船は、出港した。
30年前の、横浜大桟橋付近。
出港時、一応見送りの人が紙テープ投げてくれたりする。
旅の連れは、同じ年のむっちゃん。
見送りには、むっちゃんの幼なじみが来てくれた。
一応、紙テープ投げたりする。
既に、小雨。
部屋は、お金がないので三等船室。
二段ベッドが2台の4人部屋。
住人は、私らだけ。
部屋には他に、鏡と、3段の引出箪笥がある。
後、丸い窓。私のちょうど頭くらい高さのところにある。
写真の矢印の位置だ。
1時間ほどで、東京湾を出る。
この頃から、船が揺れ始める。
だが、まぁこれくらい...
昼食の時間になり、食堂へ行ってみる。
当然、ロシア料理。
はっきり言って、ロシア料理はあまり美味しくない。
しかも、物資不足のソ連である。
パンは酸っぱい。
ゆでイカの生クリーム和えとか、吐きそうになる。
いったい何の油なんだか、ものすごく臭い油と、半分くらい塩かと思うほどに塩辛いオイルサーディン。
あれから、30年、私は未だに鰯のオイルサーディンが食べられない。
だが、取り敢えず、ほとんど食べる。
まさか、これが船で最後の食事になるとは、思わなんだ。
夕方から真剣に時化る。