覚にとらわれてしまう。一時期僕は毎週のように新幹線に乗らざるを得なかった時期とかがあり、どうもストレートに旅情が浮かばない。なので必要最低限にしている。朝一番で新幹線で動くより、前日から夜汽車に乗ったほうが何故か気持ちが盛り上がる。学生時代の貧乏旅行の後遺症かもしれないが。
 昔はもちろん新幹線など全然乗らなかった。乗るときはある特定の手段として乗った。
 新幹線には、特急乗継ぎ割引きという制度がある。新幹線から在来線特急に乗継ぐ(または逆)の場合、在来線特急料金が半額になる。そのため、ちょっとだけ新幹線に乗って特急料金を半額にするのだ。関西から東北方面へ行く際に、かつて大阪~青森間を特急「白鳥」が結んでいた。この乗車時間13時間に及ぶ特急に乗るため、新大阪~京都間だけ新幹線に乗るのだ。さすれば京都~青森間が乗継ぎとなって特急料金(指定席も)が半額になる。新幹線料金を勘案してもこうした方が特だった。
 今では最長特急白鳥も廃止され、こんなワザを使う人などいないだろうが、もしかしたら豪華寝台列車「トワイライト」もこの手で半額にならないだろうか。しかしトワイライトに乗る客がこんなセコい手を使うとは考えられないが。
 こういう乗継ぎ割引や往復割引などの「いかにしてオトクに列車に乗るか」の方法は様々なものがあるだろう。企画切符なども見逃せない。今はネットがあるのでこの手の情報は溢れているので嬉しい。
 国鉄(現JR)には料金体系に「遠距離逓減制」というものがあり、運賃は基本的に、長距離で利用するほど安くなる。なので大阪~東京~仙台の場合、大阪東京と東京仙台を別々で買うよりも通しで買った方がずっと安い。東京は途中下車という形にすればいいのである。もちろん行程全て列車なら往復割引もあるので全部いっぺんに購入したほうがいい。
 さて、これは時間がある人用の遊びであるが、「遠距離逓減制」を考えると、片道切符を仕立てて買えばもっと安くなる。片道切符になるための条件は「同じ駅を通らない」ことだけであるので、さまざまに工夫して設定する。僕は一例を以前山梨県の旅で書いたことがあるが、繰り返すと京都~東京間移動に、奈良線→関西本線→東海道線で東京に行き、帰りは中央本線→太多線→高山本線→東海道線で戻ってくるという長野廻りの切符を設定した。距離は延びるが単純に京都~東京を往復するよりずっと安い。こんなことは今ではとても出来ないことなのだが、実際乗ると楽しい。安さ以上のものが還ってくる。

 各種フリー切符はまだまだあるが、全国を網羅した乗り放題切符というものはもう種類がかなり限定されてしまった。その中で、ただひとつ生き残って気を吐いているのは、もちろん「青春18きっぷ」である。日本全国の普通・快速列車乗り放題で5日間有効、現在で11500円である。これについてはもう詳細をここで書くのもなんなのだが、この18きっぷ、知られているようで知らない人は全然知らない。細かなことを書くことは僕の筆に余るので言及しないが、同様の切符に「北海道&東日本パス」などがあることはもっと知られていない。
 僕は18きっぷの愛好者で、毎シーズン購入するとまではいかないが結構使っている。夜行列車を組み合わせるとかなり使いでがあり、例えば福岡県の旅で書いたようにうまく使えば相当楽しい。日本全国というのがミソで、時間さえあれば利用しがいがある。春にうちの妻は、一緒に鎌倉に行った折りに一人だけ18きっぷを利用して帰ったのだが(僕は事情で新幹線)、茅ヶ崎から深夜0時を過ぎて列車に乗り小田原で夜行快速「ムーンライトながら」に乗り換え、そして東海道線をまっすぐにうちに帰ると思いきやそのまま我が家を乗り過ごして岡山、そして四国へ渡って坂出、宇多津でうどんを三杯食べてから帰路についたと言う。神奈川から香川経由で兵庫県か。そういう使い方も出来る。それだけ乗っても2300円。
 かつて大垣鈍行(ガキドン)、上諏訪鈍行が一世を風靡した時代から(「のびのびきっぷ」時代ね)18切符は使い続けているが、使いやすくなったところもあれば使いづらくなったところも。夜行列車は臨時を含めれば利用できるのは増えたのではないかと思う。また当時のボックスシート(直角椅子)ではなく多少リクライニングする座席を使用してくれているのもいいところ。
 だが、全体的には使える列車が徐々に減っている(路線が減っている)のも確かなのだろうか。北海道などの廃線については言わずもがなだが、新幹線運行開始により在来線が第3セクターとなり使用できなくなった路線(しなの鉄道やIGRいわて銀河鉄道~青い森鉄道などが致命的)、それに青函トンネルは特急列車しか走らせなくなったことで実に渡道しにくくなった(最もこの区間は特例で18きっぷでも特急に乗れるが、蟹田~木古内間だけのためダイヤが不便)などの不自由な部分が徐々に出てきている。どうして角館には在来線ではあんなに行きにくいのか。
 個人的に思うのは、昨今普通列車の旅に旅情を見出しにくくなっているなと感じること。それは列車の種類によるのだとも思う。普通列車車両は、東海道線などの幹線ではまだ向かい合わせのボックスシートも多いし、快速他は特急型の前向き式クロスシートだが、地方に行くとどうもロングシートばかりになってきた。近郊型車両である。これはつまらない。何がつまらないと言って車窓風景が見難い。そして飲食がしにくい。ローカル線に乗れば駅弁を広げビールの一本も開けたいところであるのに、ロングシートでは如何ともし難い。あの座席で酒呑んでいたらなんだかアル中に見えてしまう。
 それでも18きっぷは魅力がまだまだあるので今後も使い続けるとは思うけれども。基本的に列車に乗るのが好きなのである。

 JRの話ばかり書いているが、私鉄にももちろん乗る。関西近郊私鉄は僕にとっては旅行とも言い難いが、近鉄などは広大な路線を持っていて「週末フリーパス」などはかなり使いでがあるのではないか。伊勢志摩旅行に「まわりゃんせ」などは相当にトクな切符で、これを利用しない手はない。
 首都圏の私鉄で旅情を感じることなどは難しいことなのだが、全国にはローカル私鉄はいっぱいあり、旅の足として使うだけでなくその電車に乗ること自体が楽しみにもなったりする。江ノ電なんかは乗るだけで楽しいのはよく知られているところ。
 そのローカル私鉄の中で最も旅情を強く感じるのは、各地に残る路面電車だろう。これこそローカルそのものである。
 僕は路面電車第一号の街、京都の生まれで昔は事あるごとに乗ったものだが、市電が自動車に圧されて廃止されて久しい。京阪京津線も地下に潜り、僅かに京福電鉄にその姿を残すのみ。かつて全国67の都市で走っていた路面電車だが、今では北は札幌から南は熊本、鹿児島まで16都市だけとなってしまった。この中で僕は東京(都電荒川線、東急世田谷線)と豊橋(豊橋鉄道)以外は全部乗ったが(全路線ではない)、いずれも地元の人の足であり風景以上にローカル色を楽しめる。
 函館、広島、高知、松山など実に楽しいが、白眉は長崎ではないだろうか。一回の乗車100円という安さもさることながら、一日乗車券が500円という素晴らしさ。これで、浦上・平和公園からグラバー園まで長崎の主だった観光名所にはほとんど行ける。5回乗らないと元が取れないが(そもそも運賃が安すぎるので)、本気で長崎観光をしようと思えば10回以上は昇降するので大丈夫だろう。函館や鹿児島の一日乗車券600円というのも素敵だ。

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2 コメント

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時刻表派♪ (jasmintea)
2007-11-01 20:30:34
大学時代、各地のキャンプ地に行くのに時刻表は欠かせませんでした。
今ではネットで簡単に調べられますが私は時刻表が大好きです♪

「青春18きっぷ」は役に立ちますよね。
母はほとんど毎回買ってあっちこっちに出かけているみたい^^安く旅行できるので時間がたっぷりある世代には「旅の必需品」みたいですね。
今回使う「ホリデーきっぷ」も母に教えてもらいました。

確かにいくら旅先とはいえ、ロングシートで飲んでいたらヤバい!かもしれないですね。
ボックス型を減らすのはやめてほしいです(涙)

うわっ、、、、全然関係ないことを書いてしまいますが(ゴメンナサイ)…今、日本シリーズを見ているのですが8回までパーフェクトの山井を9回岩瀬に代えてきました…。いつもとおりの野球をするって、言ってましたから「なるほど」とも思いますが、、凡人は驚きました。
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>jasminteaさん (凛太郎)
2007-11-01 21:57:27
時刻表は使い慣れると疾風の如く引けますが、僕などはまだ巻頭の略図を見て路線を確認して調べています。なかなか時刻表マスターへの道は遠い(笑)。ネットでも調べられますが、僕はネットは時刻表より時間がかかります。トロいのですな(汗)。
なるほど、「ホリデーパス」かっ。それがあった。あれは確かに2300円。お母様やりますねー。

混んでいては無理ですがローカル線で空いていればポケット瓶くらいは取り出す僕です(アル中予備軍 笑)。

しかし落合はんは凄い采配をするなぁ…。
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