「国史跡甲立古墳」発掘調査現地説明会（見学記）
日時：令和元（2019）年１２月１５日（日）13:30～16:00
場所：安芸高田市甲田町上甲立字江田
安芸高田市生涯学習課 川尻・小倉課長
講師：沖田健太郎 氏
［概要］
遺跡整備計画に基づき、遺構の整備を行っている。
平成２８年３月１日に国の史跡指定を受けて、
７月から再調査を進めている。
「甲立古墳」の此の度の調査では、
１として、
隆起斜道（前方部墳頂と墓壙がある後円部墳頂を結ぶ道）を検出。
２では、後円部北西側の掘り込み位置と後円部第１・２斜面の収束と
第２テラス及び埴輪樹立痕、地山造成面、外縁に石敷き遺構の検出。
３として、大規模な基礎工事（地山の削り出しと盛り土による墳丘の造成）。
４では、石材の使い方に差が見られる。などの調査結果が得られた。
現時点でのピンホールが置いてある場所は、「円筒埴輪」痕がある場所です。
円筒埴輪の間隔は、１m20cmを計っている。墳丘裾の部分にも円筒埴輪痕
が見つかり、その間隔は、3m80cmを計っていて、場所によって間隔が違っている。
後円部・前方部のテラス面が異なっている。埴輪列が後円部の埴輪列と差がある。
後円部は、三段築成となっている。
第２トレンチでは、後円部二段目の傾斜と墳丘の外縁ラインの石は、角礫を並べている。
石材の使い分けをしているのが見られる。外縁部の石を敷いている。
構造としては埴輪列が無い。埴輪の残痕が残っている。
出土遺物は、第２トレンチ出土の物を持って来ている。
古墳自体の年代は、４世紀末から５世紀に掛けての古墳と判断している。
第３トレンチでは、後円部山側のトレンチで、地山を削り出して
その上に古墳を築いている。後円部の石が出てくるが、石は尖っていない。
第２トレンチのテラス部分が続いている。葺石と外側の石の使い方が違う。
葺石は丸く、外側の石は角ばっている。
古墳儀式の石造りをしているのではないか。
埴輪の樹立間隔は、90cm以上離れている。
この古墳の正面は、江の川（可愛川）に向いている。
（概略以上）
［甲立古墳の基礎的データ］
墳長：77.5m、後円部最大長：54.6m、後円部墳長径：13.0m、
前方部長：29.0m、前方部幅：30.5m
［案内パンフレットより］
甲立古墳は、広島県の山間部、安芸高田市甲田町の菊山山腹に
築造された前方後円墳で、中国地方の代表的河川・江の川（可愛川）と
その支流が合流する、交通の拠点に位置する。
平成20年に偶然発見され、平成22年から、規模などを確認するための
部分的な発掘調査を実施した。
調査の結果、墳丘傾斜の葺石、各段の埴輪列、後円部墳頂の墓坑、石敷区画
などを検出した。
特に石敷区画からは、ほぼ完全に復元された家形埴輪など５基の家形埴輪が
一列に配置された状態で検出されるなど、極めて保存状態の良い古墳と解った。
このほか子持家形埴輪や最古段階の舟形埴輪が出土するなど、
重要な発見が相次ぎ、古墳時代前期末（４世紀末頃）の築造で、
整った墳丘、精巧な埴輪など、当時の中心地である畿内地域の古墳と同様の技術が
顕著に認められることから、甲立古墳の築造に大和政権が直接的に関与したと考えられる。
石敷き区画に並べられた家形埴輪は切妻造高床建物２基、
特異な囲形（かこいがた）状１基、小型の家形２基で、いずれの埴輪も写実的でシャープな
仕上がりであることから、高度な技術を持った埴輪工人が製作に携わったと考えられる。
また、後円部墳頂の浅い落ち込みからは、全国的に珍しい子持家形埴輪が出土している。
更に、普通円筒埴輪、朝顔形埴輪、楕円筒埴輪、などの円筒埴輪と蓋（きぬがさ）形埴輪と
甲冑形埴輪舟形埴輪などの形象埴輪が出土している。
高い技術により丁寧に作られており、当時の国の中心であった機内の古墳出土の埴輪と
比べても遜色のない埴輪が出土している。
古墳全体の状況は、墳丘全体を丸い石で被われた状況と墳丘の裾部分は角ばった石の
使用が認められ、石の使い分けが見られ、それを取巻くように円筒埴輪を巡らしている。
このような状況の前期末の前方後円墳では、非常に珍しい造り方と丁寧な造り方をしている。
（文責：芦田流水）
現地説明会風景
後円部
前方部
後円部と前方部の境
トレンチ１
トレンチ１西側
トレンチ３
トレンチ２
トレンチ３
トレンチ４
円筒埴輪出土状況（トレンチ１）
円筒埴輪出土状況（トレンチ１）
円筒埴輪出土状況（トレンチ３）
円筒埴輪出土状況（トレンチ１）
出土遺物（円筒埴輪）
出土遺物（形象埴輪）
墳丘全体図と立体図
調査図とトレンチ図
日時：令和元（2019）年１２月１５日（日）13:30～16:00
場所：安芸高田市甲田町上甲立字江田
安芸高田市生涯学習課 川尻・小倉課長
講師：沖田健太郎 氏
［概要］
遺跡整備計画に基づき、遺構の整備を行っている。
平成２８年３月１日に国の史跡指定を受けて、
７月から再調査を進めている。
「甲立古墳」の此の度の調査では、
１として、
隆起斜道（前方部墳頂と墓壙がある後円部墳頂を結ぶ道）を検出。
２では、後円部北西側の掘り込み位置と後円部第１・２斜面の収束と
第２テラス及び埴輪樹立痕、地山造成面、外縁に石敷き遺構の検出。
３として、大規模な基礎工事（地山の削り出しと盛り土による墳丘の造成）。
４では、石材の使い方に差が見られる。などの調査結果が得られた。
現時点でのピンホールが置いてある場所は、「円筒埴輪」痕がある場所です。
円筒埴輪の間隔は、１m20cmを計っている。墳丘裾の部分にも円筒埴輪痕
が見つかり、その間隔は、3m80cmを計っていて、場所によって間隔が違っている。
後円部・前方部のテラス面が異なっている。埴輪列が後円部の埴輪列と差がある。
後円部は、三段築成となっている。
第２トレンチでは、後円部二段目の傾斜と墳丘の外縁ラインの石は、角礫を並べている。
石材の使い分けをしているのが見られる。外縁部の石を敷いている。
構造としては埴輪列が無い。埴輪の残痕が残っている。
出土遺物は、第２トレンチ出土の物を持って来ている。
古墳自体の年代は、４世紀末から５世紀に掛けての古墳と判断している。
第３トレンチでは、後円部山側のトレンチで、地山を削り出して
その上に古墳を築いている。後円部の石が出てくるが、石は尖っていない。
第２トレンチのテラス部分が続いている。葺石と外側の石の使い方が違う。
葺石は丸く、外側の石は角ばっている。
古墳儀式の石造りをしているのではないか。
埴輪の樹立間隔は、90cm以上離れている。
この古墳の正面は、江の川（可愛川）に向いている。
（概略以上）
［甲立古墳の基礎的データ］
墳長：77.5m、後円部最大長：54.6m、後円部墳長径：13.0m、
前方部長：29.0m、前方部幅：30.5m
［案内パンフレットより］
甲立古墳は、広島県の山間部、安芸高田市甲田町の菊山山腹に
築造された前方後円墳で、中国地方の代表的河川・江の川（可愛川）と
その支流が合流する、交通の拠点に位置する。
平成20年に偶然発見され、平成22年から、規模などを確認するための
部分的な発掘調査を実施した。
調査の結果、墳丘傾斜の葺石、各段の埴輪列、後円部墳頂の墓坑、石敷区画
などを検出した。
特に石敷区画からは、ほぼ完全に復元された家形埴輪など５基の家形埴輪が
一列に配置された状態で検出されるなど、極めて保存状態の良い古墳と解った。
このほか子持家形埴輪や最古段階の舟形埴輪が出土するなど、
重要な発見が相次ぎ、古墳時代前期末（４世紀末頃）の築造で、
整った墳丘、精巧な埴輪など、当時の中心地である畿内地域の古墳と同様の技術が
顕著に認められることから、甲立古墳の築造に大和政権が直接的に関与したと考えられる。
石敷き区画に並べられた家形埴輪は切妻造高床建物２基、
特異な囲形（かこいがた）状１基、小型の家形２基で、いずれの埴輪も写実的でシャープな
仕上がりであることから、高度な技術を持った埴輪工人が製作に携わったと考えられる。
また、後円部墳頂の浅い落ち込みからは、全国的に珍しい子持家形埴輪が出土している。
更に、普通円筒埴輪、朝顔形埴輪、楕円筒埴輪、などの円筒埴輪と蓋（きぬがさ）形埴輪と
甲冑形埴輪舟形埴輪などの形象埴輪が出土している。
高い技術により丁寧に作られており、当時の国の中心であった機内の古墳出土の埴輪と
比べても遜色のない埴輪が出土している。
古墳全体の状況は、墳丘全体を丸い石で被われた状況と墳丘の裾部分は角ばった石の
使用が認められ、石の使い分けが見られ、それを取巻くように円筒埴輪を巡らしている。
このような状況の前期末の前方後円墳では、非常に珍しい造り方と丁寧な造り方をしている。
（文責：芦田流水）
現地説明会風景
後円部
前方部
後円部と前方部の境
トレンチ１
トレンチ１西側
トレンチ３
トレンチ２
トレンチ３
トレンチ４
円筒埴輪出土状況（トレンチ１）
円筒埴輪出土状況（トレンチ１）
円筒埴輪出土状況（トレンチ３）
円筒埴輪出土状況（トレンチ１）
出土遺物（円筒埴輪）
出土遺物（形象埴輪）
墳丘全体図と立体図
調査図とトレンチ図
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