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俳句雑記帳

俳句についてのあれこれ。特に現代俳句の鑑賞。

一夜酒(ひとよざけ)

2016年05月24日 | 俳句

 甘酒のことである。米の飯に麹を交えて発酵させるが、一夜のうちに熟するので一夜酒とも呼ばれる。甘酒よりは酒らしい響きだが、アルコール分は含まない。暑いときに熱い甘酒を吹きながら飲むのは、却って暑さを忘れさせるとして夏の風物として親しまれた。しかし、現在はむしろ冬によく飲まれるようだ。季語としては夏であるが。醴(あまざけ)。

        飛ぶ鳥の白を数へて一夜酒  中村 遥

 飛ぶ鳥の白と言えばまず鴎であろう。鴎の白を数えながら甘酒を飲んでいるというだけのことである。場面の想像はいろいろとできるであろう。鴎の数を数えるというのは、よほど暇なのであろうと思われるが、逆に大きな悩みがあって何も手につかないという心理状態とも考えられる。俳句は作者と鑑賞者の共同作業であるとも言われるところである。


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