「かてめし」
主な伝承地域 秩父地方、さいたま市、比企郡、入間地域
主な使用食材 ご飯、野菜
歴史・由来・関連行事
秩父地方を中心に埼玉県の郷土料理として定着している「かてめし」。特に米の生産量が比較的少ない地域で、ご飯の量を増やすために具材を加えたことからできた料理とされる。稲作に不適な地域では米を主食とすることが難しく、また稲作に適した地域でも、小作農にとって米は地主への地代として貴重な換金作物であった。そのため、冠婚葬祭用の米を取り分けたら残りは売ることが多かったと言われている。余ったくず米のかさを増やして食すために、大根やイモなどの味付けをして煮た野菜を加える料理ができた。埼玉県北部の給食で提供される「かてめし」は酢飯に地域の食材を混ぜ、さいたま市などの南部では、ご飯や薄茶飯に里芋の茎を乾燥させた「ずいき」を使った具を混ぜ込む。秩父地方でも、ご飯に「ずいき」を入れるのが定番。地域や家庭によってご飯の味や具材が異なるのが特徴だ。「かてめし」は家庭料理として親しまれているが、農家にとってハレの日の調味料である醤油を使っていたことから、ハレの日に食べられることも多かったことがわかる。ハレの日に食す飯物としては、五目ちらしよりもよく作られたとされる。特に都市部では、すしと同じようにハレの日に食べられていた。
食習の機会や時季
1月の「山の神」(山仕事をせず山に立ち入らない日)、桃の節句、八十八夜、お盆の入り、恵比寿様の日などの行事食として作られることが多い。
飲食方法
水で戻した干しシイタケやずいき、ニンジン、ダイコンなどの野菜と油揚げやしらたきを炒め、醤油やみりん、酒、砂糖で煮る。炊き上がったご飯、または酢飯、茶飯に煮ておいた具材を混ぜ合わせる。秩父地方では、山菜を加えた「山菜かてめし」の味が伝わっている。
保存・継承の取組(伝承者の概要、保存会、SNSの活用、商品化等現代的な取組等について)
家庭で一般的に作られるほか、県内の飲食店でも味わえる。
*https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/33_6_saitama.html より
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます