沼隈文化財研究所

「温故知新」
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復元なった「木造阿弥陀如来坐像」について

2016年03月21日 | 福山歴史研究(文化財と歴史)

 広島県福山市瀬戸町地頭分別所に存在する「阿弥陀堂」に
バラバラな状態で発見され、それを地元有志の方々を初め、
多くの方々からの寄付により見事復元され、その「阿弥陀」さまを
広島県立歴史博物館へ寄贈されました。

 それに合わせての講演会が行われ、県立博物館の白井さんと、
徳島文理大学の濱田宣教授との講演会があり、聴講に伺いました。


 白井さんからの講演は、年輪年代法による「木造阿弥陀如来坐像」
の製作年代の報告と歴史的意義についての講演でした。

  その「年輪年代測定法」によると、1150~1175(12世紀後半の早い時期)との内容でした。


 また、濱田宣教授の講演は、「仏像様式」による「木造阿弥陀如来坐像」
の制作年代についての講演でした。

 特に濱田教授の講演の中で、従来言われていた順前たる定朝様の「寄木造」の仏像ではなく、
様式は、定朝様で「寄木造(割矧造)」の仏像であることを証明され、
制作年代としては、11世紀中期~後期にかけての制作年代と捉えられていました。
 更に、後補部位の修補時期も3回行われ、その時代にも言及されて、
内容の濃い講演会でした。

 しかし、「年輪年代測定法」と「様式」による仏像製作年代の相違があり、
今後の研究も必要との感を抱きました。


 私的な考えを許して頂ければ、尾道浄土寺の
「阿弥陀如来坐像(11世紀後半~12世紀初頭)」と比較すれば、
浄土寺の「阿弥陀如来坐像」より先行す様式と考える事が出来、
11世紀中期~後期が妥当と考えています。


 「年輪年代測定法」については、多くの皆様が言われるように、
他の測定方式との比較検討が出来なく、
クロスチェックの方法が無く、その点不安要素となるのが欠点となります。

 いずれにしても、「木造阿弥陀如来坐像」については、今後共検討が
必要となり、より一層目が離せなくなります。

【復元なった木造阿弥陀如来坐像】

(左側面から)


(正面から)


(右側面から)
(注:後背と台座は後補)
(文責:椿庵遍照)


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