夜明けの曳航

銀行総合職一期生、外交官配偶者等を経て大学の法学教員(ニューヨーク州弁護士でもある)に。古都の暮らしをエンジョイ中。

衆院解散は生きた教材

2005年08月18日 | profession
下書きのまま放置していたもの2件をupしましたのでよろしく。

NY州弁護士登録http://blog.goo.ne.jp/otowa1962/e/53b7e55a37aedfd383fb84b598e74a6d
功名が辻・関が原
http://blog.goo.ne.jp/otowa1962/e/bafea51b4f165944ea79e89ffa85849b

衆議院が解散し、これほど大きな政界の変動は、1993年8月にいわゆる55年体制が崩壊し、細川内閣が誕生が誕生して以来だという。

1993年のこの出来事ははっきり覚えている。
私は2年強にわたる海外留学から戻ってきたばかりで、派遣元の銀行の海外審査部で働き始めたばかりだったのだが、自分が日本でちゃんとやっていけるか不安だったのだ。

1991年に留学で渡米するまで飛行機に乗ったこともなかった私だが、元々のassertiveな性格が、米国と英国1年ずつ住み、しかも人前で自説を論理的にとうとうとしゃべらなければならないロースクール・法学部の大学院で学位をとるという経験をしたことによって、磨きをかけられ、もう、保守的で男尊女卑の日本のしかも銀行ではやっていけないのではないか、と危惧していたのだ。

そんな私に救いになったのが、細川内閣の誕生であり、「日本も変わるのだから大丈夫」と思えた。また、http://blog.goo.ne.jp/otowa1962/e/7921dca6a3db7be09f3ed4c866c6eb2d
で書いたように、朝ドラで単身赴任の女性医師が主人公になっていたこともencouragingだった。

その後の連立内閣の終焉や、
http://blog.goo.ne.jp/otowa1962/e/6597ea36b0020bf4cfefd41bc4d9a53a
で書いたように、バブルの崩壊などで揺るがない価値観の仕事をしたいという思いから、結局10年後に大学教師になるのであるが。

今回の解散には、さまざまな憲法上の論点があると思う(といっても憲法は専門外なので、間違いがあれば指摘してください)。
首相の解散権の濫用
参議院の存在意義
党議拘束の意義(もっとも、民営化反対派の自民党議員は党議拘束はなかったと主張しているようだが)
政党制度の意義
結社の自由
等々。

今法律を勉強している人たちは、こういう生きた教材が身近にあって本当にラッキーだと思う。

私個人は、財政投融資の問題は、日本全体の構造改革(公社・公団・公共事業等の無駄の削減)にとって不可欠であり、蛇口を閉める、という意味で、郵政民営化には大きな意義があると思う。

特定局というものを、今の職場に赴任してはじめて見たが、人口の割合に、東京なんかに比べても異常に多いな、と思う。
私の住んでいる官舎は、バスが一日数本、日曜は運休という場所にあるが、そこから歩いて10分以内のところに3-4箇所の特定郵便局がある。それほどおいしいということではないのか。(この選挙区の自民党議員は反対票を投じたが、県連の応援は受けるそうだ)

大体、「特定局長の妻の会」というのも、ジェンダー的に噴飯物である。
なぜ、局長は男と決め付けるのだ。現に、生まれてもいないのに、三島事件を人生で最大の衝撃の事件という、作家平野啓一郎(一昨年、新国立劇場に『サド侯爵夫人』を見に行ったときに、女性連れで来ていた。「あれが『高瀬川』に出てきた編集者の女性かな」なんて思ったりした)は、早くに父親を亡くしたことが少なからず作家になったことに影響を与えていると語っているが、家業は福岡の特定局である。まあ、公務員の政治活動の問題があるからなのかもしれないが。

だからこそ、大物が次々に現職を捨てて自民党公認候補者になっているのだろう。
話題になっている片山さつき氏は、同じ高校の3期上なので、もちろん、あちらは知らないだろうが、ずっと注目していた方だ。
ちなみに、片山氏の次に財務省の女性キャリアになったのはやはり同じ高校の隣のクラスにいて、文科三類から法学部に行った人だし、その次に入省したのは、同じ高校の一期下の女性だったとか、川口順子さんや川本裕子さんとか、高校の先輩の女性には大活躍している方が多い(だから私はずーっとコンプレックスに苦しみ、肩身が狭かったのだが)。

大学1年のとき一般教養で舛添要一氏の政治学を履修していた(そのときはフランス人と結婚していた)から、その後の結婚報道にも「へえ」と思っていたのだが。

しかし、マスコミの報道の仕方には疑問がある。
8月8日の採決の直前にも、野田聖子議員の夫である鶴保議員に「どうするのか」としつこく聞いたり。いくら夫婦でも、職業上の信条が違うことは十分ありうる。
たとえば、私がもし民法でなく、国際公法を専門にしていたら、夫が改正に携わった入管難民法を批判する論文だって書くかもしれないが、そんなことで夫婦関係はおかしくなったりしない。
鶴保議員は、法案には賛成したのに、野田議員への党の扱いは理不尽だという理由で、全面的に選挙活動を応援しているが、これは、それぞれの論点について筋を通した非常に立派な態度だと思う。
それから、「刺客」という表現も民主主義・選挙制度を冒涜する表現だ。

だって、たとえば、郵政民営化には賛成だけれど、もうひとつの与党の他の政策には賛成できないからそこには投票したくない、という人が投票する受け皿を作らなければ、有権者の選択肢を不当に狭めることになるではないか。
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