岡山市立市民病院 総合診療グループ(ER+GIM)

岡山市立市民病院の総合診療グループである『総合内科』と『救急総合診療科』の日常の雰囲気を伝えていきます。

2017年度初期研修選択科目プログラム説明会+後期研修ガイダンス(2016/09/22)(①)

2016-09-29 17:47:55 | システムやプログラムの紹介
こんばんは。Dr.Waveです。

9/22に『2017年度初期研修選択科目プログラム説明会+後期研修ガイダンス』を開催しました。
初期研修医が岡山市立市民病院の研修プログラムを選ぶ際に参考となる説明会です(専属研修医に限らずたすき掛け研修医も対象です)。
今年度第1回のチャレンジ企画です。

市民病院専属研修医8名、大学病院研修医3名の参加がありました。
祝日にもかかわらず参加いただけましたことを卒研センタースタッフ一同感謝を申し上げます。

この機会にブログで当院の初期研修プログラムの内容について情報提供をしておきたいと思います。
①岡山市立市民病院専属研修プログラム
②たすき掛け研修プログラム
を2つに分けて説明したいと思います。

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岡山市立市民病院の初期研修プログラムでは
1年目:
「必須」内科6か月、「必須」救急科2か月、「選択必須」診療科2か月(入職前決定)、「選択」診療科1か月(入職前決定)、「選択」診療科1か月(入職後決定)
2年目:
「必須」救急科1か月、「必須」精神科1か月、「必須」地域研修1か月、「選択」診療科9か月
となっています。

1年目の時の「選択必須」診療科2か月(入職前決定)は、「外科・麻酔科・小児科・産婦人科」から2か月を選びます。
「選択」診療科1か月(入職前決定)は全診療科を自由に選べます。
「選択」診療科1か月(入職後決定)は、9月以降に1か月間設定され(時期は各人で異なり、入職後告示)、全診療科を自由に選べます。実際研修を始めて1年目の1か月選択研修を決めます。5月下旬締切としてます。

「全診療科」とは
○内科:総合内科(内分泌内科・膠原病内科含む)、消化器内科(肝臓内科含む)、神経内科、血液内科、呼吸器内科、糖尿病内科、循環器内科
○外科、整形外科、脳神経外科、皮膚科
○救急科
○麻酔科、小児科、産婦人科、放射線科、リハビリテーション科
○眼科、泌尿器科、心療内科、病理診断科、耳鼻咽喉科
です。

400床の病院ながら、ほとんどの診療科の研修を受けることができます。
あえて研修ができない診療科を言うと、腎臓内科、心臓血管外科、形成外科、漢方診療科といったところでしょうか。

今回の9/22プログラム説明会はたすき掛け研修を受け入れている診療科に限定でしたので、10/28に専属研修医限定のプログラム説明会を行う予定です。

ちなみに診療科のうちわけは次のようになっています。

たすき掛け研修受入可能の診療科:
○内科:総合内科(内分泌内科・膠原病内科含む)、消化器内科(肝臓内科含む)、神経内科、血液内科、呼吸器内科、糖尿病内科、循環器内科
○外科、整形外科、脳神経外科、皮膚科
○救急科

専属研修限定の診療科:
○麻酔科、小児科、産婦人科、放射線科、リハビリテーション科
○眼科、泌尿器科、心療内科、病理診断科、耳鼻咽喉科

次のブログでたすき掛け研修について報告します。
































































救急科主催TPED in OCH開始(2016/9/16)(8/31)(8/12)(7/29)(7/15)

2016-09-23 15:22:51 | 院内カンファレンス
こんにちは。Dr.Waveです。

本日は『TPED in OCH』 (Training Programme of Emergency Department in Okayama City Hospital)の紹介です。

救急科はこの度「TPED in OCH」を立ち上げました。

岡山市立市民病院救急科のおけるトレーニングプログラムです。
まず救急科で研修する初期研修医の教育研修を目的として内容を調整していますが、副目的として岡山市立市民病院救急科として経験と知識を蓄積し、コンセンサスを形成していくことも含んでいます。

TPEDは月2回金曜日15:30-18:30に開催し、1時間ごとの3つのcategoryで構成されます。
最初の2つのcategoryは、「救急ショートケースカンファレンス」「救急画像カンファレンス」「救急感染症カンファレンス」「マイナー救急レクチャー」「手技向上倶楽部」「Journal Club」「UpToDateカンファレンス」「救急DRUGレクチャー」から2つの項目を毎回選び行っています。
最後の1時間は岡山市立市民病院卒研センター主催ケースカンファレンスに参加することとしています。

7/15に紀念すべき第1回が開催され、7/29、8/12、8/31、9/9と5回重ねました。

3時間という時間については長いと感じられる方もいらっしゃると思います。
しかし救急科の勤務形態は日勤、準夜勤、夜勤と不規則であり、研修医のスケジュールをするにも制限がついてしまうため、救急科で研修している研修医を2組に分け、実質月1回の合同トレーニングプログラムの提供としています。

TPEDは合同プログラムのみならず、今後〝daily meeting″と〝on the job training″のプログラムも充実させていく予定としています。
今後ともよろしくお願いします。


TPED(2016/09/09)






TPED(2016/08/31)



TPED(2016/08/12)








TPED(2016/07/29)






TPED(2016/07/15)←第1回!







岡山市民病院CC:救急外来における精神疾患患者の対応 (2016/09/16)

2016-09-23 10:50:32 | 院内カンファレンス
おはようございます。Dr.Waveです。

少しだけブログのreviseを行います。
タイトルにケースカンファレンスのテーマを記載することにしました。
スペースの関係で「ケースカンファレンス」を「CC](Case Conference)に略すことにしました。
見づらい場合はまた元にもどそうと思います。


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9/16のケースカンファレンスは「救急外来における精神的な問題を抱えている患者さんへの対応」がテーマでした。
心療内科の岡部先生のファシリーテーションのもと幾つかのケースを交えて勉強しました。

まず精神的な問題を抱えている患者さんに対応する場合認識することは、
①本人もどうしたらよいか困っていること
②とくに家族や第三者によって連れてこられた場合だが、本人は救急外来の対応を怖がっていること
です。

距離や話しかける角度、環境などを工夫し、なるべく安楽に診療を受けれるように配慮する必要があります。

精神科疾患を持っている場合は、統合失調症、認知症、うつ病、不安神経症、人格障害、パニック障害で病態背景と対応スキルが異なるのである程度勉強しておかねばなりません。

本人の感じている「辛さ」を理解し寄り添う態度を示し、忙しい救急外来のなかでも相手のテンションに合わせ、居場所を感じてもらうことにより、効果的・効率的な診療サービスを提供できます。

そしてコミュニケーションの評価として、①情報がきちんと本人に入っているか、②理解できているか、③本人が自身で判断できる状態か、そして④本人自身で意思を表示できるかを確認しなくてはなりません。

こうした基本的な診療スキルを勉強した後、救急外来で定期的に対応することとなる自殺企図患者さんへの対応の仕方も勉強しました。


どの診療科に進もうとも、精神的な問題を抱えている患者さんへの対応スキルは必要です。
初期研修医に限らず、後期研修医やスタッフでも、その対応が十分できている人は少ないように思います。
今後も定期的に心療内科の岡部先生にそうした対応について教えていただく機会を設けていく予定です。

岡部先生、今後ともよろしくお願いします。










岡山市民病院ケースカンファレンス(2016/09/09)

2016-09-19 21:24:04 | 院内カンファレンス
こんばんは。Dr.Waveです。
シルバーウィーク前半が終了しました。後半戦です。

9/9のケースカンファレンスでは、労作時呼吸苦を訴えた中年男性の一例をdiscussionしました。
運動のあとから出現した呼吸苦で、CT画像でびまん性のGGOをわずかに認めました。

感染症、膠原病、腫瘍性、アレルギー性など様々な鑑別診断があがりましたが、決め手は詳細な問診でした。
詳細に行動履歴をとると、運動後に靴に防水スプレーをかけ一服の喫煙をされていました。
防水スプレーにはフッ素が含まれており、これがタバコにの火による熱を受けると毒性のガスに変化します。

患者さんにとって自身で原因として考えにくい行動履歴はopen questionによる現病歴では拾い上げることはできません。
鑑別診断を挙げたうえでclosed questionとして医師が拾い上げるか、時系列として詳細な行動履歴をとるかをしなくてはなりません。
アレルギー性疾患や化学性疾患では特に注意せねばなりません。

S倉先生、プレゼンテーションのほどありがとうございました。









第1回岡山市立市民病院 救急国際フォーラム(2016/09/09)

2016-09-19 00:29:54 | 院内イベント
こんばんは。Dr.Waveです。
連休は連休で仕事がはかどります。

9/9は救急の日にあたり、岡山市立市民病院救急センター主催として『第1回岡山市立市民病院 救急国際フォーラム』を開催しました。

救急センター長である桐山先生から「岡山市の救急医療と当院の取り組み」を基礎講演いただき、各国から留学や仕事で岡山在住の方々をお迎えして「諸外国の救急医療の現状」をテーマにパネルディスカッションを行いました。
インド・ベトナム・マレーシア・韓国・アメリカ・中国・ネパール・スリランカ・日本のパネリストによって、自国の救急医療の実情や日本で救急医療を受ける時の問題点等について意見交換を行いました。

各国の文化や実情を知ることができ、岡山に住む外国人の方々にどのような救急医療サービスを提供することができるか、するべきかを岡山市立市民病院として多くのことを学ぶことができました。

外国人の方々も安心して生活できる岡山を目指して今後も頑張っていきたいと考えています。






















平成28年度看護師診療補助行為研修〔特定行為編〕(2016/09/07)

2016-09-18 16:09:52 | 院内イベント
こんばんは。Dr.Waveです。

岡山市立市民病院は「救急」「教育」を大きなテーマに様々な取り組みを行っています。
今年度『看護師診療補助行為研修〔特定行為編〕』を開始としました。

2025年に向けた医療提供体制の改革により、チーム医療推進の一環として、特定行為を行う看護師の研修制度が始まりました。
看護師が行う診療の補助行為のうち、38行為が『特定行為』として明文化されました。
その『特定行為』を「医師の指示」のもと看護師が行う場合は、これまでどおり実施することができますが、「医師の手順書」に基づいて看護師が『特定行為』を行う場合、その看護師は指定研修機関において研修を受けなくてはならないこととなります。

当院では既に看護師の特定行為の一部は医師の指示のもと実施しています。
今回当院教育研修委員会は、それらの診療サービスの質を向上させるため、現場の看護師の基礎・応用知識をブラッシュアップすることとしました。
平成28年度は、人工呼吸器の運用や各薬剤(昇圧薬、降圧薬、抗痙攣薬、インスリンなど)の運用について10つのテーマを設定し、呼吸器内科、麻酔科、神経内科、心療内科、糖尿病内科、総合内科のスタッフのもと看護師とワークショップを行うこととしました。

9/7は第一回として人工呼吸器の運用について呼吸器内科スタッフの勝田先生に実施していただきました。
実際の研修を受けての看護師の感想や提案を医師スタッフにフィードバックを行い、研修内容自体も育てていきたいと考えています。

岡山市立市民病院でより良い診療サービスを提供できるよう、各部署間における横の教育・研修プログラムを今後も展開していきます。







救急事例検討会in岡山市立市民病院(2016/09/01)

2016-09-18 15:38:23 | 院内カンファレンス
こんにちは。Dr.Waveです。
レイニーなシルバーウィークもなかなかなものですね。

9/1は『救急事例検討会in岡山市立市民病院』が開催されました。
心疾患と脳疾患の搬送事例について救急隊スタッフ、病院スタッフとでディスカッションをしました。

診療の連続性は普段からのコミュニケーションが効いてくると考えています。

S國先生、O崎先生、症例提示ありがとうございました。






















岡山市民病院ケースカンファレンス(2016/08/26)

2016-09-09 14:39:16 | 院内カンファレンス
こんにちは。Dr.Waveです。
夏休みシーズンが終わりました。
8月は夏季休暇が重なったため、ケースカンファレンスは8/26のみとなりました。

8/26のケースカンファレンスは「入院時フォーカス不明のCRP低値の発熱」の中年男性の症例でした。

ウイルス感染症や薬剤熱を想定しながら、膠原病や悪性腫瘍からの発熱も鑑別リストに挙げながら観察していました。
入院後2日目に転倒があり、3日目に再度転倒があったため、単なる高熱による脱力による転倒でないことに気が付きました。
同日下肢筋力低下と排尿障害を確認し、頸部MRIと髄液検査を行い、「Elsberg症候群」に至り、髄膜炎の治療を速やかに導入することができました。
翌日に痙攣が起きましたが、その後後遺症を残さず回復したため、速やかな診断が有効であったと考えられました。

当症例では髄膜刺激症状は入院時から診断時まで乏しかったため、この病態を知らなければ速やかな診断が難しかったと思います。
更に診断当日まで尿意と自律排尿があり、本人の残尿感と腹満感がなかったため、神経因性膀胱の診断には排尿後残尿の確認が必要でした。
ADLが元々悪い場合は転倒というイベントがないため、排尿障害の察知が早期診断にいたる病態です。
神経因性膀胱を疑い、診断をする方法を知っておくことが大切です。


考察では、CRPが上がりにくい病態の鑑別診断、特殊な髄膜炎、排尿障害の診断手順を勉強しました。
そして、鑑別診断を丁寧に挙げながら、入院後も注意深く観察することの重要性を再確認しました。

clinical pearlに富んだケースカンファレンスでした。
S田原先生、症例提示のほどありがとうございました。









救急メディカルデバイスワークショップ(2016/08/04)

2016-09-01 13:14:07 | 院内カンファレンス
こんにちは。Dr.Waveです。
9月に入りましたね。気温もよくなったのでよかったです。


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岡山市立市民病院では7月末より救急外来で医師が直接グラム染色検査を行えるようになりました。
感染症診療における「見える」化の効率化は、診療の質の向上が得られます。
研修医にとっても感染症診療スキルを上げるための近道となります。

8/4の『救急メディカルデバイスワークショップ』ではグラム染色を取り上げました。
検査科の山田先生に基調講演を行っていただきました。

元々細菌検査室に依頼すればグラム染色検査を自分で確認することができましたが、距離が離れることからアクセシビリティの観点からやや難点となっていました。
この度、尿と髄液と体液(胸水・腹水・関節液など)については救急外来でグラム染色検査を自分でできるようにしました。
喀痰については結核感染のリスクも踏まえ、現時点では細菌検査室の然るべきエリアで行うようにしています。

感染症が本体であるかどうか、感染症であればどんな微生物が原因であるか、抗菌薬の選択をどのようにするかなど、迅速に効果的に判断することができるようになりました。
救急科での救急内科領域の研修の一環としても力を発揮しています。


検査科と看護部の多大なる協力によって救急外来でのグラム染色検査が可能となりましたが、今後維持していくためには、「検体確保・管理」、「機材維持管理」、「環境維持管理」が必要となり、多職種スタッフの協力が必要となります。

今回のワークショップでは、グラム染色検査の意義、方法、準備、管理、ルールとエチケットを具体的に確認をしました。
今後も救急外来でのグラム染色検査を積極的に行い、患者様に提供する診療サービスの向上に努めてまいりたいと思います。