【人生をひらく東洋思想からの伝言】
第34回
「諸国客衆繁盛(しょこくきゃくしゅうはんじょう)」
今回は、元 ザ・リッツ・カールトン・ホテル日本支社長の高野登さんが書かれた
『品格を磨く』の中にあったお話を参考に、
日本人の本質、商売とは何か?を一緒に考えてみたいと思います。
「春日大社で長く宮司を務めていた岡本彰夫さんのご本にあった興味深いエピソードだそうです。
神社にはよく石灯籠が奉納されますが、昭和半ばまでのそれには、
「諸国客衆繁盛」という文字が刻まれていたそうです。
それが、昭和の中頃から、「商売繁盛」という文字に変わっていったそうです。
この二つは、似て非なるもの。まったく意味が違います。
「諸国客衆繁盛」には、日本中にいらっしゃる私たちのお客様が繁盛遊ばされますように、
という祈りが込められています。しかし、「商売繁盛」ということばに表れているのは、
うちの会社が儲かりますように、うちのお客様がたくさんいらっしゃいますように
という願望にすぎません。
岡本さんは、これを「覚悟」の違いだとおっしゃいます。
そのような事が高野さんの本に書かれていました。
私も以前に、「商売繁盛」と自分の事だけを考えて
神社へ行っていたことが何度もあったので、恥ずかしくなってしまいました。
自分に余裕がないときほど、自分の事だけを考えてしまいがちです。
日本には、100年以上続くような老舗と呼ばれる会社が
世界で一番多くあるといわれています。
それを支えてきた精神性は、「諸国客衆繁盛」につながる利他の精神でもあり、
三方良しとよばれる、お客さまや社会にとって良いか、
そして最終的に自分自身にとってもいいかを考えるような在り方が
自然と発露していたから、続いてきたのだと感じます。
こうやって、毎週のように東洋思想の言葉を ブログやメルマガを通じて表現することで、
自分自身にフィードバックがかかるので、本当に自分自身はできているのか?
実践できているのか?と突きつけられています。正直、まだまだですし、
未熟な自分自身と向き合わざるえません(苦笑)
ただ、日本の偉大な先人たちが歩んできた叡智を少しでも学びながら、
実践し、体得できるようなレベルまでいくのが目標なので、
日々未熟さを受け入れながら、実感していきたいと思います。
参考 (『品格を磨く』 高野登著 ディスカバヴァー・トゥエンティワン)