今日の東京・多摩地区は、冷たい風が吹きましたが快晴で、雲一つ無い青空でした。上の写真は、多摩川に架かる甲州街道の日野橋付近です。
今日の愛犬Lukeとの散歩は、この多摩川沿いと流域にある根川緑道を歩きました。堤には草地があるので、犬の足にも優しいコースだと思います。
根川緑道には桜並木があるのですが、今日の暖かさで蕾が少し膨らんだようです。
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バンド仲間のCから、“Anvil~夢を諦めきれない男たち”のDVDをもらいました。とても良いドキュメンタリー映画です。
カナダ・トロント出身のヘヴィメタル・バンド“Anvil”は、キャリアは約30年。1980年代前半にBon Joviなどが売れて、ヘヴィメタルのブームの中、日本では人気を博したものの、なかなか芽が出なかったバンドです。私も名前は憶えているくらいで、彼らのことは忘れていました。
1984年に来日し、まだ屋根の付いていない西武球場でのフェスティヴァルの模様から映画が始まります。当時のことを回顧するSlashなど著名なミュージシャンのインタビューが収録されていますが、誰もが『なぜAnvilが売れない・売れなかったのか分からない』と答えています。[良いバンド=売れるバンド]ではないことを彼らが証言しています。
映画は2005年から撮影が始まっています。当時の彼らは音楽で生計を立てることができず、宅配や通販のコールセンターでの仕事をして生きていました。
『もう、昔のように大勢の観客の前で演奏することは決してないだろう』と、メンバーも弱気になっていた頃でもあります。メンバーの脱退や変更も続きます。
1万人を収容するホールでライブをやる企画も観客が178人だったり、自腹でヨーロッパまでツアーをすれば騙されてしまったり、およそヘヴィメタルとは縁の無い人たちの前で演奏させられたりと、苦難が続きます。
それでも彼らは決して諦めず、どんな小さなギグでも懸命にプレイし、自主制作のCDを売り込んだ大手レコード会社から『君らの音楽は古くて、もう時代が受け入れない』と宣告されても、姿勢を変えずひたむきに活動を続けます。
彼ら自身の貯え、そして家族・親族の支えを得て、イギリスに渡ってちゃんとしたプロデュースも依頼し、しっかりしたアルバム制作を作ろうという最中には、限られた時間、緊張の連続からメンバー同士の争いも起こってしまいます。バンドが空中分解してしまうのではないか、ハラハラさせられるシーンでした。
でも、お互いがかけがえの無い存在で、『お前だけにしか弱音は吐けないんだ・・・』と、全てを吐き出した後、再びアルバム制作に集中していきます。
転機は2006年、舞台は再び日本です。ヘヴィメタルのフェスティバルに彼らは招へいされました。20年以上前のAnvilを決して忘れていない日本のファンが多かったのです。ステージに向かう彼らは、『こんな遠くまで来て、また観客が5人だったらどうしよう・・・』と、不安げでした。ところが...
ステージに出た彼らを待っていたのは満員の観客。『Anvil! Anvil!』のコールの中、彼らは迎え入れられました。
その後、日本のレコード会社との契約も決まり、イギリスで作られたアルバムも陽の目を見ることになります。これからもAnvilが人気を博していくかと言えば、それは難しいかもしれません。でも、彼らは決して諦めることなく、変わらずにバンドを続けていくでしょう。
この映画は、元気の無いとき、勇気が欲しいときに見ると、きっと力をもらえると思います。長い人生の中には辛いこともあるけれど、決して諦めてはいけない。『ロック・スターになるなんてバカげた夢』とメンバー自身が語っていますが、自分が信じたことをやり続けていけば後悔なんてしない。そんなことを教えてくれます。ヘビィメタルという音楽が嫌いであっても、多分、彼らの信念、ピュアな気持ちに共感できると思います。
↓映画のパンフレットに書かれていたものです。
この映画を見るまでヘヴィメタが大嫌いだった。
しかしこれは、今まで見たなかで最も心が揺さぶられた映画だ!
―ダスティン・ホフマン
ここ数年のドキュメンタリーで最高傑作!!
―マイケル・ムーア
可笑しくて、美しくて、感動的!
これは信じ難いほど素晴らしい友情の物語だ。
―キアヌ・リーブス
正直、名前も知らなかったし、曲も聴いたことなかったバンドなのですが、彼らは成功例であって、もっと売れないバンドは山ほど有るとは思うのですけどね。
ANVILの場合は、『売れたい』という気持ちがものすごく強かったようです。
世の中には評価されずに埋もれてしまっている人たちはたくさんいらっしゃると思います。