【人生をひらく東洋思想からの伝言】
第201回
『寺子屋』(仏教辞典)
もともと母方の曾祖父が寺子屋で教えていたという話を、祖父からよく聞かされて育ちました。
そのため「寺子屋」という言葉は、幼い頃から親しみのあるものでした。
不思議なことに、物心ついた頃から漠然と「いつか自分も寺子屋で教えてみたい」と
思っていたのを覚えています。
寺子屋について調べてみると、室町中期に始まり、
江戸中期以降に急速に普及した庶民のための初等教育機関でした。
寺で学ぶ子供たちを「寺子」と呼んだことが名前の由来だそうです。
都市部から始まり、やがて農村部でも民家などを教場として開設され、
師匠の多くは平民でしたが、武士や僧侶、医師なども教鞭を取っていたとのことです。
現代では塾に通うことが当たり前になっていますが、
その多くは受験対策が主な目的となっています。
一方、寺子屋は社会で生きていくために必要な知識や心構えを教える場としての性格が強く、
どちらかといえば「徳育」に重点を置いていたように感じます。
これからの時代には、その地域の風土や歴史を学びながら、
その土地らしい子供たちが育っていく場があればよいなと思っています。
地域に根ざした教育の場で、子供たちが学力だけでなく、
人として大切なことも身につけられるような環境です。
私自身も、微力ながら今後、ご縁のある場所で
寺子屋のような場を立ち上げてみたいと考えています。
人に教えることは、実は自分自身にとって一番の学びになりますし、
何より楽しいものだと感じているからです。
参考文献:『岩波 仏教辞典』(編集 中村元他 岩波書店)
茅ヶ崎 浜降祭