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3月5日の家庭菜園ワークショップには、野菜作りに熱心な会員13名が参加。講師は窪田照夫さん。植物と根に興味をもち、100か国以上を回って土を研究、各地の農業試験場でも土作りを指導されている。
今回は、日当たりさせよければ場所を選ばない箱庭菜園に使う土を、実際に作っていただいた。これは箱の大きさを変えても応用がきき、化学肥料に頼らずに、微生物が多くミネラル豊富な土が作れる。
基本的な手順としては、春、箱の下層に落ち葉などの有機質や未熟堆肥を入れ、上層で春野菜を栽培、夏に土を返して、下にできている完熟堆肥を利用して夏野菜を育てる。秋、落葉時に枯葉を集めて土作りをしておけば、春にはまた新しい土ができているという具合。
まず縦45cm、横60cm、高さ40cmの木箱を用意。窪田さんの箱は、廃材を利用した手作りのもの。横や底板には、水はけと通気、ミミズが入るためのすき間を開けておく。
底に、枝を細かく切って敷き詰め、落ち葉や松葉を重ね、庭土に石灰を少し混ぜてのせる。石灰はカルシウムのほかにマグネシウムなどを含んだ苦土石灰 dolomite lime を選ぶこと。芝生用に化学肥料や除草剤が混ぜられたものはもちろん不可。
次に、カリウムやカルシウムが豊富な海草や潮だまりの貝殻くず、根の栄養吸収を促し、水を浄化して養分をためる木灰、炭、活性炭などを重ねる。これらを入れることで発酵温度も上がり地温が高くなるので、温床のように野菜の生育も早くなる。
身近になければ、園芸店で市販されている海草粉 kelp meal や骨粉 bone meal、卵の殻を細かく砕いたものでも代用できるが、夏、海辺で海草を拾い集めたり、キャンプのたき火の火の消し炭などを持ち帰っておくと、お金もかからず便利。
暖炉の灰でもいいが、プラスチックなど紙以外のものを燃やしたあとの灰は利用しないこと。
また、有機質や未熟堆肥を早く分解して熟成を助ける微生物資材EMやその餌となる米ぬか、砂糖も加える。EMに含まれる麹菌は気温の低い冬から春にかけて活躍し、納豆菌、枯草菌、乳酸菌、酵母菌は暖かくなる春夏に繁殖するので、ほぼ一年を通して発酵が進む。
中央にくぼみを作ってコンポストの未熟堆肥を入れ、虫除け・におい消しのために松葉と木炭をかける。完熟して黒く臭いのない mushroom manure をかぶせ、表土でおおう。
<箱庭菜園の中> 上から下へ箱の中で層になる
野菜の苗
表土、あれば前年に作った土
完熟した mushroom manure
中央のくぼみに未熟堆肥を入れ、松葉と炭をかける
微生物資材 EM、米ぬか、砂糖
木炭、炭、活性炭、海藻、潮だまりの貝殻くずなど
庭土に苦土石灰 dolomite lime をひと握り混ぜたもの
乾燥した松葉 spruce、hemlock、douglas fir など
杉の葉は油分が多すぎるので不可
乾燥した枯れ葉
広葉樹の剪定枝を長さ5cmに切り、底に敷く
☆☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆
ナメクジ除けには、箱を置く場所とその周辺に苦土石灰をたくさんまいておく。
また、冷たいコンクリートの上ではなく、地面に直接置くことができれば、気温が下がってからも地温が箱内の土の温度を守るので、野菜の栽培期間が長くなり、土壌の有機質を食べて土を柔らかくしてくれるミミズも誘いこめる。
ミミズの糞に含まれる放線菌は、天然の抗生物質として働き、食物の病気を抑えることができる。
最後に、チャイナタウンで拾ってきた野菜運搬用の木枠を上にのせ、ビニールシートをかぶせて重しを置き、簡易温室を作ってできあがり。立派な畑を作るスペースがなくても、手軽に本格的な野菜作りができる方法を楽しく学んだ充実の2時間だった。
(石川まりこ)
オーガニック・ライフ・サークル会報
2000年4月号(No.28)