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人生をひらく東洋思想からの伝言

東洋思想の言葉やその精神を通じて、ともに学びながら人生や経営をひらいていけたら嬉しいです。

第201回『寺子屋』(仏教辞典)

2025年07月29日 | 日記

【人生をひらく東洋思想からの伝言】

第201回

『寺子屋』(仏教辞典)


もともと母方の曾祖父が寺子屋で教えていたという話を、祖父からよく聞かされて育ちました。

そのため「寺子屋」という言葉は、幼い頃から親しみのあるものでした。

不思議なことに、物心ついた頃から漠然と「いつか自分も寺子屋で教えてみたい」と

思っていたのを覚えています。


寺子屋について調べてみると、室町中期に始まり、

江戸中期以降に急速に普及した庶民のための初等教育機関でした。

寺で学ぶ子供たちを「寺子」と呼んだことが名前の由来だそうです。

都市部から始まり、やがて農村部でも民家などを教場として開設され、

師匠の多くは平民でしたが、武士や僧侶、医師なども教鞭を取っていたとのことです。


現代では塾に通うことが当たり前になっていますが、

その多くは受験対策が主な目的となっています。

一方、寺子屋は社会で生きていくために必要な知識や心構えを教える場としての性格が強く、

どちらかといえば「徳育」に重点を置いていたように感じます。


これからの時代には、その地域の風土や歴史を学びながら、

その土地らしい子供たちが育っていく場があればよいなと思っています。

地域に根ざした教育の場で、子供たちが学力だけでなく、

人として大切なことも身につけられるような環境です。


私自身も、微力ながら今後、ご縁のある場所で

寺子屋のような場を立ち上げてみたいと考えています。

人に教えることは、実は自分自身にとって一番の学びになりますし、

何より楽しいものだと感じているからです。

 

参考文献:『岩波 仏教辞典』(編集 中村元他 岩波書店)

 


茅ヶ崎 浜降祭

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第200回「真言は不思議なり」(弘法大師)

2025年07月22日 | 日記

【人生をひらく東洋思想からの伝言】

第200回

「真言は不思議なり」(弘法大師)

 

弘法大師が「真言は不思議なり」と説かれたように、

般若心経にはお釈迦様の教えの真髄が込められています。

何万巻にも及ぶ仏教経典のエッセンスが、わずか262文字という簡潔な経典に凝縮されており、

その一字一句すべてが真理の言葉とされています。


この真理の言葉は、インドで生まれ、中国を経て日本に伝来しました。

私たちが今、日本語でこの経典を読むことができるのは、まさに奇跡的なことです。

弘法大師空海をはじめ、中国の玄奘三蔵など、数多くの先人たちが命をかけた修行と祈りによって、

この貴重な教えが受け継がれてきました。その恩恵に対し、深い感謝の念を抱かずにはいられません。


真言は「陀羅尼(だらに)」とも呼ばれ、

より身近な表現をするなら「呪文(じゅもん)」とも言えるでしょう。

私たち人間は誰しも煩悩に悩まされ、四六時中、心の迷いや苦しみに苛(さいな)まれています。

そのような時、般若心経という真理の言葉に触れることで、

心が自然と静まり、悩みが軽減されることがあります。


弘法大師空海は、四国八十八か所の霊場を、

般若心経の教えを実際に体現する修行の道として開かれたと言われています。

そのため、四国遍路を体験した多くの方が不思議な出来事に遭遇したと語っています。

私自身も約30年前、学生時代の卒業旅行で一人四国遍路に挑戦しました。

徳島県と高知県の39か所を巡る中で、後に私の人生に大きな影響を与えることになる

大栗道榮和尚との運命的な出会いがありました。今振り返ると、これは単なる偶然ではなく、

真の意味での奇跡であり運命だったと感じています。

 

その体験以来、私は毎朝般若心経を唱えることを日課としています。

この真理の言葉を日々口にすることで、心が整い、

一日を穏やかに始めることができているような気がします。


これからも、この真理の言葉とともに歩み、日々自己研鑽に励み、

社会に貢献できるよう努めてまいりたいと思います。

 

参考文献:『困ったときのヒント 弘法大師空海の言葉』(大栗道榮著 すずき出版)
     『般若心経秘鍵』(弘法大師空海著 加藤精一編 角川ソフィア文庫)

 


靖国神社 みたままつり

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第199回「徳に順い、小を積みてもって高大なり」(易経)

2025年07月15日 | 日記

【人生をひらく東洋思想からの伝言】

第199回

「徳に順い、小を積みてもって高大なり」(易経)


これは易経に記された言葉です。宇宙の原理原則が込められた易経には、

私たち人間がこの世で学び、身につけるべきことが記されています。

この言葉が伝えているのは、人として成長し、社会の中で生きていくためには、

徳を養い、どんなに小さな些細なことでも日々積み重ねていくことの大切さです。

そうすることで、自然と成長し、調和した社会の中心的な存在になれるのだと教えています。


日本人として徳を治めたリーダーの象徴的存在といえば、二宮尊徳さんが挙げられます。

彼の残した言葉や生き方は、まさにこの易経の教えと通じるものがあります。

小さな積み重ねが大きな結果を生み出すこと。日々の努力を怠らないこと。

これらの教えは、現代を生きる私たちにとっても変わらない真理です。

参考:第106回『積小為大』(二宮尊徳)


少しでも徳を備えた人間になれるよう、日々小さなことを積み重ねて

社会のお役に立てるように努めていきたいと思います。

大きな成果を求めるのではなく、今日できる小さな一歩を大切に。

そんな心がけで歩んでいきたいと思います。

 

参考文献:『易経一日一言』(竹村亞希子著 致知出版社)

 


鎌倉 鶴岡八幡宮

 

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第198回 夏風邪について(野口晴哉)

2025年07月08日 | 日記

【人生をひらく東洋思想からの伝言】

第198回

『夏風邪について』(野口晴哉)


東洋思想の根本には「心身一如」があります。

心も身体も自然の道理に従い、どのように生きるべきかを教えてくれる智慧です。

今回ご紹介する野口晴哉さん(1911-1976)は、この観点から人間の本質を捉えた素晴らしい方です。

野口さんは12歳で関東大震災を体験し、焼け野原で苦しむ人々に本能的に手をかざしたところ、

多くの方が快復されました。これをきっかけに治療家の道を志し、

最終的に「社団法人整体協会」を設立。病を治すことよりも、

人間本来の力を引き出すことに重点を置かれました。

野口さんは次のように述べています。

「“風邪は万病のもと”という言葉に怖がって、

風邪を自然に治るものだということを忘れてはいけない。

風邪は治さなければ治らないものだと思い込み、

なぜ風邪を引いたのかという体の偏りを正すことを忘れてしまうのは良くない。

体を整え、生活を見直し、自然に治るのを待つことが大切である。

このようにすれば、風邪が体の大掃除となり、体を守る働きをしてくれることが分かる」


この考え方は、現代の「すぐに薬で治す」という発想とは根本的に異なる智慧だと思います。

実際、我が家でも風邪を引いた時はできるだけ安静にして、

無理に薬で抑え込むのではなく、自然治癒に任せることを心がけています。


また、私たち現代人の多くは夏にクーラーや扇風機なしには生きられない暮らしをしています。

しかし野口さんは次のように警告されています。

「背には涼風を長く受けない事。湯上りの汗を扇風機で乾かさない事、

特に汗をかいた赤ちゃんを風通しの良い場所に寝かさない事。

クーラーの前は最もいけない。クーラーの風を直接身体に受けぬことが特に必要

汗は拭くこと。これが第一、汗を引っ込ませると、下痢、風邪、神経痛に化けてしまう」


なかなか耳が痛い話ばかりですが、この暑さと向き合いながら、

本来の身体に無理や負担のない生活を心がけていきたいものです。


参考文献:「風邪の効用」(野口晴哉著 筑摩書房)

 


明治神宮

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第197回 『夏越大祓いの参拝』(神道)

2025年07月01日 | 日記

【人生を開く東洋思想からの伝言】

第197回

『夏越大祓いの参拝』(神道)


昨日6月30日、家族と共に寒川神社へ。夏越大祓いの節目に参拝いたしました。

この古き良き儀式は、半年間に蓄積された心身の穢れを祓い清める、

日本人が長年培ってきた生活の智慧です。


神道における「穢れ」とは「気が枯れている」状態を指します。

現代風に言えば、ストレスや疲労が蓄積された状態です。

先人たちは、定期的にこの状態をリセットする必要性を深く理解していました。


年に二度の大祓いは、季節の変わり目に心身を整える実践的な方法論です。

茅の輪をくぐり、人形に息を吹きかけて穢れを移し、川に流す。

これらの所作には、深い洞察と慈愛が込められています。


神道は宗教を超えた日本人の生活哲学です。

自然と調和し、清浄を重んじ、感謝を忘れない精神性は、

現代社会で失われがちな「本来の生き方」を思い起こさせてくれます。


気候変動により天候が不安定な現代だからこそ、

古来の智慧はより価値を増しています。

定期的な心身のリセットは、現代人にとって必要不可欠な生活技術と言えるでしょう。


参照 第92回「夏越大祓い」

皆様にとって、この夏が健やかで実り多いものとなりますよう、

心よりお祈り申し上げます。


参考文献
『大祓い知恵のことば』(葉室頼昭著 春秋社)

 


寒川神社

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