人生をひらく東洋思想からの伝言

様々な東洋思想の言葉やその精神を通じて、ともに学びながら一緒に人生や経営をひらいていけたら嬉しいです。

第114回『霜を履みて、堅氷至る。』(易経)

2023年11月27日 | 日記

【人生を開く東洋思想からの伝言】

第114回

『霜を履(ふ)みて、堅氷(けんぴょう)至る。』(易経)


これは、昔から悪習に親しむことの怖さを教えている格言にもなります。

ちょうど、晩秋の早朝など庭先に出ると薄っすらと霜が降りている時もあります。

今は、わずかな霜がこれから数ケ月経つと、厚い氷になり、

気づいた時には身動きがとれなくなっている。


これが、「霜を履みて、堅氷至る」ということになります。


企業の不祥事や犯罪は、たいていはこの「霜を履む」ことから始まります。

最初はいけないことだと感じていても、

些細なことで「このくらいなら
いいだろう、大丈夫だろう、わからないだろう」と思ってしまう。

それが、落とし穴であり、地獄への始まりです。

だんだんと、悪習に慣れ親しんでいくと、やがて厚みが増し、

取り返しの
つかない大きな禍に至ってしまうのです。

恐ろしいのは、最初はいけないことだと認識があっても、

慣れていくうちに
自分はラッキーだと勘違いしてしてしまい、

善悪の判断がつかなくなって
しまうのが人間の性でもあります。

それゆえ、最初の霜の段階で対策を練るか、そのような環境を最初から作らないようにするなど、

企業内でも、教育でも、家庭でもすべてに通じる
教訓でもあります。

東洋思想は、このように人間の弱さや、心の隙間に魔が入る恐ろしさを

自然に例えて分かりやすく伝えてくれています。

もちろん、誰にでもそのような
可能性はあるので、

身を引き締めていつも意識して、おきたいものですね。



参考資料
『易経一日一言』竹村亞希子著 致知出版社

 

 

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第113回『天下皆美の美たるを知る、これ悪のみ。皆善の善たるを知る、これ不善のみ』 (老子)

2023年11月20日 | 日記

【人生を開く東洋思想からの伝言】

第113回

『天下皆美の美たるを知る、これ悪のみ。皆善の善たるを知る、これ不善のみ』
(老子)


我々は、日常生活で善悪や、美醜、高低など

あらゆることで比較して
物事の本質を見失いがちになります。

すべては、相対的で比較しても意味のないことなのにも関わらず、

あの人より高い、低いなどと比較をしてしまうことがあります。

この世に一人一人が生まれた意味や価値は、もっと深いところにあ

比較しても意味はなく、もっとお互いに助け合ったり支え合ったりすることで

活かしあうことを考えて生きたいものです。

もちろん、私も自分がそのことをさんざんやってきたから、

この言葉が
染み入るのです。


もうそろそろ、比較する人生をやめて、

自分の本来の価値や意味を
受け入れて、生きていこうと思います。

そんな気持ちになる、今回の老子の言葉でした。


参考資料
『ビジネスリーダーのための 老子道徳経講義』田口佳史著 致知出版社




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第112回『蟹穴主義』(渋沢栄一・論語)

2023年11月13日 | 日記

【人生を開く東洋思想からの伝言】

第112回

『蟹穴主義(かにあなしゅぎ)』(渋沢栄一・論語)


渋沢栄一氏は、江戸時代の末期に生まれ、

明治時代に
近代国家を建設するうえで活躍し、

「日本の資本主義の父」
と呼ばれており、大きな働きをされました。


生涯においても、500社あまりの会社を設立し、

資本主義の
発展に寄与し、日本経済の礎を築きました。


その渋沢栄一氏は、幼少期に四書五経を修め、

特にその中でも
孔子の「論語」を誰よりも深く学び、実践し続け、

人生の柱におかれたと
言われています。


*四書とは『論語・大学・中庸・孟子』、
   五経とは『易経・書経・詩経・礼記・
春秋』となります。


今回は、渋沢栄一氏が書かれた『論語と算盤』の中から抜粋した言葉で、

「蟹穴主義」という言葉をご紹介致します。


渋沢氏は、文中でこう語っています。


「私は、蟹は甲羅に似せて穴を掘るという主義で、

渋沢の分を守るということを
心掛けておる。」


いわゆる、自分のできることを知り、分をわきまえるということです。

これは、「小さくまとまれ」という意味ではなく、

自分自身の能力や強みを
発揮し、自分らしいスタイルでやっていくという意味かと思います


蟹は、甲羅の形に合わせて穴を掘ります。

大きい蟹の穴は大きく、小さい蟹の穴
は小さい。

その形も甲羅をかたどります。


まずは、自分自身の事をしっかり知ることが何よりも大切だということです。

それには、まずは目の前のことをしっかり誠実にやっていくことからなのかもしれません。

しっかり、この言葉の本質を理解し、

自分が出来ることを見つめなおしたいと思
います。


参考資料
『論語と算盤』渋沢栄一著 国書刊行会
『渋沢栄一と論語と算盤』齋藤孝著 フォレスト出版

 

 

11月11日、渋沢栄一氏の命日、谷中霊園

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第111回 『神人供食(しんじんきょうしょく)』(神道)

2023年11月06日 | 日記

【人生を開く東洋思想からの伝言】

第111回

『神人供食(しんじんきょうしょく)』(神道)


お祭り(神事)の後には、直会(なおらい)という行事があり、

神職及び参列者が神様にお供えをしたお神酒を戴きます。

これも神事の一部となります。


直会は神様にお供えをした神饌(お食事)を飲食することで、

神様との結びつきをより強くし、

神様との更なる御加護を願う「神人供食」の行事となります。


宮中で行われる 毎年の恒例祭典において、

最も重要とされる新嘗祭(にいなめさい、11/23)では、

天皇陛下が皇祖をはじめとする神々に新穀を捧げ、

陛下御親(みずから)もお召し上がりになられます。

神人供食は、お祭りの根本的な意義をなすものなのであります。


ちなみに、私達が正月三が日に 晴れの食事として食べる「雑煮」は

お供えした鏡餅と神饌の野菜なだを煮て作り、

新年を、迎えた祭りの後の直会でいただく神人供食の料理に由来します。

神道は、我々日本人の生きていくための智慧であり、

在り方の根本にあるものなので、大切にしていきたいと思います。



参考資料 『令和5年11月 生命の言葉 東京都神社庁』




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