カカポの庭

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手拭い作り*注染実習塾*

2005年10月29日 | 日記
今日は東京和晒さんの手拭い作り教室に行きました。

注染とは、注ぎ込み染めとも言います。
染液を布地に注ぎこんで染める方法です。

教えてくださるのは、この道50年の職人さん、大学院生で注染を専攻されているかわいらしい女の子先生、他の注染工房の先生の三人の方。

まず、晒に型を置き、色を染めないところに糊をのせる練習。
この糊をのせる作業が一苦労。
職人さんがヘラでぱーっとのせると均一にきれいに糊がのるのですが、私がやるとでこぼこ。
失敗したところは、職人さんが手伝ってきれいに伸してくれます。
長い晒を使うので、たたみながら糊をのせ、何層にも重ねます。

糊付けが終わったらいよいよ色をつけます。
色を分けるところは、糊で土手をつくり他の色のところへ流れないように。
(でも少しにじむのですが)
「バケツ」という小さなじょうろに染液を入れ、布地に色を注ぎます。
※この「バケツ」を作る職人さんは現在ひとりしかいらっしゃらないとのこと。今後どうなるのでしょう…。
色はハケで塗る方法しか体験したことがなかったので、「注ぐ」というのにはびっくり。
気を抜くと、すぐにジャーっと流れてしまうので、慎重に慎重に。
注いだ液は、どういう仕組みなのか台にあるペダルを踏むと、下に吸い取られます。

色をさす工程が終わったら糊を洗い流します。
ああ、にじんじゃった、はみでちゃった、などなど思いながらも糊を洗い流すと、白い晒に自分のおいた色が出てくるのはうれしいもの。
洗って、脱水して、乾燥をかけた後は、職人さんが機械で丁寧に布を巻いてくれます。

と、こうして書くと簡単になってしまいますが、これがとても大変な作業。
立ちっぱなしで、いつもしない格好をするので、肩、腰、足がぱんぱん。
職人さんが「正直体力仕事ですよ」とおっしゃっていましたが、本当に!

昔、職人さんの月のお給料は公務員の3倍だったそうです。
(そのうち4ヶ月はお休みなので年間にすると2倍くらい)
そう、職人さんの仕事は、誰にでもできることではないのです。
技術が必要、修行が必要、手間のかかる仕事、体力を使う仕事…。

職人さんが現代の浴衣のお話をしていました。
今安価で季節に販売される浴衣の多くは、プリントもの。
インクでプリントしているから、汗を吸わない、通気性が悪く暑いそう。
「本物の浴衣は全然違うよ。すぐわかる。それに汗を吸うし気持ちがいい。でも手間がかかる分高いからね、今は年に何遍も着ないでしょ、だからその時きれいに見えたらね…。」
最後は、ハハハ、と明るく笑っておしまいにした職人さん。

本物、というものは、必要な工程、必要な労力を経た中から生まれ、人に親しまれるもの。
身につけたり、使うものだったら心地のよいものだと私は思う。
今の時代は何でも早く、簡単に、手に入り、便利な世の中。よいこともたくさんあるでしょう。
でも、その中でも本物に触れる、本物を知ることを大切にしていきたいなと思う。

職人さんはとても明るく優しくお元気で、まだまだお話伺いたかった…。
次回は型作りの講座を予定しているとか!ぜひ行ってみたいと思う。
注染もまたやってみたいな。

*写真は私が染めた手拭い。




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