南米選手権辞退は、Ｊリーグが力をつけている証拠か 【J特】

７月のコパアメリカの出場の辞退が決まりました。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110405-00000005-jij-spo

大変残念ですが、致し方ない判断とも思えます。

コパアメリカはＦＩＦＡの規定外の大会ですから海外クラブの選手を代表に召集する強制力は協会にはありません。（欧州ではリーグ戦真っ只中の１月のアジアカップで１ヶ月は代表で拘束したのですから、余計に呼びにくいことも予想されます）
国内ではＪリーグは東日本大震災で中断された日程を消化する代替でコパアメリカの期間中に充当しますから、代表をベストチームで編成するのは難しいと思います。
ただ最低でもボリビア、コロンビア、アルゼンチンと対戦できるのは日本代表の強化とすればうってつけですし、しかも（代表では数少ない）アウェーマッチですから、強化の面では大きな損失であることは否定できません

このコパアメリカ辞退から見えてくるものとして、日本代表とＪリーグの力関係が微妙に変わってきたのかなと感じます。
もしこれが10年前に起こったのであれば、おそらくコパアメリカ出場を強行していたと思います。10年前は日本はワールドカップに出場は果たしていましたが、本戦では勝ち点１すら獲得していない状況でした。当時の日本サッカー界はナショナルチーム優先であり、Ｊリーグはある程度抑制されていたと思います。
しかし時は流れ、日本はアウェーのワールドカップで決勝トーナメントに進出し、本田や香川、長友や内田など代表選手が欧州でバリバリ活躍する時代となりました。（長友に至ってはインテルという欧州でもトップ10には入るビッグクラブに移籍しました）欧州に渡った選手の大半はＪリーガーであり、Ｊリーグのレベルが欧州に近付いている証拠だと思います。
更には2007年には浦和が、2008年にはガンバがそれぞれＡＣＬを制覇し、クラブワールドカップでは３位となりました。更にはＡＣＬ出場を目標に掲げるクラブが増えてきており、クラブでもアジアや世界に目を向ける状況になっています。
そう考えると、Ｊリーグが世界につながっている流れは形成されていて、（Ｊリーガーを中心に構成された日本代表で）昨年のワールドカップでは結果を残し、この流れは加速していると思います。
小倉会長が「日本サッカーの基盤はＪリーグ」と語っていますが、本来はそうあるべきですし、（大相撲では「土俵の充実」と言っていますが）「Ｊリーグの充実」を期待しますし、そうあってほしいと切に願っています。（一人でも多くのサポーターがＪリーグを応援することも大事です！）

ただ「Ｊリーグの充実」を図る上には、Ｊリーグが今のままで良いのかという話にもなります。
特に、今回の東日本大震災による中断で感じたのはナビスコカップの存在意義です。
５年前にこのブログで書きましたが、リーグ戦はＪ１とＪ２の各カテゴリで争い、天皇杯は日本中の全てのサッカーチームが参加する大会です。つまり「Ｊリーグ」としての大会は現時点ではありません。現在、ナビスコカップはＪ１のクラブで争う大会となっていますが、それをＪ２にも門戸を広げ「Ｊリーグ全てのクラブ」が覇権を争う大会とするのはどうでしょうか。
今のナビスコカップは予選リーグを戦った上で、決勝トーナメントではＡＣＬ出場クラブがシードされているといういびつな大会方式になっていますが、それを正す必要もあります。
更には震災がなかったとしてもＪリーグと日本代表の日程は過密ですし、震災を契機にＪリーグの日程を改めて議論しなおす必要があると個人的には思っています。

日本代表はコパアメリカ出場は辞退しましたが、スペインやイタリアがチャリティーマッチで日本との対戦を望んでいるという報道もあります。
震災により（サッカーに限らず）世界が日本に対して支援の手を差し出している状況において、日本サッカーがそれを生かさない手もないと思うのですが。