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UENOUTAのお絵描きとかブログ

 お絵描きや小説、YouTubeとかの報告とかしていきます。

ある日、超能力に目覚めた件 第二章 第五十五話Part4

2025-09-06 20:00:52 | 日記
「あれは……なに?」
 
  小頭が呟く。お母さんの体からなにか生えてる。水色の上半身のなにか……どうやらお母さんはなにかに取り憑かれているようだと小頭は思った。
 
「皆下がっ――」
 
 おばあちゃんがその姿を若々しくしてどうにかしようと動こうとした。なにせここで『力』をもってるのはおばあちゃんと鬼男だけだ。だからここは自分が……とおばあちゃんはなったんだろう。
 でも……もう一人……鬼男は何も言わずにすでに行動をしてた。静かに、けど確実に拳をふるった。それによってお母さんの上半身になってた水色の物体がパァァァァァン――と弾け飛んだ。
 
「え?」
 
 おばあちゃん唖然である。だってこれから何が起きるのか、一体どうしようか? そんなことを考えてたはずだ。けど……それらすべての考えを一蹴に帰す一撃。それを鬼男は放ったのだ。
 
ドサ――とお母さんの体が糸が切れたように倒れる。小頭もお父さんもお母さんにかけよる。お父さんがお母さんの名前を呼んで揺さぶってる。小頭はそんな二人をみつつ鬼男に非難めいた目を向けた。
 
「もっと慎重にできなかったの?」
「……悪い」
 
 それだけしか鬼男は言わなかった。ちょっとカチンときた。だって一歩間違えたらお母さんがどうなってたのかわからない。だから小頭はカチンときたんだ。
 
「お母さん何かあったら!」
「小頭ちゃん」
 
 興奮した小頭を抑えたのはおばあちゃんだった。元の姿に戻ってるおばあちゃんの手が添えられたことでそっちに小頭の意識が向く。
 
「これできっと良かったのよ。そう思ったんですよね」
 
 そう言って優しく微笑むおばあちゃん。実際鬼男はこんな見た目でそこまで暴力的でも無鉄砲というわけでもない。だから今の行動がヤケクソ……ではないんだろうと小頭も思い直した。
 出来ると思ったから鬼男はやったんだ。
 
「ごめんなさい」
 
 カッとしたことに対して小頭はそう誤った。だって鬼男は良かれと思ってやってくれた。一瞬で決めてくれたのはいいことでは有るだろう。だってお母さんの体で暴れられたら……それを想像すると小頭はゾッとする。
 それを未然に防いだだけでも、鬼男はお手柄なのだ。
 
「う……ん……あなた」
 
 お母さんが意識を取り戻した。どうやら今度はちゃんとお母さんのようだ。取り付いてた何者かが鬼男によって倒されたからだろう。こうなるとやっぱり鬼男のいち早い決断は行幸だったといわざるえない。
 
 お父さんがお母さんを抱きしめて泣いてる。娘でも、その中には入れないなっておもった。
 

転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません)祖にありける新の形 61

2025-09-06 19:55:15 | 日記
 不死、それが確かに目の前にある。もしもそれを渇望してる奴がここにいたら、あのクマをなんとか捕獲して研究材料にでもしそうである。まあだからって不死のメカニズムを解明できるかは分かんないけど。
 
 ミレナパウスさんによって何度も『死』を手招きしてるわけだけど、もしかしたらそのうち本当に死がゴールテープを切るかもしれない……とか思って、ちょっと私は静観してた。でも流石に死が20回を超えたら私はミレナパウスさんを止めることにした。
 
『もういいですよ。ここでは死を与える事が出来ないようです』
「はぁはぁはぁ……けどこのままでは……」
『大丈夫ですよ』
 
 ミレナパウスさんはこののクマが復活したらまた襲われるかもしれない事を危惧してるのかもしれない。それは確かに厄介ではある。もしも油断してる所とか、他の何かと戦ってる時にこいつが乱入して混戦したせいで、致命傷をもらう……と言う未来がないわけじゃない。
 だからこそ必死にこのクマを殺そうとしてたんだろう。けど無理だっだ。ミレナパウスさんではこのクマに『死』を与える事はできなかった。だから私が引き継ぐことにした。実際確証はない。
 本当にこいつに『死』を与える事が出来るのか……でも自信はある。この甲羅を背負ってるクマの不死はこの亀の世界限定の法則のはずだ。
 
 一つ、多分ここの世界に生きてる生命は全てが不死だろう。
 一つ、死んだ瞬間に亀の力が集まってきて死を回避する。
 一つ、不死はこの大地でしかなしえない。
 
 簡単なのはリファーちゃんによってクマをこの世界の外に飛ばすことだ。真っ先に思いつくことだろう。けど、それは無理だった。リファーちゃんが直接空間移動でこの世界にはいれなかったように、中から外に空間移動もできないみたいだ。
 いや、それをどうにかしようとリファーちゃんは考えてるみたいだけど、まだ時間はかかりそうだからね。色々とこっちにあるデータを渡したらそれをきっかけに出来そうではある。けど考える事も大切だと思う。
 まあすぐに私はG-01に頼ってるんだけど……
 
 私はドローンを使って岩が体内を貫いてるクマを囲む。20回も殺されただけあって、はっきり言って、既にクマはその姿を保ってない。体はちぎれて、棘の塊のようになってる所々にクマの破片がある……という状態だ。
 つまりはとってもグロイ。けどそれでも奴は死んでないのだ。だって今もその破片……肉片ともいえるのがうごめいて肉体を再生しようとしてる。そして顔の半分だけになってる目にも光がともって「あがぁががああ!!」とか吠えてる。
 でもこれだと不死でもね……やっぱり不死になるなら再生手段が必要だろう。このまま放置してたら、きっと元通りになるとは思う。けど時間がかかりそうだ。もっと早い再生手段が必要だ。
 
 けどまあ、このクマの生もここまでだけどね。彼の不死はこの大地限定の法則。ならば……この世界から切り離してしまえば、その法則は適用されない筈だ。私は四機のドローンを使ってクマだった破片がある岩の棘を丸ごと座標指定して結界に囲んだ。

転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません)祖にありける新の形 60

2025-09-04 18:35:26 | 日記
 亀の背中だけの限定的な不死……それならできなくはないだろう。もちろんそれには途方もないエネルギーが必要になるだろう。けどそれを実現できるものをこの亀は持ってる。そう「サンクチュアリ」だ。ただの亀なら無理だろうけど、途方もないエネルギーをもたらすサンクチュアリならそれを実現できるだろう。
 だってこの背中の世界……それは明らかにこの外の世界と隔絶してる。だからこそ、結界でこの世界を覆ってるんだろう。外の世界はもちろんだけどこの世界を創った神のルールによって動いてる。当然だろう。それが普通だ。だからその世界の生命体はその世界のルールに縛られる。これもまた当然。でも……亀は自身の世界を背中に作った。そこはこの世界のルールではなく、亀のルールに則った世界なんだ。だからこそ、命だって……この背中で生まれる命だって亀の思いのまま……という事なんだろう。
 
 いや、それはもしかしたら違うのかもしれない。
 
「がああああああぁぁぁぁぁ……」
 
 そんな事を思ってたらなんとかはミレナパウスさんとリファーちゃんが甲羅を背負ったクマを倒したみたいだ。これはチャンスだ。私は後からこの世界に侵入させたドローンを何機もつかって、このクマの肉体から離れるであろう魂を観測することにする。どうやって倒したのかって? どうやらミレナパウスさんの魔力をリファーちゃんが空間を操って徐々にクマの内部に浸透させていったようだ。外側からの攻撃が効かないのなら、内側から……というのは定石だろう。
 だから二人は十分な力をクマの内部に浸透させたら、突如、その魔力を元にミレナパウスさんが魔法を発動させた。それは大きな岩を生み出す魔法だったみたいだ。内側から体を裂かれて、最後にはクマの口からその体のよりも長い鋭い岩が飛び出してきてクマを絶命させたみたいだ。きっと内臓もグッチャグチャになってるだろう。流石にあれだけやったら外側がどれだけ頑丈だとしても関係ない。まあそもそも、本当に不死とかなら、まともな生命体なのか謎だけど……
 
「やったねお姉ちゃん!」
「まだ油断はできないわ」
 
 リファーちゃんは勝利の余韻に浸ってるけど、ミレナパウスさんはまだ油断はしてないらしい。敵の生命力、それを懸念してる。そして次の瞬間だ。緑色の光がクマの体から溢れ出る。そして次の瞬間――
 
「ガボホボ、ガガガガガアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
 
 ――という叫びをあげた。生き返った……本当に。けど驚いてるリファーちゃんを他所に、ミレナパウスさんは冷静にさらにクマの体内から岩を発生させる。それを何回だって繰り返してあげるミレナパウスさんだ。

ある日、超能力に目覚めた件 第二章 第五十五話Part3

2025-09-03 23:56:36 | 日記
「どうしたんだい? 大丈夫だ。 君は、僕が守って見せる……」
 
 お父さんは覆いかぶさったお母さんに優しくそんな風に声をかけている。その声は優しくて……思わず野々野小頭は昔の事を思い出す。
 
『かわいいね。小頭は世界一かわいいね』
 
 優しい声。細めた瞳。そして……暖かな手。それによって頭をなでなでされるのが小頭は好きだった。けど、成長するにつれて、お父さんが小頭にナデナデをするのはなくなっていった。どうしてだったか? あんなに好きだったのに……けどそのきっかけも小頭は同時に思い出す。
 
(そうだ。私のせいで、お父さんは。あんなに……あんなに愛してくれてるのに……)
 
 思い出したのは自分の言葉。きっとあれがきっかけだった。ただの反抗期。中学生くらいの女の子には絶対にあることだろう。「お父さんなんか嫌い!!」――なんていう時期。実際、今も野々野小頭は反抗期だと思ってる。でもそれもついさっきまで……だったみたいだ。今はお父さんのお母さんに対する「愛」を見せつけられて、うらやましいって思ってる。もしかしたら本当の「恋」と「失恋」を経験したからなのかもしれない。
 その経験が小頭を一段、大人への階段を上がらせたのかもしれない。
 
「まずいぞ」
 
 そんな風に小頭の前に出てる鬼男がいう。え? という声が出る小頭。するとその時だ。
 
「どけええええええええ!!」
 
 そんな声と共にお父さんがふきとばされた。
 
「国人!」
 
 おじいちゃんがお父さんを庇う。けど勢いは止まらず、二人して戸棚に突っ込んだ。あんな……大人の男を二人も吹き飛ばす? そんな腕力がお母さんにあるわけはない。ならば……あの力は……
 
「なんで……なんでお前たちは戻ってくる?  眠ったままでいない?」
 
 そんな風にお母さんがつぶやいてる。けど……それはお母さんではない。だって、お母さんはグタッてしてた。立ち上がってるけど、それはお母さんの下半身だけだ。どういうことかというと、準備運動で手を地面に向ける運動があるだろう? 1・2・3・4――で腕を下にむけて体を前にまげて、5・6・7・8――で今度は背中側に反る運動。その前の前半部分の状態でお母さんはとまってる。けど下半身は動いてるのだ。それは、お母さんの上半身には別の体が生えてるから……水色で能面の人の形を真似た何か……がお母さんの下半身から上半身を生やしてる。

ある日、超能力に目覚めた件 第二章 第五十五話Part2

2025-09-03 23:51:01 | 日記
「うううぅぅぅ」
 
 食卓を滅茶苦茶にしたお母さんはなんか人間じゃないような声を出してる。
 
「大丈夫かい? なにか痛いところとか!?」
 
 そんなふうに小頭のお父さんがお母さんに手を延ばす。お父さんはお母さんを純粋に心配して隣のお母さんに触れようとした。けどその時だ。
 
「あああぁぁぁぁああああああ!!」
 
 そんな風にお母さんが叫ぶ。そしてその声は凄くて、思わず耳を抑えてその声を聞こえないようにするくらいの声だった。明らかにそれはただの声……じゃない。声なのに圧力を感じて、窓とか戸棚の扉……そんなのがガタガタとなってた。椅子はバタンと倒れて、野々野小頭達も、僅かにその体が後方に押される。
 
「おかあ――さん」
 
 心配する小頭はお母さんに向かって手を伸ばす。けど……それが届く距離じゃない。一体何が……誰もが何が起きてるのかわかってない。でもそんな中、お父さんは変な圧力がある声を出し続けてるお母さんになんとか近づいて行こうとしてた。元々が一番近かったし、それにお父さんはなんとか食卓を掴むことで後ろに押されることを防ぎつつ、食卓を使ってなんとかにじり寄ってる。
 
 いきなりあんな風になったら恐怖が思い浮かんでもおかしくない。だってお母さんは普通の人間だったはずだ。確かに世界には異変が起きてて、超能力者が増えてきてる。けど、お母さんにはそんなのは無縁のような……そんな感じだった。そもそもが身近な人がいきなりそうなる……なんて誰も思ってなんてないだろう。
 そしてそれに直面した時、一体どうするのか、どんな風になるのかなんて誰にもわからない。
 
(おとうさんは……)
 
 少なくともお母さんを見捨てるような……そんな人ではなかったようだ。小頭はお父さんをちょっと頼りない大人……と思ってた。だって優しいのだ。小頭にはお父さんに怒られた記憶なんてない。小頭が娘だから……というのもあるだろう。男親は娘に甘くなるものらしい。お母さんには拒否されても、お父さんに甘えたら案外ほしいものが手に入る……というのは何回も経験してる。
 二人が仲いいのは確かだったし、それを小頭だってちゃんとわかってた。けど、いきなりおかしくなったらそれが恋も愛も冷める瞬間――かもしれないじゃないか。そんな風にならないだなんて言えないだろう。でも……お父さんは頑張ってる。少しずつお母さんに近づいてる。
 
「あっ!」
 
 ガツン――とお父さんにお母さんの声で飛んだ食器がお父さんの額に当たった。よろけるお父さん。けどそれでもグッと食卓を握って押される体を押しとどめるお父さん。そして次の瞬間ガバッとお母さんに覆いかぶさるようにお父さんがお母さんを抱きしめた。