沼隈文化財研究所

「温故知新」
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神辺御領遺跡(第7次調査)現地見学会

2013年12月15日 | 発掘調査情報

  日時:平成25(2013)年11月30日(土)13:30~14:15
 調査主体:(公益財団法人)広島県教育事業団埋蔵文化財調査室
 後援:福山市教育委員会
 現地説明員:尾崎光伸氏(主任調査研究員)
 参加者:約50名


             (発掘調査区 位置)



       (調査区 A区B区)


       (調査区 A区B区C区)



     (調査区A区 現地説明会風景)


      (調査区B区で現地説明会風景)


[調査区全体の説明]
説明前に皆さんへ3点程周知事項
1)調査区に設定している杭の間隔は、10mの間隔で打っていて、
南北に設定しています。
2)直角の四角の堀跡は、試掘掘りした跡です。
3)砂利や砂が出土していますが、これは遺構面の下部の層より飛び出しているものです。


[調査区A区の調査現地説明]
 今回の調査は、8月19日から調査を開始し、来年の1月半ばまで実施します。
 今回の調査区は、A区・B区・C区と調査を行っていますが、
それぞれの調査区の時代が異なっていて、この状況が特異な感じがします。


 A区は、奈良平安時代のものが出土し、B区は、奈良平安時代のものが出土しなくて、
弥生時代後期から古墳時代中期の土器が出土しています。
 C区は、古墳時代後期の溝状遺構が出土しています。


 A区では、上層と下層に遺構面があり、上層は20cmの高さから遺物が出土し、下
層の遺構面となります。
 直径20cmの穴が多く、柱穴と考えられます。只瓦の出土は一点も無ので、
掘立柱建物を想定しています。
 


 奈良時代から平安時代にかけての井戸が見つかり、直径が2mで今は3mとなってい
ます。
 円面硯の破片が出土しています。
 神辺平野で国分寺の周辺から円面硯は多く出土しています。


 その時代には、文字を書く人は特殊な人で僧侶か役人しか書くことが出来ません。
 文字を書く人が居た事などから役所の建物(?)を考える事が出来ます。
 現代の土取場が見つかっている。第6次調査では、多数見つかっています。
 更に石器も見つかっています。


     (調査区A区 西隅から東方面全景)


      (調査区A区 南より西北を見る)


   (調査区A区 西北より南を見る)


     (調査区A区 西より東を見る)


     (調査区A区 西より北東を見る)


[調査区B区の調査現地説明]
 B区では、弥生時代から古墳時代の土器が出土しています。
 長四角の穴があるが、これは土坑墓と言ってお墓であり、時代的には、弥生時代後期
と考えられ、
 弥生時代後期は前葉、中葉、後葉と時代区分されていますが、
今回の土坑墓は、前葉と考えられています。


 竪穴住居跡も見つかっています。
 弥生時代のものと考えられ、焼け跡が見つかり、
火事を受けたのか、焼いたのかを今後の課題となっています。
 中央に炉の跡があり、ベッド状の遺構も見つかっています。


 土器廃棄跡も見つかり、当時は祭りや儀式所謂祭祀の後に土器を廃棄したと
考えられていますが、神辺平野での祭祀跡には分銅土器が出土していないので、
今回の土器廃棄跡は性格が不明です。


 古墳時代中期の住居跡(B区では一番新しい)が検出されています。
柱穴が出土し、土師器(赤色)や須恵器(青色)の土器が出土しています。
 中央に炉の跡があり、かまどでは無く、炉を使用しています。
 B区の西に向かって奥側にも住居跡が見つかり、
直径3mの穴と4m×2mの穴が見つかっています。
 しかし祭りにしか使わない土器が出土していません。(底に穴の開いている土器等)

        (調査区B区 西南部分)



      (調査区B区 東から西北方面)


  (調査区B区 土器溜りの状況 SK27)



       (調査区B区 SK28の状況)


   (調査区B区 住居跡の土器出土状況)



   (調査区B区  西中央住居跡 東より見る)


   (調査区B区 西北住居跡 東より見る)



 (調査区B区 北隅住居跡と土器溜りの状況 南より)


[調査区C区の調査現地説明]
 溝状遺構が沢山検出しています。古墳時代後期の溝状遺構が走っています。
 住んだ人の跡が見つかっていません。
 この状況から用水・排水の為の遺構とも考えられます。
 只現在の状況は、遺構面を検出する前の状況でA区B区は、
遺構面を検出した状況を見れる様にしています。
 これから遺構面の検出して行きます。
 丁度C区に沿っている道が古代の道路(古代山陽道)で、
それに関するものは残念ながら現在まで見つかっていません。
 竪穴住居があり、住居の周りは黄色の土で住居内は黒色の土となっています。
 これから掘り上げて行く所です。


     (調査区C区 北東から西方面全景)



     (調査区C区 溝状遺構 西より北部分)



     (調査区C区 西より南部分)

[出土遺物]


            (出土土器類)


             (出土土器類)


             (出土銭貨)


             (出土石器)

(概略は以上です)
                         (文責:椿庵遍照)


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