沼隈文化財研究所

「温故知新」
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弥生時代中期前半の集落の検出

2006年10月31日 | 発掘調査情報

[金井原(かねいばら)遺跡]発掘調査現地見学会


<場所>世羅郡世羅町川尻
<日時>平成18年(2006年)10月28日(土)13:00~15:30
<調査主体>世羅町教育委員会・(財)広島県教育事業団埋蔵文化財調査室



     (遺跡全景西から)

この調査は、国道432号線改良工事に伴う調査で、昨年から今年度に亘り
調査を行った。
それにより、住居跡をはじめとする集落・土坑墓・建物跡などを検出した。
金井原遺跡の面積は、約4000平方メートルで(長さ120m幅30~60m)
北西斜面は、昨年の調査で全体の1/3を調査し、


今年は残りの2/3の調査を行った。
今年の調査期間は8月末から11月上旬まで行う。
住居跡6棟分、建物跡4棟分、墓坑10基、柵跡4個など検出した。


出土遺物は、紡錘車30点、管玉1点、石族30~50点、弥生土器片、
石斧、石包丁等が出土した。



    (出土した石鏃)

この遺跡の特徴は、住居跡の中央に炉穴が掘られているが、火を焚いた跡では無く、
住居跡の半分で、石族やその破片、作りかけのクズなどが出土し、
残りの半分で紡錘車が出土している。


        (住居跡2)


        (中央穴断面)


      (出土紡錘車)

建物跡については、山際の建物は柱跡が1列しか残ってなくて、作業場的なものと考えられている。平地部(昨年調査箇所)の建物跡については、柱跡から3棟分が確認された。
柵列については、斜面に対して平行に作られている。唯一つだけ斜面に対して垂直に作られていた。

墓坑群は集落より、約10m程、離れた北西場所にあり、
側板を持いて小口の跡を確認している。
これは、柩棺を使用したものと考えられて、大人用と少児用とが検出されている。


       (墓坑群)

一箇所の土坑から縄文土器が出土しているが、
この集落遺跡との関連性については検討中である。
そのほかの土坑からは土器の出土を見ていない。


石器については、
石族は、ギザギザの付いた石族の出土と、錐用の石族が出土している。
また石斧について、蛤形石斧と柱状片刃石斧(1点)が出土している。


        (石斧)


        (石包丁)


      (弥生土器片)

本遺跡の発掘調査による成果
・広島県において、弥生時代中期前半の村の調査が出来た。
・1っの遺跡の中で、集落と少し離れて墓地の調査が出来た。
・住居の中での生活の一端が判った。
・埋葬のなかでの精神性の一端を検出することが出来た。

                   概略以上
                   文責/椿庵



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