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ある日、超能力に目覚めた件 第二章 第九話Part4

2024-08-21 23:21:55 | 日記
「そんな貪るような事……」
 
 妹に弁明するように野々野足軽は考えて言葉を重ねようとしてた。なにせこれで兄としても、そして人間としてもその尊厳が損なわれかけてるんだ。流石に妹にこれからもゴミを観るような目で見られるのは困る。
 
(いやある意味……)
 
 そんな思考がちょっと野々野足軽に湧き上がる。彼の名誉のためにいうが、それは別にそういう視線に興奮する性癖だから……というわけじゃない。むしろ、最近はちょっと野々野足軽は困るほどだった。
 
 それはなにか――というと小頭の態度である。野々野足軽が高校に上がって、そして小頭が中学生二年にもなると、彼女も反抗期に入ったんだろう。距離は離れていってた。ここ一年と半年くらいはそこれこそ数えるくらいしか話しをしてなかっただろう。
 
 家で顔を合わせても「おう」といっても「ん」とか「ちっ」とか返す程度だった。時々声を掛けてくるのも体の良い荷物持ちとか、暇なときにからかって来るときとか……である。
 けど足軽は自分にも同じくらいのときに反抗期があったから、兄として暖かく見守ってたわけだ。まあそれに……力が目覚めてからはそんな些事に気を取られることがなくなったから……というのもある。それまでは小頭の態度にムッとなって、家でも度々喧嘩をしてたこともある。
 それを母親に怒られるなんてのはそこそこあった。けど『力』、『超能力』とも呼べるこれに目覚めてからはそっちに関心が移って野々野足軽は寛大になった。小頭の反抗的な態度にも「これだからただの人間は」とかいう謎の上から目線で許せる事ができるようになった。
 それは全て力という他の誰も持ってない力があったからだ。なのでようやく距離感が最適になってたはずだ。少なくとも足軽はそうおもってた。
 ベタベタしてる感じではない、普通の兄妹の距離感。それだったはずだ。でも……ここ最近はちょっと違った。なにやらいつでも小頭がついてくる気がしてた。
 いや、少しずつそれは確信へとなっていく。そして今も、わざわざ小頭は何もないとわかってて、足軽へとついてきてる。これはまるで昔に戻ったようだった。小学生低学年から中学年まではこんな感じだった。
 
 その原因も野々野足軽はわかってる。きっと襲われそうになったからだ。きっと小頭は心に傷を負ってしまった。だからこそ、家族の傍を離れるのが怖いんだろう。
 
(まあけどそれならもっと素直になればまだ可愛げがあるけど……)
 
 いきなりの距離感の違い。それに戸惑ってるのは足軽だけじゃないんだろう。小頭もそうだ。そしてここ数年はうまく接してなかったから、距離感と言葉がバグってる感じである。
 近い距離感で罵倒されるという感じになってしまってる。なのである意味この引き気味な状況をちょっと理由しても良いのかもしれない……と野々野足軽は考える。

ある日、超能力に目覚めた件 第二章 第九話Part3

2024-08-21 23:16:01 | 日記
「これって……ハンカ――」
 
 野々野足軽が上流から流れてきたその布をとった。手を伸ばしてまで取ることはなかったかもしれないが……薄汚れてる……とかじゃなくとてもきれいだったから、そこに忌避感はなかったんだ。
 
 その流れてきた物を手に取った野々野足軽。するとその瞬間だ。ある光景が頭に叩き込まれてきた。
 
『よっと……んしょ。わあ、今どきの子は……でも私だって今なら……』
 
 その光景とともに観えたのは真っ暗な暗闇だった。でもなんか妙な温かさがある。そして何かの密着感。そして臭う生々しい感じの匂い。
 
「つっ……なんだ?」
 
 フラッとよろめいて思わず顔を手で覆う野々野足軽。まるで目の奥、眼球の奥から痛みが来たような……そんな感覚だった。
 
「だいじょ……ぶ……」
 
 急にふらついた野々野足軽に対して心配したのか、ちょっと前に出て駆け寄ろうとしてた野々野小頭。けどその足はすぐに止まってしまう。別に大丈夫そうだから……とかそう判断したわけじゃない。
 そうじゃないんだ。
 
「それ……何?」
 
 なんかとても低い声……冷たい声が小頭からは出てた。けどそんな風な冷たい声を掛けられる覚えは足軽にはない。
 
「なんの事……」
「それだよ! そのパンツだよ! よく妹の前でパンツで顔拭いてるね!?」
「は? ええええええええ!?」
 
 その小頭の発言にびっくりして自分が持ってた物を確認する野々野足軽。それは確かに、女物のパンティーだった。なんか薄いとは思った。肌触りもなんか良かった。けどきれいな布だったし、そんなものかと思った。そもそもが野々野足軽は女物のパンティーなんて触れたこともないのだ。
 それにいうと……だ。誰が女物のパンティーが上流から流れてくると思うだろうか? 足軽はパンティーなんて思ってその布を取ってなんてない。それに顔に持っていったのもたまたまである。別にパンティーで顔を拭きたかったわけじゃない。
 でもその言い訳を小頭が聞いてくれるか……はまた別問題。でもここは冷静にいかないといけない。そう野々野足軽は思った。
 
「落ち着け。俺は別にこれがパンティーなんて知らなかった」
「でも手に取った瞬間には貪るように顔に持っていったじゃん。変態」
 
 そんな風に観えてたのか……と野々野足軽は思った。てか偏見がすぎる。もうちょっと兄を信じてくれてもいいだろうと思う。そんなに兄は女に飢えてるととおもわれてるのだろうか? なんかちょっと悲しくなった足軽だ。