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俳句雑記帳

俳句についてのあれこれ。特に現代俳句の鑑賞。

寄居虫(やどかり)

2016年04月18日 | 俳句

  寄居虫は漢字でかくと難しいが、国語辞書的には「宿借り」である。つまり、自分の家を持たないで巻貝などの殻に住むのである。巻貝の殻がいつもあるとは限らないから、寄居虫は常に住宅難にさらされている。寄居虫はエビやカニと同じく十脚目に属する。タラバガニは蟹の名がついているがヤドカリである。

      寄居虫は殻を脱ぐとき見得を切る   中村 遥

句集『海岳』より。

  寄居虫は自分が成長すると体に合わせて殻を探さなければならない。殻は成長してくれないからである。殻の大きさは自分の持っている鋏脚で計るそうだ。体に合った殻を見つけるとそれに乗り移るわけである。このとき「殻を脱ぐ」ことになる。数少ない殻の中から自分の体に合う殻を見つけたのだから、寄居虫にとってこれ以上の喜びはないだろう。すべて水の中で行われる動作であるが、殻を脱ぐときは大きな鋏を上にして立ち上がるような仕草をするから、それが「見得を切る」ように見えたのである。寄居虫の喜びが伝わってくる即興句であるが描写が的確である。


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