いわさきあきらの音人的生活

京都のキーボーディスト岩崎明のブログです。音楽の知識、機材の紹介、日記など。

★KBP列伝 楽器・機材編 No.2「フェンダー・ローズ(後編)」

2009年06月17日 | KBP列伝 楽器・機材編
 フェンダー・ローズには、
 ステージ・タイプとスーツケース・タイプの二つがありました。

 スーツケース・タイプの方が、持ち運びに楽そうに聞こえますが、
 こちらはアンプ付きで(写真)、
 鍵盤部とアンプ部を分けることができるのですが、
 ふたつ合わせて、ゆうに100Kgは越えたはず。

 アマチュア・ミュージシャンには、価格、重量ともにつらいものがありました。


 けれど、このスーツケース・タイプの、
 ステレオ・トレモロというエフェクトは魅力的でした。

 ヘッドフォンで聴くと左右に揺れるこのエフェクトは、
 いわゆる「ステレオ・パン」で、ローズの音色をさらに雰囲気あるものにしました。


 リチャード・ティーの音色は、
 当時、コーラス・エフェクトをいろいろ変えて試したのですが、
 うまくいかず、結局、それはコーラスではなく、
 スモール・ストーンのフェイザーであると分かったのはずいぶん後のことでした。

 
 ステージ・タイプの方は、本体に電源コードもなく、
 私の持っていたステージタイプ MARK I は、
 ボリュームとベース・ブースとのつまみと、アウトプットのジャックがひとつあるだけ、
 というシンプルな構成でした。


 最近の機材は色々な音が出せる分、どんどん複雑になっていますが、
 今となれってみれば、このシンプルさはとても魅力に感じますね。


★KBP列伝 楽器・機材編 No.1 「フェンダー・ローズ(前編)」

2009年06月14日 | KBP列伝 楽器・機材編
 ブログ連載「キーボード・プレーヤー列伝」の楽器・機材編です。

 楽器・機材の名前などに、なじみのない人も多いと思いますから、
 この楽器・機材編で、解説をしていきたいと思います。


 今回は、リチャード・ティー、ジョー・サンプルと、
 ともに出てきたエレキピアノの「フェンダー・ローズ(Fender Rhodes)」です。

 この二人だけでなく、70年~80年代初めまで、
 数多くのキーボーディストに愛用された名機です。

 プリセット式のシンセでは、エレキピアノといえば、
 このフェンダー・ローズの音色がまず出てきます。

 けれど、そのアナログでなければ出せない音の暖かみにこだわって、
 今でも使っているミュージシャンも少なからずいます。


 Fender といえば、ギターの会社ですが、そこが作っていたんですね。

「ローズ(Rhodes)」は、最初、そのつづりから
「ローデス」と呼ぶ人もありましたが、
 発音的には「ローズ」だったんでしょう。こちらが一般的ですね。

 写真は、フェンダー・ローズ・ステージのMARK I
 と呼ばれている最初のモデルで、鍵盤は73鍵です。

 私もこのモデルを持っていて、重さが約60Kgもあるこのキーボードを苦労して
(一人では無理なのでバンドメンバーと二人で)、運んだ覚えがあります。

 一番辛かったのは、大阪に昔あったコットン100%というライブハウスで、
 エレベーターなしの4階でした。
 

 80年代にYAMAHAからDX7という
 FM音源方式のデジタルシンセが出ました。

 それまでのシンセが出せなかった金属音が得意で、
 キラキラとしたエレキピアノの音色も魅力的でした。

 約16Kgというローズに比べて3分の1以下の重さと、
 耳に新しいFM音源の響きによって、
 ステージのメイン・キーボードはDX7へと移り変わっていったのでした。


                           (後編につづく)



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