記日きつい思れぐま気 from バンクーバー

2012年4月から妻の海外赴任に伴い主夫業と育児に励む30代男性の日常。バンクーバー関係ないことも多々あります。

感想文「スパイス、爆薬、医薬品」

2012-03-03 20:47:48 | 本の感想
めっちゃくちゃ面白かった。僕の中で今年のNo.1候補。まだ2ヶ月だけど、それくらい面白い。

内容は、スパイスに始まりDDTなどの有機塩素化合物にいたるまで色々な化学物質がどのように世界史に影響を与えたか、という化学と歴史の両方の面から迫るというもの。解説のために化学の構造式が随所に出てきますが、わかりやすく解説してくれているし、わからなくても問題はありません。でもわかった方が面白いと思います、当たり前ですけど。

そしてこの本を面白くしているのは、17つの章立て1つ1つが関連性を持って結びつけられているということ。第1章で扱われるスパイス(胡椒、ナツメグ、クローブ)はその貴重さ故に大航海時代の幕開けを担いました。大西洋を通るという別ルートでインドへ行こうとし、アメリカ大陸を発見したコロンブスの話は有名ですね。しかし大航海は壊血病というビタミン欠乏症による恐ろしい病気を呼び、そしてそれはアスコルビン酸(ビタミンC)の発見へとつながります。ここではバスコ・ダ・ガマやジェームズ・クックが登場します。そこからさらにグルコース(砂糖)、セルロース(綿繊維→サトウキビと綿は奴隷制度の象徴と言ってもいいかもしれません)、ニトロ化合物(爆薬→戦争)、、、と連想ゲームのように化学物質と歴史が複雑に絡まり合いながら紹介されるのです。それらはときに奴隷制度と密接に絡み合い、あるいは戦争、あるいはビジネスとつながりながら進化・発展を遂げていきます。これらをきれいにまとめあげたこの本は、知的好奇心を存分に満足させる珠玉の一冊といえましょう。オススメです。

スパイス、爆薬、医薬品 - 世界史を変えた17の化学物質
クリエーター情報なし
中央公論新社

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