リリオー家の月命日。お墓詣りに行って報告。
「姉ちゃん、Y子ちゃんもそっちへ行ったんよ」
「ええ?ホンマ、知らんかった、まだこっちで逢ってないわ。まあ・まず
Y子ちゃんのお父ちゃんとお母ちゃんに逢うてるんやろう。近々、探して来てくれるわ。
そやけど、あんなに元気で病気知らずやったY子ちゃんが、どないしたんや」
「姉ちゃんと一緒や、気が付いたときは手遅れやった」
「そうやな、私も早かった。文楽劇場の舞台にもう一回立ちたかったなあ。でも、
こっちで日舞の稽古はしてるよ。リリオーちゃんに見せてやりたいね・・・アカン、
アカン、リリオーちゃんは未だ来たらアカンで」
「私・・・私も?・・・分かれへんなあ」
「まあ、もうちょっとそっちでいてたらええやんか。そやけど、あんたは慌てん坊
やから・・・心配やけど」
タバコに火をつけ、母と姉に供え、リリオーも1本吸いながら、そんな話をしました。
Y子の時間は止まって動かなくなったけれど、チク・タク・チク・タクとこの世は
動いています。
これからは従姉・Y子の分まで見届けましょう。