岡山市立市民病院 総合診療グループ(ER+GIM)

岡山市立市民病院の総合診療グループである『総合内科』と『救急総合診療科』の日常の雰囲気を伝えていきます。

三豊総合病院「闘魂外来」(2015/08/08)

2015-08-31 20:38:20 | 院外イベント
こんばんは。Dr.Waveです。
2015年度も折り返し地点に近づいています。
良くも悪くもあっという間に時が流れています。。。。


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さて、本日の報告は8/8に三豊総合病院で開催された「闘魂外来」についてです。
Dr.Waveも参加しました。

三豊総合病院は香川県西端の観音寺市にある482床の第一線の研修病院です。
Dr.Waveにとって三豊総合病院は岡山の津山中央病院と共にハード・ソフトともに中国・四国における第一線の臨床研修病院の位置付けです。
病院全体で「臨床教育」に重きを置いており、様々な講師を招聘したセミナーやプログラムを開催しています。
今回の「闘魂外来」も四国初開催となり、中四国におけるleading hospital的な立ち位置であることを示しました。

中四国ではまだ「闘魂外来」の名はそれほど通っていないと思うので、まず説明をしておきます。

「闘魂外来」の設定は『実践型臨床実習』になります。医学生を対象としています。
「①問診②身体診察③鑑別診断④アセスメント⑤プラン」までは大学病院での実習ではありますが、これ以降の「⑥患者説明⑦検査⑧結果説明⑨治療方針決定」を指導医監修のもと疑似体験するところに醍醐味があります(もちろん医学生が単独で行うことはなく、指導医が実際の診療を滞りなく進行していきます)。

勿論前持って患者さんからは同意をいただいています。時間がかかって患者さんからは倦厭されるのではと思われがちですが、普段救急外来で医師に相談できない内容も相談できるので意外なことに満足度は非常に上がります。

闘魂外来が終わった後は「闘魂祭」に移ります。設定は『各チーム対抗のケースカンファレンス』です。
診療の流れや取り組み方、方針について、活発に意見を交わします。
闘魂祭には司会者席に「ゴング」があり、これは話が脱線した際に鳴らされます。「なんだ、それだけの役割かぁ」と思われるかもしれませんが、参加者のなかにはこの「ゴング」が鳴ることを狙い、様々な脱線(いい脱線や単なる笑い的な脱線など様々です)を仕掛けてくるところに闘魂祭の醍醐味があります。
なかなか素人にはこの「ゴング」を鳴らされるには至れないのですが、闘魂祭でこの「ゴング」を鳴らすことを目標とするのも一つの楽しみ方かもしれません(笑)。

今回2日間のプログラムでした(Dr.Waveは初日のみの参加となりました)。

・最初に「闘魂外来」についてオリエンテーションを行いました。
・「闘魂」を注入された学生は研修医やスタッフと共に一つのチームとして救急外来に向かいました。
・同意をいただいた患者さんを実際に診察し、必要があればエコーを行ったり、グラム染色を行ったりします。
・診療の経過時間をきちんと加味しながら診療方針をチームで話し合い患者さんに治療を提供しました。
・皆で遅い昼食を摂った後、「闘魂祭」(ケースカンファレンス)に移りました。
・途中夕食を摂り、即興の出し物などで楽しんだ後、深夜まで「闘魂祭」を行いました。
・翌朝から残りの「闘魂祭」を行い、最後に徳田安春先生による「触診」についての実習を行いました。



「闘魂外来」をDr.Waveも支持します。
医学生の皆さま、学生時代の間「闘魂外来」「闘魂祭」に参加してみることを強くお勧めします。
今回色々ノウハウを教授いただいたので、いずれ岡山の地でも「闘魂外来」もしくはそれに準じた実習を行いたいと考えています。


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参考・抜粋:
闘魂外来とは:
「医師インタビュー企画 Vol.7 徳田安春」
https://career.m3.com/contents/epistle/yasuharutokuda/2

三豊総合病院 闘魂外来レポート
http://www.mitoyo-hosp.jp/rinsho/img/event_report_20150808.pdf

「医桜通信:闘魂外来・闘魂祭in上越総合病院」
http://www.izakura.jp/archives/708/


三豊総合病院について:
「三豊総合病院 卒後臨床研修センター」
http://www.mitoyo-hosp.jp/rinsho/index.html


徳田安春先生について:
「医師インタビュー企画 Vol.7 徳田安春」
https://career.m3.com/contents/epistle/yasuharutokuda

「燃えるフィジカルアセスメント」
http://blog.goo.ne.jp/yasuharutokuda








































OCH救命救急 M&Mカンファレンス(2015/07/31)

2015-08-19 08:22:58 | 院内カンファレンス
おはようございます。Dr.Waveです。

7/31のOCH救命救急 M&Mカンファレンスは「救急外来における妊娠の可能性」についてでした。

妊娠可能年齢の女性を外来で診療を行う際に、どのように妊娠の可能性の情報を引き出すかについてdiscussionを行いました。

きちんと妊娠の可能性があることを伝える人ばかりでないことを大前提で考えることから始めます。
①どのような場合に妊娠の可能性をふせたくなるか、②どのような場合に妊娠の可能性を伝えたくなるか、③どのような場合に妊娠の可能性があるにもかかわらず妊娠の可能性はないと考えてしまうのか、『患者心理学』的視点から検討していく必要があります。
そして妊娠検査の特性を理解し、どのタイミングでどういった形で施行していくのかを考えておかねばなりません。
そして妊娠検査をした場合としなかった場合、それにより検査や処方がどのように変わるのかも把握しておかねばなりません。

臨床研修では「実践」に即した学習をしていかねばなりません。
M&Mカンファレンスはシステム強化ならびに思考過程のトレーニングを行う場として最適です。

桐山センター長、いつもカンファレンスの準備・進行のほどありがとうございます。















OUMCシンポジウム(2015/07/30)

2015-08-13 16:11:46 | 院外イベント
こんばんは。Dr.Waveです。

7/30は岡山大学鹿田キャンパスにあるJ-Hallにて「OUMCシンポジウム」が開催されました。

OUMCとはOkayama Okayama University Medical centerの略であり、OUMC構想とは、医療産業を核に地域再生繁栄した米国ピッツバーグにあるUMPC(University of Pittsburgh Medical Center:ピッツバーグ大学医療センター)をモデルとした事業構想です。

ピッツバーグはかつて繁栄した鉄鋼都市から転落した後、地元財政界・学界の重鎮が医療を柱とした成長戦略ヴィジョンを作成し、世界中からの医療関連の人材、企業、資金、患者が集まる医療産業集積となるUPMCを設けました。
大学付属病院を大学と切り離し法人化させ、提携先病院も合わせて複数の病院を経営統合し、医療事業における民間企業的経営手法を徹底追及し、世界標準の医療事業体インフラを基に海外進出も含めた多角化戦略を策定しています。

UPMCは、具体的には病院20(4500床)、がんセンター、画像診断センター、診療所、介護施設など400を超えるサテライト事業拠として、東西約200km、南北約260kmの地域に機能重複が生じないように最適配置され、外来がん治療や、日帰り手術の普及、入院期間短縮による在宅ケア市場の拡大などから、病院外にシフトした地域住民の医療ニーズに答えます。
人口31万人のピッツバーグながら、UPMCの医療圏人口は400万人を超えています。

UPMCは「医療サービス」「医療保険」「有価証券投資」の三部門で構成され、医療施設投資は各施設単位に行われるのではなく、医療圏全体に広がる医療施設群ネットワークを念頭に置いて行われています。
UPMCによる巨額のIT投資により、地域住民は自宅からインターネットを通じて診療録閲覧、投薬管理、受診予約、専門医検索、健康相談等のサービスが受けられるようになっています。

そしてUPMC、ピッツバーグ大学、カーネギーメロン大学の3者が一体となり、大規模医療事業体であるUMPCを中心として企業や研究施設を集中立地させています。
これらは地域住民に雇用をも産んでいます。

そしてUPMCは患者サービス純収入の約13%を地域貢献拠出とし、非課税優遇で免税となった金額以上の地域貢献をも実践しています。

現在日本では、税金で補助されている国公立病院、非課税優遇を受けているその他の公的病院が同一医療圏にありながらバラバラに経営され、重複投資を伴う過剰設備投資競争に走っています。
セーフティネット医療事業体と、都道府県単位で統廃合が決まっている国民健康保険を連結経営する仕組みを構築すれば、全国各地にUPMCの雛型を生み出すことができるであろうというのがOUMC構想の根幹です。

課題はたくさんありますが、OUMC構想は地方都市である岡山の大きなチャレンジであり、今後の日本の医療を占う試みとなるとなると確信しました。


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岡山大学メディカルセンター構想
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/jjkaigou/dai2/siryou4.pdf
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/bunka/iryou/dai7/siryou1.pdf


医療産業集積ピッツバーグのビジネスモデル UPMC
http://www.canon-igs.org/column/pdf/120912_matsuyama_approach.pdf
←かなり参考にしました。















7月内科歓迎会(2015/7/22)

2015-08-12 09:26:20 | 院内イベント
おはようございます。Dr.Waveです。

6月から入職された呼吸器内科スタッフの歓迎会を7/22に開催しました。
と同時に5-6月に当院で初期臨床研修プログラムのローテーションを行った研修医の歓迎も行いました。

最近は大所帯となり会場の選定に悩むことも多くなりました(逆に選択肢が少ないとも言えますが)。

診療内容には厳しく、人に対しては優しい「内科」を目指していきたいと思います。




















なんでも症例検討会in福山(2015/07/18)

2015-08-11 08:35:53 | 院外イベント
おはようございます。Dr.Waveです。
8-9月は1年を通して病気になる患者さんが若干少なくなりますが、夏季休暇が複数絡み合うのでそれなりにコントロールが必要になる月ですね。


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7/18は「なんでも症例検討会in福山」がありました。
「なんでも症例検討会」は奇数月の第3土曜日に広島市立市民病院にて開催している勉強会ですが、年に1回福山市で開催されます。誰も診断を知らない症例検討会,レクチャー,外部から講師を招いての講演などを行っています

一例目は気道炎治療中のコントロールできない発熱の症例でした。薬剤性肺臓炎が併発したように見えたのですが、治療経過で加湿器による過敏性肺臓炎と診断されました。「確定診断は治癒後にやってくる」という格言があります。初期診断もしくは暫定診断をした後、治療のなかで慎重に経過を評価し、診断や治療の調整を行うことで確定診断に至るというケースでした。また生活に潜むアレルギー性疾患や過敏性疾患を見つける「こつ」を学ぶこともできました。今回の症例は診察する医師次第では迷宮入りする危険は多いにあるケースだと思いました。

二例目は自己炎症性疾患の症例でした。普遍的な採血検査やレントゲンではdetectできず、臨床症状と経過から想起して画像検査をオーダーしないと診断にたどりつけないという内容でした。症例提示された患者さんは複数の施設を受診しながらも診断・治療に至れず、医師の臨床推論スキルの重要性を再認識されました。

特別講義は「hospitalist」というブログで高名な高岸勝繁先生(淀さんせん会金井病院)が「貧血へのアプローチと鉄欠乏性貧血」をテーマにお話いただきました。
なんだ、鉄欠乏性貧血かぁ。それなら知っているわ。と侮ることなかれ。
「教科書的な知識」と「洗練された知識・実践的な知識」は違います。
様々なエビデンスを照会し、「明日からの貧血診療に役に立つ」Tipsをたくさんいただきました。

夜は懇親会があり色々な方と交流を温めることができました。

この「なんでも症例検討会」は本当にお勧めです。いずれ岡山でも同様の多施設ケースカンファレンス&レクチャーを作って育てていきたいと思っています。


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なんでも症例検討会
https://www.facebook.com/pages/%E3%81%AA%E3%82%93%E3%81%A7%E3%82%82%E7%97%87%E4%BE%8B%E6%A4%9C%E8%A8%8E%E4%BC%9A/961830317175717


Hospitalist ~病院総合診療医~
http://hospitalist-gim.blogspot.jp/


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