草木塔

奈良県　奥明日香
急な階段を登りつめたところに静かな神社がある。
その神社の入口にある小さな『草木塔』。

もともと草木塔は山形県置賜地方に多く存在する。
草や木の命をいただくことへの感謝。
また山仕事に従事する人々の安全への祈願。
そんな思いで江戸時代に建立された。

置賜地方といえば上杉鷹山。
草木塔は、樹木や植物を大切にした鷹山公の思想の現れとも言われる。

財政危機に疲弊した米沢藩を改革により蘇らせた上杉鷹山。
ふと、以前読んだ小説「上杉鷹山」の一文が思い出された。
「私は目先のことだけ考えているのではない。私たちの子孫が、誇りに思うような方法で改革をすすめたいのだ」

明日香の地で草木塔を眺めながら・・・
人を愛し、自然を愛し、今のみならず未来までを豊かにしようとする鷹山公の志を感じた。