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俳句雑記帳

俳句についてのあれこれ。特に現代俳句の鑑賞。

春の暮

2016年04月29日 | 俳句

 暮という言葉には二つの意味がある。一日の暮という場合と、ある季節の終りという場合である。春の暮と言った場合、春の一日が暮れるという意味と、春が終るという意味とがある。しかし、このごろではそれらの混乱を避けるために季節の終りは「暮の春」と言うことになっている。他の季節でも同様である。

     言ひ返す相手の欲しき春の暮  徳田千鶴子

「馬醉木」5月号より。

 今日も春の一日が暮れていく。朝からのことをいろいろと思い返してみると、いろいろと仕事をしたはずなのにどうもすっきりしない。幾人かの人に会っても、はれやかな気分になれないのはなぜだろう。春愁ということでもない。なんとも孤独な寂しさである。そう言えば人に会っても相手の話を聞くばかりで、何も意見を言えなかったような気がする。

 こういう気持になるのは春という気候の特徴とも言えそうだが、もっと元気に言い返せるような人に会わないからだろうか。言い返したり言い返されたりして、会話が弾めばもっと楽しく過ごせるだろうに。ふと、そんなことを思う春の暮であったということだろうか。言い返したいのか、言い返して欲しいのか微妙な心理であろう。


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