中国不滞在記 in 神戸

行って見て聞いて考えた中国のこと

博物館の喧騒

2012年10月07日 | 内側から見た中国社会
今日は8連休の最終日である。
Uターンラッシュが予想されるので
Y先生は予定していた河南博物館をキャンセルして開封に帰ることになった。

ホテルをチェックアウトすると、フロントの女性が携帯を忘れてないかと聞く。
中国の携帯は持っているから、間違いではないかというと、いや絶対忘れているはずだ、とか
なんとか言っているのだろうけど、よくわからない。ボーイが上から降りてきて、携帯を見せた。
私のiphoneだ。携帯の契約は解約してきたので、メモ帳や家計簿、音楽を聞いたり、磁石として使ったり、
目覚ましとして使っている。部屋を出るときにちゃんとチェックしたつもりだったが、
うっかりベッドサイドテーブルに置き忘れていたのだ。

客が部屋を出るとすぐに入ってチェックするのは、仕事が早いのではなく、
客が備品を持ち去ることを警戒してのことであるらしい。
そういえば、部屋のすべての備品の値段が部屋の案内に書いてあった。
それだけ持ち去る客が多いということなのだろうか。

とりあえず、大切なiphoneが戻ってきてよかった。
なんせこの中には個人情報が詰まっている。銀行口座からカード番号まで。
昔から忘れ物が多いのだが、たいてい見つかるのである。自慢にもならないけど。

お世話になったY先生と別れて河南博物館に向かう。
20分ほど歩くと見つかった。大きな建物である。
入館料は無料だ。それほど人は多くなく、ゆっくり見ることができた。
この博物館では原始時代から現代まで展示しているが、
中国文明の揺籃地だから古代の展示が充実している。
展示品のすべてにしっかりした英文の説明が付いているし、
展示方法もローカルな展示品を中心に、殷(商)や周の政治体制が詳しく説明されている。

殷の前の伝説の王朝、鄭州の近くの二里屯で発見された夏の都らしき城邑の発掘品も
あった。これまで本でしかみたことがなかったものだ。
殷(商)の展示では、殷墟で見た婦好(huhao)の墓から出た青銅器の展示もあった。
春秋時代の諸侯の墓から出た見事な青銅の打楽器一式もある。
3000年前の縄文時代に中国ではこのような進んだ文明があったのだ。
諸侯の青銅器の銘文の説明を読んでみると、
ピンとこなかった周王朝の封建制が少しわかったような気がした。

ところでこの博物館には各展示室に係員が座っている。
子供たちが展示室を走り回り、大人は大きな声で話をし、カップルは展示品をバックに写真をとりまくり、
携帯で大声でしゃべっているおっさんもいるのだが、係員は何一つ注意しない。
というより、それが普通なのだ。休憩室で大声で歌をがなっている兄ちゃんもいた。

唖然とする。中国人が音に鈍感なのは日々実感しているが、博物館の中でも同様なのだ。
彼らが欧米や日本の博物館に行けばたちまち追い出されるだろうね。
この国慶節で多くの中国人が海外に出かけたが、傍若無人、大声、食事のマナーの悪さは
想像がつく。中国的行動様式が世界標準ではないということがいつわかるのだろうか。

いや気が付いているのだと思う。街に文明開化の言葉があちこちに掲げてあるのだから。

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