このところ、「星のような日々」を送っています。
ずっと以前テレビ番組で、ちょっとはにかむようにアラスカを語っていた色の黒い朴訥な青年が、
ヒグマにその命を絶たれた時から14年。
その星野道夫さんのメモリアル写真展が没後10年の時に開かれてから数えても、もう4年になります。
あの時、写真展のゴマブアザラシの愛らしさになごみ、ホッキョクグマの親子の姿にキュンとなり、
大地を移動するカリブーの迫力に心震え、その写真を撮った人はもういないと泣き…。
写真展のカタログは大切な宝物となっていました。
そして今また星野さんに心揺さぶられています。
きっかけは録音ボランティアのメンバーが、この本を読むからと言って貸してくれたのが星野さんのエッセイ本。
写真にばかり気をとられて、星野さんが実は素晴らしい文筆家だという事を認識していませんでした。
なんと豊富な言葉を持つ人だったのでしょう。
本を貸してくれた人に、「実は星野ファンなの」と告白(?)すると、その人が「星のような世界」DVD4本を貸してくれたのです。
アラスカの動物や植物、風景の美しい映像。美しい音楽。そしておさえの効いたナレーション(オダギリさんの!)に魅了され、
時折はさまる星野さんの作品とスナップにドキッとし…。
時間があるとDVDを観ては遠いものに思いを馳せる「星のような」日々。
そしていみじくも今、NHK「私のこだわり人物伝」で星野さん特集が再放送されており、
その中で星野さんが生前、最後のカムチャッカ旅行に出発するまで足しげく通っていたという珈琲店「螢明舎」に心ひかれ、
HPをたどると星野さんの深い思い出が綴られており、
今しがた見ていたNHK番組の撮影秘話などもあり、
さらにたどるとアラスカを愛する会のブログにいきつき星野さん情報が満載で…。
つまりはどんどん星野さんの世界に導かれいざなわれている状態なのです。
アラスカの残された自然への愛情、畏敬の念。
野生の命を狩ることで自分の命へと繋げていくアラスカの人々と共に生活することによってしか得られない生命の循環というものに対する深い感受。
それらすべてが文明に飲み込まれていく未来への悲しみ。
「氷が溶けてホッキョクグマが飢えている」と薄っぺらい感傷しか持ちえない私とは比べるべくもない、生きるものへの深い洞察。
いかに生きるべきかは、いかに死ぬべきかに直結するのだと、おぼろげながらに感じ始めている今、
星野道夫との再会は私にとって大きな意味を持つことになりそうです。
「星のような」日々に、もう少し浸るとしましょう。