いわさきあきらの音人的生活

京都のキーボーディスト岩崎明のブログです。音楽の知識、機材の紹介、日記など。

思い出のシンセ・機材「Kurzweil K2000R」

2009年10月16日 | 思い出のシンセ・機材 ~シンセ編~
1990年代には、音楽制作の現場では、サンプラーがスタンダードになっ
ていました。

やはり、音がいい。

プレイバックサンプラー式のシンセでは、
メモリーに限りがあるため、
かなり音のデータを圧縮していたようで、
音のクオリティーという面では、
サンプラーに軍配が上がったようです。

ただ、サンプラーはいちいち音色をロードしなければなりませんでした。

その頃は、フロッピーディスクがメインだったため、
そして、クオリティーの高いデータは何枚ものディスクになり、
ひとつの音色を呼び出すのに、ずいぶんと時間がかかりました。

なので、「差し替え」という方式、

つまり、呼び出しが早いシンセ音源で音色を決めて、
シーケンスデータを作成し、
後で、音をサンプラーで「差し替え」ていく方式が
プロの音楽制作現場では主流でした。

その後、CD-ROMなどの出現で、多少音色のロード時間も短縮され
ますが、
それでも、音色選びにはかなりの時間がかかります。

マニュピレーターという、
シンセ、サンプラーなどの音色の機械操作などを専門にした
仕事が全盛だったのもこの頃です。

キーボードは、生楽器の代わりという役割が多くなって行き、
キーボーディストも、演奏者というより、
アレンジャー、音楽制作の方をメインとしている人が多くなりました。

サンプラーの出現によって、
ドラムスやオーケストラなどの仕事は激減したようです。

バブルの崩壊の影響もあって、
音楽制作の費用も少なくしようという流れもあったのだと思います。


そんな中、私がその頃買ったのが、

カーツゥエルK2000R(写真)で、

圧縮していない波形のプリセット音色に、
さらにサンプラー機能もついた音源モジュールです。

約40万円ぐらいだっと思うのですが、
過去に買った機材の中では一番といえる高額な機材です。

この機種の売りは、
その頃サンプラーとしてスタンダードだった
AKAIのSシリーズのデータを読み込むことができたことです。

その他、海外で有名だったサンプラーメーカー
ENSONIQ(エンソニック)のデータも読むことができました。


サンプラーは、その一方で、「ブレイクビーツ」という、
過去のアナログレコードからサンプリングされたリズムパターンを使う
ジャンルも生み出し、
それは、今のMACのガレージバンドなどに見られるような、
データの切り貼りで曲を作る方法の原型になります。

サンプラーの出現で、音楽制作の方法が根本的に変わってきたんですね。