岡山市立市民病院 総合診療グループ(ER+GIM)

岡山市立市民病院の総合診療グループである『総合内科』と『救急総合診療科』の日常の雰囲気を伝えていきます。

岡山市民病院ケースカンファレンス(2015/06/26)

2015-06-30 08:24:55 | 院内カンファレンス
おはようございます。Dr.Waveです。

6/26の『岡山市民病院ケースカンファレンス』は急激な性格変化を来して家族に連れてこられた中年女性の一例でした。
まず器質的な疾患を鑑別にあげていきますが、救急外来や初診外来でどこまで行うかがポイントとなります。
これは初発のせん妄や急激な認知症の初回診療でも同様です。

来院時は簡便なSpO2とBlood sugarを確認し、その後は頭蓋内病変と感染症を鑑別とし、頭部画像と採血検査、各種培養を提出します。
髄液検査も積極的に提出しますが、採取髄液はだいたい検体量に限りがあるので追加項目を出せれる状態にしておきます。
採血検査としては電解質や甲状腺ホルモンを中心に確認していきますが、「NH3」や「VitB1」などスピッツが単独で必要な項目は忘れないように提出しておき、ABGによるCO濃度も臨床状況とともに確認しておきます。
問診で拾い上げるのが困難な飲酒状態や薬物摂取に関してはalcoholやtriageを適宜追加します。
そして翌日以降に、その他のホルモン検査、自己免疫抗体検査、脳波検査、SPECTは鑑別診断を丁寧に展開しながら適宜追加していきます。

topicとしては、抗NMDA抗体受容体脳炎という稀で特殊な脳炎があげられました。
診断は髄液抗NMDA抗体になりますが(Golden standardは稀過ぎていまだない)、日本では二か所の施設のみでの測定となります。
診断に難渋するため、現在精神異常をきたし精神科で治療を開始しているケースの一部にまぎれて込んでいる可能性もあるとのことでした。

精神症状が主となる器質的疾患は時として診断が難しいため、今後もより一層の鍛錬を行ってまいりたいと考えています。

S田先生、しっかりとした準備とプレゼンのほどありがとうございました。



















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