人生をひらく東洋思想からの伝言

様々な東洋思想の言葉やその精神を通じて、ともに学びながら一緒に人生や経営をひらいていけたら嬉しいです。

第16回「円相」(中村天風財団著「中村天風一日一話」より)

2021年12月23日 | 日記

【人生をひらく東洋思想からの伝言】 

第16回 

「円相(えんそう)」(中村天風財団著「中村天風一日一話」より)

 

中村天風と言えば、日本にヨガをもたらし、

数多くの政財界、皇族の方々に影響を与えた偉大な人物であります。

明治時代に満州地域の軍事探偵になり、帰国後に重い肺結核にかかり、

一念発起して心と身体の双方の回復を求めて、

病身をおしてアメリカ、ヨーロッパさらにインドのヨガの里にまで踏み入れ、

そこでインドのヨガ行者である聖者と出会い、

ついにいのちを育む自然界の生命力の流れを実感したのです。

それを基盤に、独自の心身統一法を見出し、多くの方々を心身ともに導いた

日本における精神世界の巨人のひとりであります。

 

数多くの珠玉の言葉を残していますが、それらは本を実際に読んで頂くと実感できますので、

あえて すごくシンプルな言葉をご紹介したいと思います。

 

円相(えんそう)とは、禅の問答などの場で

自分の悟りの境地を示すために描く円のことで、

円は欠けることのない絶対的な真理や境地を象徴して示したものであります。

そして、その円相を天風さんは、次のように表現しています。

 

「○(えん)なるものは剋するものなき円満な象徴である」

 

と、実にシンプルに深く表現しています。

剋するものなきとは、相手とつながり、戦わない、争わない、状態であります。

それは、相手と一体化していて、溶け合っている状態であり、

まさに円満な状態であります。まずは、自分自身がその状態の心をつくることによって、

様々な関係性を円満に築いていけるのではないかと感じました。

 

私も、会社名を「オープンマインド」にしたのも、そんな想いからつけました。

そのような想いを新たに持つという初心にかえり、

これからも自分の状態を円満にしていきたいと思います。

 

 

参考文献 『中村天風一日一話』(中村天風財団著 PHP研究所)    

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第15回 「利他のこころ(送りバントの話)」(白駒妃登美著 「子どもの心に光を灯す 日本の偉人の物語」より)

2021年12月16日 | 日記

【人生をひらく東洋思想からの伝言】

第15回 

「利他のこころ(送りバントの話)」

(白駒妃登美著 「子どもの心に光を灯す 日本の偉人の物語」より)

 

日本の文化や 歴史の素晴らしさを 国内外に発信されている白駒さんの本は、

様々な気づきを沢山いただけます。ぜひ、ご一読をオススメします。

沢山のエピソードがある中で、日本人の美意識や感性を

わかりやすく現しているエピソードがあるので、ご紹介致します。

 

これは、プロ野球・阪神タイガースの往年の名選手であり、

監督としても日本一を経験した吉田義男さんが

フランスのナショナルチームの監督を務めたとき(1990~1995)
のこと。

あるテレビ番組で、帰国した吉田さんがインタビューを受けていました。

 

「フランス人に野球を教えるのに、一番苦労したことは何ですか?」

 

このときの吉田さんの答えが、あまりにも意外だったそうで、

吉田さんの答えは、このようだったそうです。

「それは、送りバントです。フランス人に送りバントを教えるのに、3年かかりました。

フランス人は、『自分がアウトになることがわかっていて、なぜバントするんですか?』

と聞いてくるんです」

つまり、バントを教えるのに3年かかったというのは、技術の問題ではなく、

送りバントの概念を伝えるのに、それだけの時間と情熱が必要だったということなのでしょう。

 

野球とベースボールの違いがあるのかもしれませんが、

日本の野球における「送りバント」は、「自分がアウトになって他者を生かす」という意味ですが、

このような自己犠牲の精神を美しいもの、尊いものとする日本の精神や感性は、

昔も今も変わらないのではないでしょうか。

これは、仏教的には「利他のこころ」とも呼ばれているものです。

 

その本質は、誰かの幸せが私の幸せ。誰かのお役に立てることが私の幸せ、

というような感覚だと思います。

私自身もしっかりと理解し、受けとめて、自ら実践できる一人として

これからも生きたいと思っています。

そして、微力ながらも その精神性を伝えられる日本人の一人として、

これからも様々なことを学びながら、生きていければ本望です。

 

参考文献 『子どもの心に光を灯す 日本の偉人の物語』(白駒妃登美著 致知出版社)

 

 

 

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第14回「生の始めに暗く死の終わりに冥し」(弘法大師「秘蔵宝鑰」より)

2021年12月09日 | 日記

【人生をひらく東洋思想からの伝言】 

第14回 

「生(しょう)の始めに暗(くら)く、死の終わりに冥(くら)し」

(弘法大師 「秘蔵宝鑰(ひぞうほうやく)」より)

 

なんのために我々は生きているのでしょうか?

その問いに明確に答えられる人は、あまり多くはないかもしれません。

何世紀にひとりという優れた才能をもって生まれた弘法大師空海は、

「秘蔵宝鑰」という本のなかで、人間の生と死について考察されています。

 

「秘蔵宝鑰」というのは、「秘密の蔵を開ける宝の鍵」という意味ですから、

きっと弘法大師も、その宝の鍵で人生の秘密の扉を開かれたに違いありません。

 

弘法大師空海は、非常に重要なことを述べるときや感動したときには、

ことばを重ねるのが癖のようです。冒頭のことばは、全文をきちんと引用すると、

「生まれ生まれ生まれ生まれて生の始めに暗く、死に死に死に死んで死の終わりに冥し」

というものです。なぜ、四回も「生まれ」ということばを繰り返し、

また「死に」ということばを繰り返しているのでしょうか?

 

何度も我々は生まれて、何度も死を経験しているのにも関わらず、

その本当の意味を知らずに、繰り返してしまうのが我々人の常かもしれません。

 

古くから「親族のなかより一人出家せば、九族天に昇る」ということばがあるように、

その意味をしっかり知り、この世で実践して生きることで、

その人の一族と過去四代にさかのぼる四族、未来四代にわたる四族、

あわせて九族が天界に昇ることができる、ということを伝えたかったのでしょうか。

 

私自身、五十代になり、死を意識するようになり、

生きることの意味もより考えるようになってきました。

本来、もともと生も死もなかったような夢のような気持ちになった時に、

本質が見えてくるかもしれません。そんなことを意識しながら、

これからの人生を振り返り、向き合っていきたいと思います。

 

参考文献 『弘法大師 空海のことば 』(大栗道榮著 すずき出版)

 

      

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第13回「慎独」(大学)

2021年12月02日 | 日記

【人生をひらく東洋思想からの伝言】

第13回 

「慎独(しんどく)」(大学)

 

東洋思想の根本に、このような言葉があります。

「独り(ひとり)を慎む(つつしむ)- 慎独(しんどく)」

 

まさに、独りのときにいかに過ごすかが大事で、

独りのときこそが自己鍛錬の最も重要な場だということです。

 

「小人(しょうじん)閑居(かんきょ)して、不善(ふぜん)を為(な)す」
 (「大学」より)

 

という言葉があります。これは、小人(立派でない人間・普通の人間)は、

閑居(独りのところ)で 不善(善くないこと、見苦しいこと、悪いこと)を起こすものだと言っています。

 

私の名前は、慎一(しんいち)といいます。

この慎独という言葉を知ったのは、20歳くらいになってからでしたが、

その頃までの人生では、本当の意味を殆ど理解しておらず、全く実践できていませんでした。

その後、東洋思想をいろいろな角度から学ぶようになり、

50歳を超えて、少しづつ自覚ができるようになりました。

まだまだ、至らないことばかりですが、少しでも社会にお役に立てるように

自分自身を整えていきたいと思います。

そして、この慎独の本質を理解し、自分に正直に楽しく生きていきたいものです。

 

参考:古来、私たち日本人の祖先は東洋古典を読むことによって、自らを磨き、高めてきました。
一言で東洋古典といっても膨大な数に及びますが、
その中で特に代表的な九つの経典を総称して「四書五経」といいます。
「四書」とは『論語』『大学』『中庸』『孟子』の四つの書物です。
「五経」とは『易経』『詩経』『書経』『礼記』『春秋』の五つを指します。
今回ご紹介している「大学」とはこの四書五経の四書のひとつです。

 

(参考文献) 『東洋思想に学ぶ人生の要点』(田口佳史著 致知出版社)

 

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