12月25日がクリスマスでキリストの誕生を祝う日である。キリストが生まれたのは夜で、その年月日は確かではないという。いつの頃からかローマ教会が12月25日を降誕の祝日としたようだ。キリスト教国ではないわが国でも、一般家庭でクリスマスの行事が行われるようになった。ただ日本におけるクリスマスは宗教行事というよりは、にぎやかに人々の交歓する日となっている。
クリスマス馬小屋ありて馬が住む 西東三鬼(さいとう・さんき)
馬小屋があるのだから、馬が住んでいるのは当り前であるが、それが何故クリスマスなのだろう。話は簡単なことである。キリストは馬小屋で生まれたというから、キリストの誕生日に馬小屋のことを思い出したのである。
今の馬小屋は当り前のように馬が住んでいるだけだが、キリストが生まれるときはマリアが馬小屋にいたのである。その崇高とも言える光景は、今の馬とは関係がないのだが、まるでここで生まれたかのような錯覚に陥るのである。なぜマリアが馬小屋にいたかと言うと、ベツレヘムの宿が全て満員だったからだと言う。
しかし、この手法はやや古いとも言える。キリストが馬小屋で生まれたということを単純にクリスマスと結び付けているだけである。遊びの作とも言えるだろう。人の忌日などではこの手の句ができやすいから注意が必要である。
ジングルベル星を小出しに夜の雲 三好潤子(みよし・じゅんこ)
今日はクリスマスイヴである。街は賑わっているのだろうが私は部屋にいてラジオを聴いている。ジングルベルの歌が流れてくる。橇遊びのアメリカ民謡なのになぜかクリスマスに歌われるようになったそうだ。
窓から外を眺めると、雲が覆っていて星はわずかしか見えない。雲の動きにつれて凍星も少しずつ現れては消えて行く。まるで魔法の大きな手が星を小出しにしているようだ。