大磯の風

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『大磯ゆかりの文人』 高橋誠一郎

2012年05月30日 05時13分14秒 | 日記

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                      『大磯ゆかりの文人』 高橋誠一郎

                戦後第一時吉田内閣で文部大臣を努め、経済学者・文人・

                浮世絵コレクターとして名高い高橋誠一郎が大正4年から

                60年以上の間暮らし、愛してやまなかった大磯の地。

                (随筆集・虎が雨)は、著者の山荘暮らしと、交遊について

                綴られた随筆が収められ、曽我兄弟と虎御前の悲恋を描いた

                「虎が雨」など、大磯にゆかりのある話が登場します

                                ***

                              虎が雨

                 「二十年も昔のことである。  山荘の形ばかりの門を

                 くぐって、楓の青葉に覆われた長い急な坂道を登って

                 行くと、その中途の腰掛台に、二人の婦人の休んで

                 いるのが見えた。 ・ ・ ・ 

                 大磯といえば、「虎御前」以来、遊宴の地を想像させら

                 れる。  初代広重の描いている「虎が雨」に濡れた海浜

                 の古駅の趣きは、いつか、明治版画のあくどい「大磯海水

                 浴繁昌之図」と代わった。  しかし、その繁昌も永くは

                 続かなかった。  今では、大磯にただ一人の芸者もいない。

                 二十年前に坂の中途で二人の婦人にあったのも、ちょうど

                 今頃のような気がする。  虎が雨というのはやはり今頃

                 降る雨であろう。  楓の青葉に、今、細い雨が降りそそい

                 でいる。」   (『三田文学』 昭和十六年8月号)

                      (写真は、王城山麓の旧高橋誠一郎邸の入口)

 

 

 

 

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