亀の背中だけの限定的な不死……それならできなくはないだろう。もちろんそれには途方もないエネルギーが必要になるだろう。けどそれを実現できるものをこの亀は持ってる。そう「サンクチュアリ」だ。ただの亀なら無理だろうけど、途方もないエネルギーをもたらすサンクチュアリならそれを実現できるだろう。
だってこの背中の世界……それは明らかにこの外の世界と隔絶してる。だからこそ、結界でこの世界を覆ってるんだろう。外の世界はもちろんだけどこの世界を創った神のルールによって動いてる。当然だろう。それが普通だ。だからその世界の生命体はその世界のルールに縛られる。これもまた当然。でも……亀は自身の世界を背中に作った。そこはこの世界のルールではなく、亀のルールに則った世界なんだ。だからこそ、命だって……この背中で生まれる命だって亀の思いのまま……という事なんだろう。
いや、それはもしかしたら違うのかもしれない。
「がああああああぁぁぁぁぁ……」
そんな事を思ってたらなんとかはミレナパウスさんとリファーちゃんが甲羅を背負ったクマを倒したみたいだ。これはチャンスだ。私は後からこの世界に侵入させたドローンを何機もつかって、このクマの肉体から離れるであろう魂を観測することにする。どうやって倒したのかって? どうやらミレナパウスさんの魔力をリファーちゃんが空間を操って徐々にクマの内部に浸透させていったようだ。外側からの攻撃が効かないのなら、内側から……というのは定石だろう。
だから二人は十分な力をクマの内部に浸透させたら、突如、その魔力を元にミレナパウスさんが魔法を発動させた。それは大きな岩を生み出す魔法だったみたいだ。内側から体を裂かれて、最後にはクマの口からその体のよりも長い鋭い岩が飛び出してきてクマを絶命させたみたいだ。きっと内臓もグッチャグチャになってるだろう。流石にあれだけやったら外側がどれだけ頑丈だとしても関係ない。まあそもそも、本当に不死とかなら、まともな生命体なのか謎だけど……
「やったねお姉ちゃん!」
「まだ油断はできないわ」
リファーちゃんは勝利の余韻に浸ってるけど、ミレナパウスさんはまだ油断はしてないらしい。敵の生命力、それを懸念してる。そして次の瞬間だ。緑色の光がクマの体から溢れ出る。そして次の瞬間――
「ガボホボ、ガガガガガアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
――という叫びをあげた。生き返った……本当に。けど驚いてるリファーちゃんを他所に、ミレナパウスさんは冷静にさらにクマの体内から岩を発生させる。それを何回だって繰り返してあげるミレナパウスさんだ。