事件の概要
平成23年(2011年)3月11日の14時46分に発生した東日本大震災の津波被害によって、東京電力福島第一原子力発電所が大きな損傷被害を受けた。この損傷によって、放射性物質が漏れ出したとして、避難命令が出され、避難地域の病院に入院していた患者も避難せざるを得なくなり、44人が避難途中の劣悪な環境によって亡くなった。
この避難によって、亡くなった人に対する責任を問うとして、東京電力の当時の経営陣である社長と副社長が、業務上過失致死傷罪の容疑で強制起訴されていた。
この裁判は、検察庁による捜査では不起訴であったが、検察審査会では起訴相当とされた。そして、検察庁では再度の不起訴とされた。しかし、再度の検察審査会で起訴相当とされて、強制起訴されたものである。法律の専門家である検事が二度に渡って不起訴としていたものである。元々無理筋の起訴であり、裁判であった。なお、この地震は、発生時点において日本周辺における観測史上最大の地震であり、「千年に一度」と言われる規模であった。
令和元年9月19日に東京地裁では、東京電力の当時の経営陣に対して「無罪」との裁判がなされた。きわめて冷静で真っ当な判断である。
なお、この裁判で検察役をしていた指定弁護士は、「控訴すべきか検討する」とのことである。
筆者の考え
東京電力福島第一原子力発電所の設備は、基本設計は米国GE社製で、ターンキー契約である。ターンキー契約とは、完成品を受け取り、キーを挿すことにより動作するという形で納入されている。これは、例えれば、車を買って運転して使用するような形態である。
しかし、敷地の造成は別契約であり、東京電力が施工した。しかし、敷地の標高はGE社から、高くすると「揚水コストが高くなる」との申し入れがあり、過去の津波の高さを勘案して10mとされた。この高さの不足が今回の事故の原因となったのである。後に建設された日本製の原発では、この標高はもっと高くとられている。すなわち、GE社は、日本の自然環境のことを良く知らなかったのであろう。
そして、大震災の発生時、原子力発電設備は安全に停止していた。しかし、その後の大津波によって、原子炉を冷却する機器が被害をうけてしまい、冷却ができなくなり、水素爆発、炉心溶融などの被害を発生させたものである。
この福島原子力第一発電所の設備は、1971年3月に運転開始していて、事故当時は丁度40年経過している老朽化したものであり、廃炉が検討される時期にあった。
しかし、運の悪いことに、2009年に民主党政権が誕生し、鳩山由紀夫内閣が発足していた。鳩山は、「宇宙人」など呼ばれていたが、後には「ルーピー鳩山」と呼ばれ、産経新聞によれば「憲政史上に残るほど愚劣な宰相」と評された人物である。この鳩山が国連で「CO2、25パーセント削減」などと「勝手に演説」してしまい、国際公約をしてしまった。そのため、原子力発電の比率を大幅に高くしないと、国際公約は実現できないことになった。そのため、民主党政権では、新規の原発を新設する計画を立てていたのである。このような状況下で、老朽化していた福島第一原子力発電所も、停止どころか、継続して運転しなければならなくなっていた。
東日本大震災のとき、総理大臣は民主党の菅直人(現在、立憲民主党)であった。この男、大した知識もないのに「俺は原子力の専門家だ!」と豪語し、視察と称して、混乱を極めている福島第一原子力発電所を訪れ、現場の混乱を増加させたのである。加えて、他にも実態に合わない、トンチンカンな指示、また細かな指示を「総理大臣からの命令」として次々と出していた。そのため、現場は混乱し、対策の遅れに繋がり、海水の注入が遅くなり、水素爆発を引き起こしたのである。今、「あの程度の被害」で済んだのは、当時、現場を取り仕切っていた 吉田昌郎所長 が官邸に逆らって海水の注入をしたためである。いわば、日本人の命の恩人である。
また、当時の官房長官は枝野幸男(現在、立憲民主党)であり、事故に関するスポークスマンであった。原発の爆発の当時、「ただちに影響はない」との「迷セリフ」をしばしば発していたことを覚えている人も多いであろう。そして、何らのマトモな検討もせずに、「アチラだ」「こちらだ」と、デタラメな避難指示を出して、現場を混乱させ迷走させたのである。
そのような混乱の中で、今回の業務上過失致死傷罪に問われた、大熊町の双葉病院に入院していた44人の死亡である。死亡された方には深くお悔やみを申し上げる次第である。
この病院の入院患者の避難は、行先も不明なまま、「あちらだ」「こちらだ」と迷走した避難をさせている。これでは亡くなって当たり前である。これらの陣頭指揮を執っていたのが枝野である。
したがって、これらの入院患者が亡くなっていることで、過失致死傷罪で罰するのであれば、当時の民主党・総理大臣であった菅直人、官房長官の枝野幸男(別名「詭弁番長」)、原発を所管していた経済産業大臣の海江田万里である。
東京電力の経営陣は、政府から原発の運転停止命令を受けている訳でもなく、新規に原発を新・増設せざるを得ない状況にあり、震災前に、1千年に一度の津波を想定して、さしたる根拠もない予測によって原発を停止することは不可能である。東電に責任を押し付けるのは、論理が合わない。
もし、津波が予測できたのであれば、津波による死者1万5千人余は、何故、助からなかったのであろうか。論理矛盾も甚だしいのである。
こうしたなか、以前に、民主党では当選が覚束なくなり、看板を掛け代えていた幾つかの政党が連合したとのこと。まるで民主党の再来である。有権者は、民主党のインチキ、政権担当能力のない輩ばかりであったことを思い出し、投票は慎重にするべきである。「悪夢の民主党」政権の再来だけは遠慮したいものである。あの連中に政治を任せたら、命の心配をすることになるであろう。
なお、付け加えておくと、今回の裁判の原告団を唆しているのは、左翼勢力のようである。
了
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