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俳句雑記帳

俳句についてのあれこれ。特に現代俳句の鑑賞。

浮巣(うきす)

2013年06月21日 | 俳句

 一般に鳥の巣は春であるが、水鳥の巣は夏になる。鴨の巣、鷭の巣、水鶏の巣、鴛鴦の巣などがある。これらは「水鳥の巣」という季語で代表されるが、かいつぶり(鳰)の巣は特に浮巣と呼ばれる。湖や大きな池には水草の茎を支柱として草の葉を編んだ台状の巣を見かけることがある。葦の林の中にあることが多いようだが、構造はなかなか巧みなもので、水の増減によって上下するようにできている。
 先日、大阪府下で最大の溜池と言われる久米田池(岸和田市)に行ったところ、葦の間ではなくて池の真ん中に浮かんでいる浮巣を見ることができた。卵が孵った後らしく鳰の子が二羽ばかり巣に上がったり水に飛び込んだりして遊んでいた。親鳥はときどき餌を運んでいる。

    うき巣見て事足りぬれば漕ぎかへる  高浜虚子

 なんとも素っ気ない句である。琵琶湖などで舟を出して葦の間に浮巣を見つけると、大騒ぎして感動の声を上げるのだが、虚子先生の場合はもう慣れているのであろうから、浮巣があったというだけでいいのだ。

    遠山は二上山なり浮巣鳥     海 平

 この日の私の句であるが、久米田池のあたりから見える遠山は、二上山や葛城山など大阪近辺の有名な山ばかりであった。浮巣鳥はかいつぶりの異名である。浮巣の上から鳰が遠山を見ていると思えた。