授業参観の中国事情

昨晩、深夜１時過ぎまで教材の準備。
就寝2時。
昨日は絶不調で、日中に準備ができなかったのである。
体調が幾分回復してとりかかったのが、夜の10時ごろだった。
6時45分に起床、7時15分のスクールバスに乗る。
8時過ぎに学校についておかゆを少し掻き込み、教室に向かう。

いつも通りプロジェクターを稼働させ授業を始める。
日本語科主任が後ろの席に陣取ってメモを取っているが
それどころではない。病み上がりなので足がふらつく。
その上、昨日はほとんどアウトプットばかりでインプットはおかゆ一杯のみ。
思ったほどしんどくはないが、立ち続けるのがつらいので時々座りながら授業する。
しかし授業のペースは快調で思いのほか気分がよかった。

2年生のヒトコマ90分の授業が終わると次は3年の時事日語の授業。
主任のほかにもう一人おばさんが座っている。
どなたですかと尋ねると、中国人の日本語教師だった。
紹介の時に一度会っただけなので顔を忘れていた。

この学校では、クラスの学生以外の人が勝手に聴講していることがある。
日本語に興味のある他の学科の学生だったり教師だったり。
授業を始める前に「授業を聴講して構いませんか」と聞かれたことは一度もない。
自然体で座っているので大抵授業を初めてから気が付くのだ。
休憩時間になっても何の断りもない。当然の権利のような雰囲気である。
主任によると学部の許可を得る必要があるのだが、慣習としてまかり通っているらしい。
学生が50人も100人もいれば目立たないが日本人のクラスは20人前後なので
一人増えると困ることもあるのだ。一年の授業などではまだ2回しか授業がなかったので
聴講している学生とは知らずに質問を繰り返して授業が止まってしまい
学生から教えてもらったこともある。

授業が終わると主任が来てにこやかにアドバイスをしてくださる。
真面目な方なのであろう。
だが授業のコンセプトや流れを理解されずに言うので大体的を得ていない。
もちろん褒めることも忘れてはおられないが、
「時間短縮になるから机の順番にあてた方がいいです」などと言われても、
そんなことをしたら学生は自分が答えるところしか考えないので集中力が落ちる。
指導困難校ばかり歴任した元へたれ教師の私は授業のテクニックは
少しばかり持ち合わせているのである。

しかし、主任の話を聞くと同僚同士でも4回授業参観することが定められているそうだ。
メモを大学のレポート用紙に取っているから報告が義務付けられているのだろう。
他人の退屈な授業を90分も聞いていたいとはだれも思わない。
推測だが、本校はランクアップを目指す新興大学なので、授業の質を落とさないための
ある意味の相互監視システム。そのとばっちりを私たち日本人教師も受けているらしい。

私の担世話係の教員は「私たちも大変なんです」と言っていた。
さもありなん。教育実習の研究授業参観で寝そうになったことが何度もある。

同じ日本語教師から聞いたところでは、他の伝統校は物足らないほど無干渉だそうだ。
ほうっておいても学生が優秀で自分で頑張るからなのだろう。

日本的管理から自由になったと思ったら、あにはからんや中国的管理が待っていたとは。