【人生をひらく東洋思想からの伝言】
第69回
「言祝(ことほ)ぐ」(神道)
私は日本語がとても好きです。
なぜなら、すべての音に様々な意味が込められている
世界でも稀有な言葉だからです。
だからこそ、言葉を大切に扱いたいという気持ちもありますし、
先人が大切にしてきた言葉の本質をもっと知りたいという想いはとても強くあります。
そのように、すべての言葉には魂が宿っていると考えられてきました。
それを、「言霊(ことだま)」と表現しています。
言葉が大切であるのは、言葉自体に素晴らしい力が秘められているからなのでしょう。
そして、先人はこの言葉を大切にすると同時に、
その響きや韻(いん)を踏むことで、美しく楽しんでいたのでしょう。
言葉を通じて、相手を敬い大切したいという想いの現れのようにも感じます。
例えば、お祝いをのべること、喜びの言葉をいうことを「寿(ことほ)ぐ」と言います。
それを、別の表現ですと「言祝(ことほ)ぐ」、つまり言葉で祝うと書きます。
神様に奏上する「祝詞(のりと)」は、もっとも美しく、素晴らしい言葉を選び抜いています。
例えば、結婚式で「終わります」ではなく、「お開きにさせていただきます」というのも、
祝宴で「鏡割り」を「鏡開き」というのも、すべて めでたい言葉に替える工夫だったんでしょうね。
その日本人の粋で美しく、楽しい心の在り方と言葉のセンスに、本当に頭が下がります。
参考文献
『神様にほめられる生き方』岡本彰夫著 幻冬舎