人生をひらく東洋思想からの伝言

様々な東洋思想の言葉やその精神を通じて、ともに学びながら一緒に人生や経営をひらいていけたら嬉しいです。

第75回「なんとかなる」

2023年02月24日 | 日記

【人生をひらく東洋思想からの伝言

75 

なんとかなる

 

一休宗純(いっきゅうそうじゅん)は、室町時代の臨済宗大徳寺派の僧侶で、

私が小さいときは、漫画の一休さんで有名な

とんち好きのお坊さんというイメージでした。

 

いろいろと調べてみると、人間味臭いエピソードが沢山ある

人情味あふれる方だなと感じていました。

 

例えば、好きな言葉としては、

「極楽がありと聞けど、往きて見ず 何方を指して 浄土という」

極楽があると聞いているが、実際にそこへ行っても目で 見た人はいない。

だからこそ、自分自身の心を極楽にすればいい、

というような意味だと自分では感じています。

 

あと、こんなエピソードが残っています。

一休さんが亡くなったとき、弟子たちに大きな箱をひとつ残していきました。

「もし、本当にお金に困って、どうしても生きていけない、ということになったら

みんなでこの箱を開けなさい」。それが、一休さんの遺言でした。

 

弟子たちは、1,2年はなんとか しのいできましたが、

3年目になって寺の状況はどうにもならなくなり、

そこで弟子たちは集まって相談して、

その箱を開けようということになりました。

蓋をあけていくと、また中には小さな箱があり、

またその中に箱があり、また箱というように。

最後に小さな箱が出てきたそうです。

みんなは、そこには価値のある財産が入っているに違いないと感じ、

小さな箱を開けました。すると、一枚の紙が出てきました。

それには、何か書かれていました。広げて読んでみると、

たった6文字だけ書いてありました。

「なんとかなる」

まさに、禅の極意と言うような至言になります。

それを感じた弟子たちは、そこから知恵がでてきて、

なんとか復活したそうです。

 

これから、いろいと大変な状況になると言われていますが、

このような心持ちでいると、

なんとなかなるものです。大胆にして細心な心構えをして、

目の前の事をしっかりやっていくことで、必ず道は開けてきます。

 

参考文献

 『老荘思想に学ぶ人間学境野勝悟著 致知出版社

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

第74回「易の三義」

2023年02月18日 | 日記

【人生をひらく東洋思想からの伝言】 

第74回 

「易の三義」


「易」の三義(さんぎ)とは、

変易(へんえき)、不易(ふえき)、易簡(いかん)の三
つからなります。

「易」という一字には、これら三つの意味があり、これを「易の三義」
と言います。


「変易」とは、森羅万象、すべては一瞬たりとも変化しないものはないので、

常に変わり
続けているということを指しています。

「不易」とは、宇宙の原理原則を表現したものであり、

変化には必ず一定の不変の法則性
があるということを指しています。

「易簡」とは、その変化の法則性を我々人間が理解さえすれば、

天下の事象も知りやすく
、分かりやすく、

人生に応用することが簡単であるということを指しています。


これを理解したうえで、様々な世の中の事象や現象を観察してみると、

あらためて色々と
感じることがあるように思います。


「不易流行」(ふえきりゅうこう)という言葉があります。

これも 東洋思想の陰陽論
を基本にしてつくられた言葉です。

宇宙の原理原則を理解したうえで、

現代の時代の変
化や 時代性にあったものを

どのように捉えていくかという視点が、
とても大切だと感じます。



参考文献
 『易経一日一言』竹村亞希子著 致知出版社

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

第73回「玄人(くろうと)とは?」

2023年02月12日 | 日記

【人生をひらく東洋思想からの伝言】 

第73回

「玄人(くろうと)とは?」


NHKの番組で「プロフェッショナル 仕事の流儀」という番組があります。

大好きな番組の一つですが、番組の最後に司会者の方が、

出演者の方に必ず聞く質問があります。

「あなたにとってプロフェッショナルとは?」という問いかけです。

そもそも、プロフェッショナルとはどんな人のことなのでしょうか?

この問いを、東洋思想的な視点で考えてみたいと思います。


「プロフェッショナル」という表現としては、

日本では昔から玄人(くろうと)という表現をしてきました。

その反対語としては、「素人(しろうと)」という表現がありますが、

素人の「素」という文字は、本来紡ぎたての糸 のことを指していますが、

紡ぎたての糸は、真っ白であり、かつて糸は非常に高価なものだったので、

糸を少しでも強化するために藍などで黒く染めていたそうです。

つまり、「素人」とは、紡ぎたての糸のように、何にも染まっておらず、

それだけ弱い存在ということでした。


一方で、「玄人」の「玄」という字は、

もともと「くろい」という意味を持つ言葉だったそうです。

糸が藍で染められて、強化され「黒くなっている状態」です。

それが、「玄」という文字の意味ですが、

少しずつ「暗い」というニュアンスをも表すようになっていったそうです。

そんな背景から、東洋思想的に見ていくと、「玄人」とは、

「暗いところが見える人」のことを指すようになっていったと言われています。


東洋思想的の観点からみると、目に見えないものを

どのように見ていくのかということを大事にしているので、

ここでいう「暗いところ」というのは、

素人や常人には見えない「未来」や「人の心」など

本質的なものが見えるということになります。

そして、それに加えてすごく大切なものを感じ取る感性や、

それに伴う技術や知性も含めて 総合的なものを指していると思います。


さて、今回は「玄人(くろうと)」という言葉をご紹介しましたが、

もう少し自分なりに感じることなどを補足してみます。


本当の玄人や達人というのは、その技を持ち合わせながらも、

ひけらかすのではなく、心や意識の状態が、常にフラットでまっさらな状態、

つまり「素人」のような状態でいるように感じます。

少しでも、そんな玄人を目指して、引き続き精進していきたいと思います。


参考文献
『なぜ、世界のビジネスリーダーは東洋思想を学ぶのか?』
 田口佳史著 文響社



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

第72回 無用の用(荘子)

2023年02月04日 | 日記

【人生をひらく東洋思想からの伝言】

第72回 

「無用の用(むようのよう)」


これは、荘子(そうじ)という書物の中からの言葉になりますが、

私の好きな言葉のひとつでもあります。

もともとは、下記の言葉からの抜粋になります。

「人みな有用の用を知りて、無用の用を知るなきなり」(荘子)


これは、目に見える有用なものだけを追い求めて価値を図るだけではなく、

一見無用に思えるものなどにもしっかり目を向けて

全体の調和をとっていく重要性を説いている言葉になります。

世の中の価値基準として、どこかで価値あるものは、目に見えるもので判断されやすく、

お金、効率性、能率性、生産性などでより多くのものを

短期間で得ることが凄いという傾向はあるように思うので、

できるだけ無駄なものを省いて排除する傾向もあるように思います。


例えば、「雑談」もそのひとつかと思います。

職場や家庭でも、雑談があることで、いろいろな人間関係や

家族間の潤滑油になっていることがあると思いますが、

常にやることに追われ、忙しくしていると、

お互いに雑談する時間は無駄だと判断されがちになります。

そうすると、だんだんと会話も減り、人間関係が希薄になってくる可能性が高まります。

それによって、結果的に情報共有が少なくなり、

仕事そのものにも支障が出てしまうこともあると思います。

それでは、本末転倒になりますよね。


昔から、私は「モモ」(ミヒェエル・エンデ作)という作品が好きです。

まさに、現代の日本においてモモになりたいとひそかに思っていますが、

それはこの無用の用という言葉と出会ってから確信が高まりました。

私の役割は、いろいろとありますが、そのひとつが、

「息抜きの提供」ということを意識しています。

できるだけ、自分が作る場や関係性などには、そんな意識もしながら関わっています。

みなさんにとって、このブログも無用の用ということにつながるかもしれませんので、

心の潤滑油のひとつになればと思って、書き続けています。

最後まで、読んでくださって感謝申し上げます。

いつもありがとうございます。


参考文献
 『中国古典一日一言』守屋洋著 PHP研究所

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2/20(月)東洋思想を学ぶセミナーのご案内

2023年02月01日 | 日記

 
先日も、1月23日にリアルで勉強会を行いまして、
おかげさまで10名の方々に集まって頂きました。

医学を志す学生、弁護士、デザイナー、カメラマン、起業家の方など、
多様な方々との出会いもあり、とても楽しい時間となりました。

また、2月20日に勉強会を予定しておりますので、
もしご興味のある方は、ご参加をお持ちしています。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする