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俳句雑記帳

俳句についてのあれこれ。特に現代俳句の鑑賞。

鴨(かも)

2011年01月28日 | 俳句
 鴨は冬鳥であるが季語としては四季にわたってある。日本に渡って来るのは秋で、初めての鴨を「初鴨」と言う。「鴨来たる」とか言い方はいろいろあるが、初めて目にする鴨のことである。冬の間はずっと日本にいて春になると帰る。真鴨は3月上旬から5月上旬にかけてサハリン、シベリアへ帰って行く。「春の鴨」は「引鴨」とも「鴨帰る」とも表現される。この時期を過ぎても帰らずに残っている鴨を「夏の鴨」とか「残り鴨」あるいは「通し鴨」と呼ぶ。かるがも(軽鴨)は四季を通じているので通し鴨である。渡り鳥は季語としては秋であるが、春に日本にやって来る鳥もある。春・夏に日本で繁殖するか、越冬するか、通過するかにより、夏鳥・冬鳥・旅に分けられる。

      日当れる石に長居の鴨と亀   嶋田麻紀(しまだ・まき)

 俳誌「麻」1月号より。作者は同誌主宰。
 池の中に石というか岩がある。日が当たっているので亀はその石に乗って甲羅を干している。鴨は水からあがって羽をやすめている。よほど居心地がいいのだろう。両方ともそこに長居しているというのだ。
 まるでカモ爺さんとカメ婆さんの日向ぼっこである。言葉は通じないが居心地のいいことだけはわかるからつい長居をしてしまうのだ。ところでこの長居の状況を観察している作者はどこにいるのか。
 おそらくは池のそばの喫茶店にでもいるのだろう。冬日を浴びて冬のうららを満喫している二人(?)を見ている作者も長居しているのである。作者が立ち上がれば鴨も亀も動くというわけでもない。この競争はいつまで続くのだろう。 

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