こころとからだにやさしい介護食づくり 

2015年03月23日 | 職員研修・研究発表等

食べる力を育てる実習 保護者を含む50名が参加し開催

この研修会は単に、こどもたちが食べやすいとうことだけ
でなく、成長や発達を促す食事について参加者と一緒に考え、
実際に作って試食することが目的です。食べる機能に応じた
安全で「こころとからだにやさしい介護食(特別食)」を調
理したり、市販のお惣菜を食機能に合わせておいしく食べら
れるよう再調理する実習を行いました。
こうした研修は3年ぶりで、2月28日、ユマニテク歯科製菓
専門学校で開催しました。
今回は名フィルエール基金の助成金を受け行われました。

参加者は、
    特別支援学校教員: 30名
   デイサービスや療育施設職員: 13名
   保護者: 7名                                    計50名
県外からハ静岡・奈良から2名、岐阜から13名の参加がありました。

はじめに丹羽先生から「食べる機能に合わせた食事」の講
義があり、摂食嚥下機能を評価して、経口摂取準備期(嚥下
学習食)→初期食(嚥下・捕食獲得期)→中期食(押しつぶ
し学習機)→後期食(咀嚼学習期)の各段階に合わせた食形
態にすることの重要性の話がありました。
注意したいこととして、
①機能に合わない食事はおいしくなく、苦痛である、
②好きな物は高い機能を発揮するので、練習によい、
③食事後半、疲れたら食形態を易しい物に変える、
などの話がありました。 
            

その後、「素材から調理して形態食を作る」と、「お
惣菜から形態食を作る」の2組に別れ8班に分かれて、参
加者で話し合いながら調理実習を行いました。

「素材から調理して形態食を作る」グループは4班に分け、
メンチカツを①フライパンで蒸し煮する、②オープンで調
理と、ハンバーグを①フライパンで豆腐入りの煮込み、
②圧力鍋で煮込む、など各方法でそれぞれを上記の摂食嚥
下機能の4段階別の食形態に調理しました。
  

また、「お惣菜から形態食」のグループも4班に分かれ、
市販のご飯、筑前煮、メンチカツ、コロッケを、お湯やミ
ルサー、フードプロセッサー等だけで火を使わないで調理し、
4段階の食形態にしました。     
下の写真は、それぞれの班で苦労して調理した各形態ので
きあがりの、ほんの一部です。見た目も、彩りがきれいで
おいしそうですね。さて、お味は?

拡大して見て下さい
午後からは、実際の調理の経験をもとに、グループで話
し合いをもちました。さらに「キッチンひろがりの実践」
で提供しているさまざまな食事について、渡辺さんから紹介
があり、栄養士の加藤さんから形態食を作るポイントなど
の話がありました。

非常に忙しい研修でしたが、皆さんご苦労さまでした。

参加者のアンケートの一部を抜粋します。
◆内容についての感想 
・4種の形態を作るだけでなく全部食べられ、班内の反省だ
けでなく、他班からも意見が聞けた。聞いて見るだけでなく
触れて食べて理解につながった。
・調整食を作る大変さがわかりました。形態の考え方も食
材の調理の視点から考えることで食機能とは違う見方がで
きました。
・食形態について現場の栄養の先生のお話を聞け勉強にな
りました。
・実際に形態ごとに二次調理してみて難しさがよくわかっ
た。寒天玉を混ぜるとより滑らかになったので実践したい。
・ひき肉の使い方、調理前にミルサー、フードプロセッサ
一にかけること、食材選びが大切なことを知りました。
・グループの方と相談しながら作っていけたことが良かっ
たです。
・この形態はどういうものか説明があり、作る時、参考に
なった。
・いろいろな食形態を食べ、その思いや感覚がわかリ勉強に
なりました。柔らかくする方法や工夫がわかってよかった
です。
・知らなかったたくさんの事が知れたこと、今までの間違
いにも気づけた。小さなことがとても大事だと感じました。
・介護食を作った経験がなく、手をかけ丁寧に作ることで
おいしくなることがわかった。園のミキサー食よりおいし
かったです。
・お惣菜から調理するのがそう簡単にいかないことを実感
し、普段家庭で食事を作っている保護者に対して頭の下が
る思いになった。 
・今回は午前中調理、午後講義で良かった。
・全てを同じ形態にこだわることはなくてよい。子供に合
わせることの方が大切だとわかった。

◆改善したほうがよいこと、今後に望むこと等 

・初参加の方が多かったので、参考になる形態食の見本が
あるとイメージしやすかったようです。時間にゆとりがな
かったです。
・実習自体の流れが分かりにくい。材料、もの、何をどこ
まで使っていいのかわからず戸惑った。普段このような特
別職を作ったことがなかったため、ラベルがついていない
粉(トロミを足すもの)が何かわからなかった。
・お惣菜から調理するのがそう簡単にいかないことを実感
し、普段家庭で食事を作っている保護者に対して頭の下が
る思いになった。
・ミルサーがたくさんあると良いとおもいました。
・各班に各形態食について理解されているリーダーが指導
していただけるとよりスムーズに調理が進んだと思います。
見本があると尚良かったです。
・バタバタと終ってしまったので、一つ一つの食形態の再
調理のポイントを確認しながら学びたかった。
・器具不足で時間がかかったのでキッチンばさみ、ミキサ
ーと兼用しても良かったのではないでしょうか。
・調理時間が長く、多くの物を完成させなければならず、
もう少し品数を減らしても良いと感じました。調理済み総
菜を形態別に再調理するグループは、ちょうど良い品数だ
ったのではないでしょうか。

その他なんでも・・ 
・うちの学校や保護者やまわりでは、まだまだこんなには
進んでないので、是非研修会を何回も(半日で惣菜限定と
か、これをつくろう!とか 気軽に参加できるような企画)
お願いします。
・保護者さん調理師さんと同じテーブルになったことでそ
れぞれの立場の思い考えを知ることができ参考になった。
・就学前の支援センターにて重複児の食事介助をしている
保育土自身や、調理員にも介護食の知識がないと言う事で、
このような研修は役立つ。母親も「食べてくれればいい」
ということで、普通食や丸のみでもOKと思っている人も
いる。就学前の支援センターでももっと食に関する知識、
実践が広がればよいと思う。

◆今日の研修は参考になりましたか 

 ・とても参考になった       34人
 ・参考になった           6人
 ・あまり参考にならなかった     O人

            ***************

参加者のみなさま、器材などの準備不足などご不便を
おかけした点が多々あり、大変申し
訳ありませんでした。
どうもご協力ありがとうございました。

今後、いただいたご意見をもとに、さらによりよい調理
実習の会を企画し、少しでもこど
もたちに、安全でここ
ろとからだにやさしい介護食を提供できるよう幅広い方々
の参加を
いただき、一緒に考えていきたいと思います。

 

   


平成26年度 第3回 食べる力を育てる研修会の報告

2015年03月19日 | 食べる力を育てる研修会

 平成27年1月11日、12日の2日間、名古屋ユマニテク歯科製菓
専門学校で行った「第3回食べる力を育てる研修会」の報告で
す。
 今回はお正月気分がぬけきらぬ中での研修でしたが、65名
の参加者があり内訳は,42名が特殊教育教員、施設関係12名、
歯科関係4名、保護者4名、その他3名でした。地域別では、
長野8名、埼玉2名、奈良5名、京都1名、静岡6名、三重1名、
岐阜4名など県外が約43%を占めました。とくに長野の方々は
片道3時間以上をかけての参加で、寒い中を本当にご苦労様で
した。
1日目は、野村春文先生(埼玉県立熊谷特別支援学校教頭)
から、とくに息のとおる「のど」と、息をする「おなか、せな
か、むね」について解説いただきました。昼食時には、2人の
重症児のお子さんにご協力を頂き、実際の食事介助を通じ、姿
勢、口唇介助、下顎への手の添え方などの介助ポイントについ
て指導がありました。寒い中ご本人はもとよりご家族のご協力
に感謝いたします。
                   野村先生      写真はクリックすると拡大します
玄景華先生(朝日大学歯学部付属病院障害者歯科診療科長)
からは、「口腔の構造と衛生 障害児の口腔の特徴」のお話が
ありました。今回は歯科衛生士の太田さんに「歯磨きと口腔ケ
ア」のお話と、楽しく実技指導をしていただきました。
玄先生          

2日目はインシデントプロセス法によるグループワーク。
提供された事例について、当事者の立場で問題点や対応策を出し
合い、それらの共通項目を整理し、その対応などを討議し、各グ
ループの代表者が発表を行い、食介助の問題点の見方や考え方を
学びました。
              
石黒光先生(前愛知県コロニー中央病院歯科部長)からは、
とくに舌の機能を発達的な視点から動画や画像で解説いただき
ました。とくに、舌の動きをコントロールする舌骨上筋群と
下筋群の働きについて、詳細な説明がありました。
       石黒先生 
 昼食時には1日目と同様、モデルさんに協力をいただき、
食介助を実践しながら、具体的な方法を学びました。
午後は、野村先生より経管栄養、胃ろう、気管切開、人工呼
吸器装着の様な重い障害のお子さんに対する場合の注意点な
どの話があり、最後に、橋本広季先生(愛知県コロニー中央病
院歯科医長)から、摂食時における救急時の対応に関する話が
ありました。

今回も盛りだくさんの内容でしたが、参加者の熱心に学ぶ姿
勢が印象的でした。

参加者の感想を一部ですが抜粋してみました。


・実技がわかりやすい。モデルのお子さんも協力いただきわかり
易かった。
・呼吸障害の見分け方と対応の仕方が、自分の中でつなかってい
なかったが、今回ようやくわかりました。努力呼吸の様子の映像
を見ることができ理解しやすかった。
・歯科医や歯科衛生士さんから歯科治療や口腔アの話が聞けて、
教育と医療の連携の必要性がわかり、学校側から働きかけたいと
思った。
・日頃接している子供たちにすぐに使える内容が多かった。
・インシデントプロセス法は初めてで、勉強不足の自分自身でし
たが自分なりに子供の様子を捉えたり、周りの方からたくさんの
見方を教えて頂け、とても有意義でした。
・食べる力を支えるための口、舌の動き、鼻呼吸などお話が伺え
てよかった。
・静的弛緩の考え方は、わからない部分が多い世界でしたが、
今回お話を聞く中で実際に有効である事がとても良くわかり、
すぐにでも指導に生かしたいと思いました。
・解剖学的にどうしてかという説明かあり、勉強になりました。
・摂食は幅広い知識が必要であり、その広いところを全て勉強
できた思いです。
・石黒先生の「舌が主役」ということで発達段階と舌の働きを
関連づけ話して頂き、舌に着目する大切さに気付かされました。
・現場で困っていること(嘔吐させない)について日々の支援
の検証ができ、行うべき支援を 学ぶことができました。
・気切しているが分離していない子の、のどの動き広がりを再
び学習していけるとわかり、とてもうれしかった。
・たくさんある摂食研修の中で、本研修のように教育的な視点
を重視したものは少ないので大変参考になりました。


改善した方がよいこと、今後の望むこと等を伺ういました
  (一部抜粋)


・とても具体的な研修でよかったですが日程が詰まっていて苦
しかったです。内容の一つか二つ減らしてゆったり研修できる
と良いと思ったりもしました。
・集中力が持たなくなることがありました。実技もっとやりた
かったです。

・インシデントプロセス初めてだったのでもう少し説明や時間
があればよかった。体のひろげかた、実践しても一度ではなか
なか実感できなかった。ひとつひと
つもう少し時間を長くして
ほしいです。

・講義の時間が延びることが多いのでより、時間をとった日程
を計画しても良いのではないでしょうか。研修を受ける側とし
てはどれもじっくり聴きたい内容だったので。

・一日目が10時スタートであわてることがなくよかった。たく
さんの内容があり時間が伸びてまうこともあったので、もう少
し、内容を精選してもよいのでは。


多くのご感想や改善点などのご指摘、大変ありがとうござ
いました。
スタッフ一同、今後の研修の方法や運営に参考
にさせていただきます。

次回の研修予定は、4月になりましたら本ホームページ等
でご案内いたします。