オペラ座の怪人な日々

オペラ座の怪人とドールハウス作りにはまっているミミルのページです。

今日も私の中で鐘が鳴り響く♪~ノートルダムの鐘の感想1~

2018-04-24 10:00:00 | ほかのミュージカル
※ 劇団四季「ノートルダムの鐘」及び原作、ディズニー映画等の関連作品に関する完全なるネタバレを大いに含みますので、ご注意ください。

先日、生まれて初めて観に行ったノートルダムの鐘。
神奈川芸術劇場の大ホールは、昨年のオペラ座の怪人以来です。
座席が赤くて、クラシックな雰囲気が素敵だし、音響に定評がありますよね。
そんなこんなで今回も期待大でした!
が、席についてまずは、生オケじゃないのにちょっとだけびっくり。
前回、オペラ座の怪人が生オケだったので、てっきり生オケだと思い込んでおりました。
さんざんCD聴いたりして予習していた割に、お恥ずかしい限りです・・・。
でも、とにかく音響はいいので、心配いりません!

さて、幕はなくて、開演前から舞台のセットが見えています。
白と黒の市松模様の床に、櫓のような木の枠組みなど。
石像っぽいのもあります。
あー、もう始まる前から泣きそうでしたよ。
櫓の上の段には、クワイヤの方々が現れるのですが、
1階席中ほどの列、舞台に向かって左手よりの席だったので、向かって左のほうのクワイヤさんたちは死角になってしまい、
見えませんでした。
でも、右側の方々はバッチリ見えました。
いやー、のっけからクワイヤの迫力に圧倒されて、鳥肌立ちまくりでした!
やっぱりあの人数での生の合唱はすごいなぁ(*^_^*)

そうそう、忘れていましたが、当日のキャストはこちら。


飯田達郎さんは、CDで何百回と聴いているので、生歌をお聞きできるのはすごく楽しみでした!
それ以外はみなさんCDとは異なるキャストでしたね。
とくに、フィーバス役の光田さんと、エスメラルダ役の松山さんはこの日がデビューとのことで、
そちらも楽しみの一つでした。

そうそう、光田フィーバスなのですが、長身足長のイケメンで、声質もすごくいいし、声量も豊かで、まさにハマリ役という感じでした。
光田さんは、広島と京都でオペラ座の怪人のラウル役を見たことがありましたが、私は個人的にラウルよりもフィーバスのほうが好きだと思いました。
ちょっとセリフの部分はぎこちないようにも思うのですが、歌になると、すごくのびのびとして、素晴らしい声で歌い上げてくれます。
フィーバス登場のナンバー「息抜き」の冒頭では、女の人に「女ならだれでも惚れてしまうい・ろ・お・と・こ(色男)!」と紹介されますが、そのセリフに本当に説得力がある!と感じてしまいます。
(舞台だけでなくドラマとかでもときどきありますが、「なんて美しい!」とかいうセリフがあまりにむなしく聞こえてしまうキャスティングってありますよね(^_^;))
フィーバスって、キャラとして全然好きじゃないですけど、光田フィーバスは舞台映えして、思わず見とれてしまう存在感でしたね~(*^_^*)
さっきまで「遊べる女といいワイン~」とか言ってたと思ったら、
曲調が暗くなるところ(「草むらに倒れた兵士たち・・・」ってとこ)で見せた陰のある表情もなかなかのものでした。
声もほんとにフィーバスのイメージにぴったりなんですよね。声量も私好み。
ということで、私の中でフィーバスの株がばーん!と上がった瞬間でした。
女の人が足をからめてくるところとかもちょっとセクシーでどきどきしちゃいましたよ(笑)
ちなみに、今回同行した母は、2月に清水大星さんのジーザスを見て、声に惚れちゃってたので、
今回も清水フィーバスを見せてあげたかったんですが、光田フィーバスにも大いに満足していたようでした(^_^)v
終盤の「パリの人々よ~、こんなことを許すのか」ってとこで、
柱みたいなのにつかまりながら歌うところも、とっても舞台映えしていたと気に入っておりました。

エスメラルダ役の松山育恵さんは、私は今回初めて拝見しましたが、大人っぽい雰囲気のエスメでしたね。
普段、岡村美南さんをCDで聴きなれているので、声としては、少し低いかな、というのが気になりましたが、
セリフの言い方とかは、岡村さんより好きかもしれません。
岡村エスメ(CD)は、「世界の頂上から」の途中でカジモドが勇気を出して話しかけたときに「なに?」って答えるのが、
ちょっと語調が強いというか、キツイ感じがいつもしてしまっていたのです。あくまでも私の感じ方ですけど。
あと、フィナーレで虫の息になってしまった場面でのセリフ、「永遠にはいられないと思うわ!」とかも、すぐに死んじゃうとは思えないくらい力強いなと(^_^;)
その点、松山エスメのほうがすんなり来る感じだったように思います。

飯田達郎さんのカジモドは、本当にすばらしかったです。完璧です。
なんといっても、歌声のすばらしさ。CDで聴いていたとおりの声なので、まずは、すっと入ってくるのですが、
やはり生だと迫力が違います。日差しの中へや石になろうのロングトーン、鳥肌というか、陶酔というか。
もう、ウヒョーーーー!!って感じでした。
とてつもない歌唱力ですね。
そして、カジモド独特の口を歪ませて歌う歌い方。あの口ではっきりと聞き取れるように歌うという技術にも脱帽です。
さらに、途中から朗々と歌い上げたりする自由自在さ。
それに加えて、カジモドは劇中でほぼ屈んだ姿勢で、歩き方にもクセがあります。
歌ったり、セリフを言ったりしながら、それらの仕草もこなし、
さらにきわめつけは表情!
1階の中ほどの列の席だったため、肉眼では細かい表情までは分かりませんでしたが、
ところどころでオペラグラスで拝見すると、とても豊かな表情の表現に驚かされました。
なんか、もう、すごいな、としか言えない。語彙力なくてすいません・・・。
他の方のカジモドももちろん観てみたいですが、CDで聴きまくっていた飯田カジモドをまず観たかったので、
本当に嬉しかったです。
キャラとしては、カジモドよりもフロローさんが好きなのですが、
完全に飯田カジモドの虜になってしまいました。
(記憶が定かじゃなかったのですが、過去のパンフレットをひっくり返してみたところ、
私は、2012年に横浜キャッツで達郎タガー観てたんですよ!きゃー!)

なんか、劇団四季って本当にすごい。
役者さんもスタッフさんもものすごいクオリティだと思います。
これこそ、一流のプロフェッショナル集団だと思うし、これだけの完成度のものを毎回提供してくれることに、感謝しかありません。
ミュージカル好き(だと自分で言っている)の方の口から聞いて、私が「あー、残念だな」と思う言葉が、
「やっぱりウエストエンドやブロードウェイで見ちゃうと、劇団四季とか見られなくなる」というものです。
(つい最近も知人の女性からこの言葉を聞きました(^_^;))
こういう方、もったいないと思うんですよねー。
私はまだウエストエンドもブロードウェイも観たことないですけど、きっとそっちで観たとしても、劇団四季も見続けると思います。
でもまあ、見たくない人はムリに見なくていいです、そのほうが少しでも私がチケット取りやすくなるし。

さて、最後は私が大好きなフロローさまについて。
CDの芝さんではなく、野中万寿夫さんでした。
私はこの方、やはりあまり拝見したことないと思うのですけど、
すごくダンディーなイケオジって感じで、もうビジュアル的にきゅんきゅん来ちゃう感じでした。
私の中でのフロローの悪辣さは、
ディズニー映画>原作>ミュージカル
って感じなので、ミュージカルのフロローさまはそんなに悪人ではないイメージです。
それにしても、野中フロローはなんというか、ダンディーすぎて、優しすぎるというか紳士っぽいというか、
そういう感じでした。
欲を言えば、もう少しだけ、悪辣さや、闇の部分の暗さ、ドロドロとした欲望のドギツサみたいなものが強めでもいいのかな、と。
ディズニー映画のやつは悪すぎるんだけども、私はあのフロローさえ好きなんです。
あのアニメのヘルファイアのシーンって本当にすごいと思います。ディズニーとは思えないおどろおどろしさ、というか。
でも、とにかく、予習段階で思っていたとおり、フロローさんは、意外と優しい人物で、唯一の肉親であるカジモドをたしかに愛していたのだということは間違っていなかったのですね。
弟を失ってから、彼はずっと孤独だったのでしょう。
唯一の肉親(甥)であるカジモドだけが心のよりどころだったのかもしれません。
序盤のほうで、カジモドのところに食事を持ってくるところ、イチゴの与え方はまるでペットに対するようではあったけど(しかもたった1粒かよ!!)、
そのあと聖アフロディジアスの話をするときに、フロローさんが笑うシーンは、カジモドとの会話を楽しんでいるように感じられました。
↑このシーン、私は聖人の名前を覚えられないカジモドを笑ったのだと記憶しちゃってましたが、ほんとは、祭りにおともします、と言ったカジモドに苦笑した、という場面だったんですかね?

何はともあれ、彼が他の人間と笑い合って会話することなどきっとないはずです。
あのシーンを見たとき、私は思わず「フロローさん、笑ったりするんだ!?」とびっくりして、
彼のことを人間としてとても愛おしく感じました。
ディズニー映画でも、カジモドに食事を持ってきて会話するシーンがあるんですよね。私、そのシーンも好きです。
毎日ちゃんと食事を持ってきて会話をするなんて、フロロー、意外とカジモドのこと大事にしてるじゃん、って思えるので。
でも、先ほどの笑うシーンを入れることでミュージカルのほうがよりカジモドとフロローさんの間の絆のようなものを強く感じさせるわけですね。
そもそも、弟の子だという設定もありますし。
このような設定の変更によって、俄然、フロローという人物に人間らしさが加わり、観客に感情移入を促し、
物語に厚みを加えているんだなぁ、と感心しました。
終盤のほうで、カジモドがエスメラルダの居場所を知らないと嘘をつくときに、
フロローがカジモドに向かって、「息子のように思うことさえある」というようなことを言いますが、
本当にそう思っているのでしょうね、このフロローは。
そして、エスメラルダが死んだあとの「元通り仲良く暮らしていけるだろう」っていうの。
あれも本心なんだよね。ここらへんは、背中にナイフを隠して、カジモドをも殺そうとする映画のフロローとは大違いなんだな。
エスメラルダが現れたことで、すべてが狂ってしまったのだけど、
それさえなければ、幸せだったかどうかは分からないけど、フロローさんはカジモドと寄り添って、慎ましく穏やかに生きていくことができてたんだよね。
歪んでいたかもしれないけど、肉親として愛情を抱いてはいたカジモドに突き落とされてしまったとき、彼はどんな気持ちだったんだろう。
日本語ではただ「あーーー」ってセリフだけど。
ここはまだまだ自分の中で整理しきれていません。
とにかく、フィナーレが始まったあたりからおよそ20分間はほぼぶっ通しで泣いているので、
もう目の前の舞台のめまぐるしい進行と自分の気持ちのわちゃわちゃでぐちゃぐちゃでしたわ。
泣きすぎてアタマ痛くなっちゃうし。
それにしても、フロローさんが落ちていくシーンの演出には驚いたなぁ(笑)

そして、CDを聴くだけでは分からなかったラストの結末にもちょっとびっくり!
まさか、原作と同じだったとは。
100分de名著のテキストを読んで、原作の結末を知った時にも、「美しいラストだなあ」と思ったのですが、
やはり今回のミュージカルでもそのように感じました。
白骨死体なんて怖い感じもするんですけど、骨が砕け散ったときのイメージが、私の中ではなぜか春の日差しの中で
キラキラキラキラって輝いてる感じなんです。なんで春、なのか分かりませんけど。
地下室で白骨死体が見つかった、ってことだから、本当は日差しなんかないのかもしれませんけど、
私の中では、なぜか桜の下に埋まっている死体、みたいな感じで、
パリに桜なんてないんでしょうけど、桜の花びらが散っているような美しい光景が浮かぶんです。
自分の中で勝手に、「哀しいけど美しいラスト」というものに仕立て上げて、救いを求めているんですかね。
原作者のユゴーがすごいのかもしれませんが、観る者に委ねるという形で余韻を残す秀逸な終わり方だと思います。

フロローさんについては、こちらこちらでも熱く語っておりますので、
もしよろしければご覧ください!