【人生をひらく東洋思想からの伝言】
第190回
『徳は事業の基なり』(菜根譚)
これは菜根譚に記された言葉で、
東洋思想の根幹を成す「徳」につ
菜根譚(さいこんたん)は、日本のリーダーや経営者の間で
長年に
明の時代(1368年~1644)末期に、洪自誠(こうじせい)
儒教、道教、仏教の教えを巧みに融合させ、生き方の極意を前集2
要領よくまとめています。私も大好きな書物のひとつです。
その後に続く言葉が、
「未だ基(もと)の固(かた)からずして、棟宇(とうう)の堅久
となります。
これは、簡単に言えば、「土台がぐらぐらしている家は、どんなに
ということになります。
東洋思想において、「徳」とは単なる道徳的な行いではなく、
人間
つまり、人生や仕事において、表面的な成功や派手な見栄えよりも
内面の強さや誠実さが本当に大切だということを教えているのです。
目立つことや、すぐに成果を出すことだけを考えるのではなく、
自
現代社会では、すぐに結果を求められたり、外見や評判に惑わされ
この古い言葉は、本当に大切なのは目に見えない内なる力だと教えてくれます。
目立つ成功よりも、自分の中にある誠実さや、困難な時でも曲げな
長く続く本当の成功につながるのだと思います。
東洋思想が大切にしてきた「徳」、
つまり誠実
どんな困難も乗り越えられる強い土台を作れるのではないでしょう
これからも、大切にしていきたい言葉です。
参考文献 『菜根譚』(今井宇三郎訳 岩波文庫)
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