Nikkoh の 徒然日記

ゲイ(=男性同性愛者)の Nikkoh が、日々の雑感やまじめなこと、少し性的なことなどを、そこはかとなく書きつくります

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ゲイ(男性同性愛者 / ホモセクシュアル)の Nikkoh が、徒然なるままにいろいろ書いてます。
マスキュリズム / メンズリブ にも関心があり、調べたり考えたりしています。
※ マスキュリズム(masculism) = 男性に対する性差別(男性差別)の撤廃を目指す思想・運動。フェミニズムの対置概念とされますが、僕は、並置概念と言いたいと思っています

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"特権" の定義づけの偏りにより、男性差別は見えざるものとなっている

2022-09-23 17:19:34 | 男性差別 I (概観・総論・横断的内容)
まず、"特権" について書かれた記事を1つお読みください。NHKのサイトに掲載されていた記事です。

あなたは優位な立場かもしれない 気づきにくい“特権”とは - 記事 | NHK ハートネット

あなたは優位な立場かもしれない 気づきにくい“特権”とは - 記事 | NHK ハートネット

進学、引っ越し、買い物、就職、昇級・・・暮らしのさまざまな場面で「自分はなにごともなく実現できたのに、ほかの人は苦労していた」ことがありますか。それは、個人の努力の...

NHK福祉情報サイト ハートネット

 
 

アメリカのいわゆる社会公正教育(social justice education)の文脈では、
“特権”(privilege)というのを、

マジョリティー側の属性を持っていることで、労なくして得ることができる優位性」
と定義づけているようです。 
日本の左派、反差別・人権擁護・福祉を謳う学者や運動家らも、だいたいこの認識なのでしょうね。 
そして、「男性」を一括りにして「マジョリティ側」へ位置付けてしまっています。
このことが、男性差別(男性に対する権利侵害,男性の被害,女性の加害)を見えざるものとしている諸悪の根源だと思います。

「マジョリティ側の属性を持っていることで」などという制約を定義に入れていることが問題 です。
この定義を採用している限り、マイノリティ側とされた属性の持つ "特権" は絶対に認識されません
現実には、マイノリティ側に割り振られた属性にも、「労なくして得ることができる優位性」があります。
少なくとも男女に関しては、そうです。
女性にも "特権" が確かにあります。たとえば、性的羞恥心に対する配慮を受けやすかったり、さまざまな被害を訴えたときに男性と比べて救済されやすかったり、危険な労働から遠ざけられる等の生命・健康面への配慮が受けやすかったりします。徴兵制のある国のほとんどが男性のみを対象としており、国家権力により武器を持って戦うことを強要されることとも無縁でいられます。まだまだ他にも、「女性であるがゆえに(男性と比較して)労なくして得ることができる優位性」は見つかると思います。 
しかし、"特権" の定義づけが偏っていることにより、これらはすべて "特権" として認識されることが無い のです。
マスキュリズム運動を進めていくにあたっては、この点を徹底的に糾弾していく必要があると思います。

"特権" は、自分ではなかなか気づけないものであり、無自覚であることが多いものです。
これはそのまま女性の "特権" にも当てはまります。
フェミニズムの運動の中で、この社会は "男性特権" を認識してきましたが、同様にして、マスキュリズムの運動の中では "女性特権" が認識されていくことになるでしょう。
 
私見を述べれば、男性にも女性にもそれぞれに "特権" があると思っています。 
そして、男性も女性も多様性の幅がきわめて大きく、自分の性に割り振られた "特権" をどう感じるかも多様です。人によっては "特権" とは感じずに、"重荷" や "足枷" のように感じるものです。
それを一緒くたにして、"男性" と "女性" に括って議論してしまうことが、そもそも乱暴であると考えます。
多様性を謳う左派が、男女問題の議論で "男性" の多様性を完全に無視しています。おかしな話だと思いませんか。

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高等学校「家庭科」の変遷 ~男子の家庭科を学ぶ権利が奪われていた時代~

2022-09-14 19:02:50 | 男性差別 V (社会の制度に関わること)
高等学校における「家庭科」の授業は、1994年度から男女を問わずすべての生徒において必修の科目として履修されるようになりました。では、それ以前はどうだったのかというと、性差別的な取扱いが長年にわたって続けられていました。具体的に言えば、男子は家庭科を学ぶ権利を奪われており、代わりに体育を押し付けられていました
ここで変遷をたどってみることにしましょう。 


注:本記事では、高等学校(普通科)における教科「家庭科」について記述します。中学校の教科「技術・家庭」については、2014年に公開した記事をご覧ください。 

中学校技術・家庭科の変遷 - Nikkoh の 徒然日記

中学校の教科《技術・家庭科》は、1962年度から現在に至るまで50年以上にわたって存在し続けていますが、その取扱は時代とともに大きく変化してきました。ここでは、大まか...

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1) 1960年(昭和35年)施行の学習指導要領  ⇒ 1963年度~1972年度入学生に適用
女子のみ「家庭一般」4単位が必修。 
男子は「体育」が女子より2単位多く設定されている。
つまり、女子が家庭科を履修している時間に、男子は体育と他の科目を履修する前提。


・ 「体育」男子9単位 女子7単位 
・ 女子について「家庭一般」4単位



2) 1970年(昭和45年)施行の学習指導要領 ⇒ 1973年度~1981年度入学生に適用 
女子のみ「家庭一般」4単位が必修。 
男子は「体育」が女子より4単位多く設定されている。 (注:男子の「体育」の単位数が増えている!)
つまり、女子が家庭科を履修している時間に、男子は体育を履修する前提。


・ 「体育」について,全日制の課程のすべての男子に履修させる単位数は,11単位を下らないようにすること。 
(女子の「体育」は 7 単位であった) 
・ 「家庭一般」は,すべての女子に履修させるものとし,その単位数は,4単位を下らないようにすること。



3)1978年(昭和53年)施行の学習指導要領 ⇒ 1982年度~1993年度入学生に適用
女子の家庭科と男子の体育についての扱いは、1つ前の指導要領と変化なし。 
つまり、    
 ・ 女子は「家庭一般」4単位が必修。
 ・ 男子は「体育」11単位が必修。 (女子より4単位多い!!)




4)1989年(平成元年)施行の学習指導要領 ⇒ 1994年度入学生から適用 
男女とも家庭科が必修となった。また、「体育」の必要単位数の男女差も撤廃された。




以後は、もちろん男女ともに家庭科は必修科目となっており、すべての高校生が履修しています。
生活に必要な知識や技能を学ぶ「家庭科」は、学ぶに値する内容が多く、重要な科目であることは言うまでもないでしょう。

かつて家庭科が女子のみ必修であったことは、ジェンダー平等の観点から明らかに誤っています。そして、これは女性差別という文脈で批判されて撤廃されるに至ったわけですが、実は男性差別としての側面も持っています。 
文頭に書いた通り、男子は長らくにわたって家庭科を学ぶ権利を奪われていたということだからです。そして、その家庭科の代わりに中学校では「技術」を学んでいたわけですが、高校では「体育」を押し付けられていたわけです。  
なぜ「体育」なのかというところを推測するに、"男は強く・逞しくあれ" という男らしさの押し付け なのでしょう。それ以外には考えられません。男らしさを強硬に押し付ける教育だったというわけです。 

今までに、このような視点で家庭科履修の男女差を見る論考は無かったのかもしれませんが、ジェンダー平等の問題を考えていくうえでは、必要な視点だと筆者は思います。たいていの場合、男性差別と女性差別は表裏一体のものです。


さらに筆者の私見を述べます。以下は、ごく個人的な意見なので、異論は当然あると思います。体育嫌いなひ弱な男子の、1つの考え方として読んでください。 
私は、「体育」という教科はあまり学ぶに値するものだと思いません。少なくとも、「家庭科」や「技術科」と比較したときに、学ぶ意義があるのはどちらなのかというのは明白だと思います。もちろん、生きていくための基礎体力づくりは大切なことだと思いますが、体育授業でなくても各々のトレーニングで行えることです。 
1993年度までの高校では、女子が「家庭科」を履修して実生活に役立つさまざまな知識や技能を学んでいる時間に、男子は「体育」を押し付けられて実りの無い時間を過ごしていたというのが現実でしょう。多くの場合、「体育」の授業は、適当にスポーツをして時間をつぶすだけのものであったり、あるいは、体育会系の教師がさながら軍隊であるかのようなシゴキを繰り広げるような苦痛に満ちたものであったりする印象がどうしても強いです。家庭科を学ぶ機会を奪われた上に、そんなどうしようもないものを押し付けられる往時の男子は、大いに災難であったと思います。
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戦争末期の満州で女性たちにより自殺に追い込まれた男性

2022-08-16 16:48:25 | 男性差別 I (概観・総論・横断的内容)
まず、新聞記事をご紹介します。 

満州からの避難列車、日本人女性たちから責められた日本人男性…自殺に追い込まれるのを見た
読売新聞 2022/08/15 17:41  

1932年に現在の中国東北部に建国され、多くの日本人が移り住んだ満州国。小学生の頃に現地で暮らし、終戦の前後にソ連軍の侵攻から逃れて鳥取県米子市に引き揚げた安本明功さん(88)(米子市)にとっても、忘れられない季節になった。広島、長崎への原爆投下や沖縄戦と同様、多くの命が失われた満州侵攻について「より多くの人が知り、後世に語り継いでほしい」と感じている。(東大貴)
安本さんは米子市の小学生だった44年春、戦局の悪化に伴う米軍の攻撃に備えて、満州の観測所長だった父・清三さんの後を追い、西部のアルシャンに移り住んだ。家族4人で観測所に併設された家で暮らしたが、食べるのに精いっぱいだった日本での生活とは一変。現地の手伝いの人が靴を磨き、登校の際には荷物を持ってくれた。「不自由のない暮らしだった」
ところが、45年8月上旬のある日、観測所そばでソ連軍の攻撃とみられる爆撃があった。「6日午前10時頃」と記憶している。翌日、仕事を続けなければいけない父を残して、家族で着の身着のまま列車に飛び乗った。ソ連軍によって壊滅状態となった街を抜け、10日余りかけて現在の韓国・釜山にたどり着いた。そこから少し横に傾いた古くて大きな船に乗り、島根県中部の江津(ごうつ)市へ。鉄道を乗り継いで8月22日、米子に戻った。
一方、アルシャンに残った父は観測所の機密文書を燃やすなどしていたが、ソ連軍に捕らえられた。その父は終戦から2年余りたった頃、ぼろぼろの服とやせこけた姿で米子に帰ってきた。突然のことでぼう然としていると「(自分がいない間は)金がないのに学校行けたか」と聞かれた。亡くなったと思っていた父が戻ったうれしさに、その日は一人布団にくるまって泣いた。 
2年間のことは語らなかったが、ソ連で強制労働をさせられたのだろう。体は弱っていた。土木作業などの職を得たが、体がもたず仕事は長続きしなかった。一家の生活は苦しかったという。
ロシアに侵略されるウクライナの惨状を見るたびに、77年前の記憶が重なり胸が痛む。

満州では戦争末期、成人男性はほとんど軍に召集されていた。
「満州から列車で避難する際、紛れ込んでいた日本人の成人男性が同じ日本人の女性たちから責められ、自殺に追い込まれるのを見た。現地では民間人の多くが犠牲になった」 と安本さん。

「今の若い世代で満州で何があったかを知る人は少ないと思う。無実の人を犠牲にし、不幸に陥れる歴史を繰り返してはならない」 
悲惨な戦争を知る者として、語り継ぐ大切さをかみしめている。


------------------------------------------------------------------------------------------------------------   

引用はこれで終わりです。
「満州から列車で避難する際、紛れ込んでいた日本人の成人男性が同じ日本人の女性たちから責められ、自殺に追い込まれるのを見た」
というところ、聞き捨てなりません。 

平時の今と戦時下の当時を単純に比較はできないのかもしれませんが、こんなことがまかり通って良いのかと、憤りと悲しみが止まりません。 
国のために戦うこと(武器を持って敵軍と対峙し、殺戮を行うこと)を国家権力によって強いられることの100%ない "特権" を享受している女性が、そのことを意識もせずに、その "特権" の上に胡坐をかいたままで、男性の心身を蹂躙しています。
私はどうしても許せません。

そして今、ウクライナの地では同じようなことが起こっているのではないでしょうか?  
遠く離れた日本からでは真実はわかりませんが、そんな気がしてなりません。 
(注:ロシアによる軍事侵攻以後、ウクライナでは成人男性の出国が禁じられている。国民皆兵ということである) 

国外避難できたとしても、いばらの道であることは事実でしょう。 
しかし、女性には「ア.国のために戦う  イ.国外へ逃亡する」という選択肢が開かれている(どちらも苦難の道だとしても)のに対して、男性には「国のために戦う」という以外の選択が許されていない というのは、差別以外の何ものでもありません。許されざることです。 
保守系の人たちがこういうことを推し進めてくるのは、論理的整合性がとれているともいえますが、リベラルも全く問題視せず、むしろなんだかんだと詭弁を弄して増長するありさま。狂っていると思います。

まともなリベラル(?)がたくさん出てきてほしいものです。

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男性浴場を女性が清掃する件について(記事紹介)

2022-08-11 00:05:09 | 男性差別 IV (性的羞恥心のこと)
NHKが、マスキュリズムに関連して、とても意義深い記事を掲載してくれていました。 
男性用の大浴場を女性スタッフが清掃する件について取り上げています。 
貴重な統計も載せられた良記事だと思いますので、紹介させていただきます。

“本当はイヤなのに 男湯・男性トイレに女性清掃員 なぜOK?” | NHK | WEB特集

【NHK】男湯を女性従業員が清掃することを気にする意見が寄せられています。業界の対応などを調べました。

NHKニュース

 


“本当はイヤなのに 男湯・男性トイレに女性清掃員 なぜOK?”(2022年7月1日 19時48分)
「女性差別がよく問題になりますが、男性差別があります。男湯、男子トイレに女性の従業員が入ってくることです。その逆は許されないのに、なぜこの件は許されるのでしょうか」
男子高校生がNHKに寄せてくれた投稿です。
「確かに…」と思いつつ、女性の私(記者)、そもそも男湯をどのくらい女性従業員が清掃しているのかわからなかったので調べてみることにしました。
すると興味深いデータや、変化の波が見えてきました。 

◆ 『男だから気にするな』って言われても…… 
NHKの情報提供窓口「ニュースポスト」に投稿を寄せてくれたのは、栃木県の高校3年生の男子生徒です。
冒頭に紹介した内容に続いて次のように記されていました。
「部活帰り友達と銭湯に行きました。その時服を脱いでいたら目の前を女性の従業員が横切りました。友達と『中にいたら嫌だね』と話していて、頭を洗い始めていたら横から女性の従業員が来て僕の所にあったシャンプーを詰め替え始めました。本当に恥ずかしかったです。これを逆の立場で想像してみてください。こんなことがあったら世間では大炎上ですよね?男子トイレもそうです。男性がトイレで用を足している時に後ろには女性がいる。なぜ男性は我慢しなければならないのでしょうか」
早速、男子生徒に連絡を取ってみると、昔から男子トイレや男湯に女性の従業員が入ってくることはよくあったものの、中学生くらいから気になるようになったといいます。
駅のトイレや銭湯で経験し、それぞれ改善を求めましたが見直されなかったといいます。

男子生徒 「本当に恥ずかしかったです。苦情を入れたけれど何も変わらない。『男だからそれぐらい気にするな』という風潮が日本にあるからかもしれませんが、男性利用者が不快と感じていること自体、問題だと思います」

◆ “男湯を女性スタッフが清掃” 44%の施設で
私自身が女性のため肌感覚ではわからないのですが、実際にどのくらい女性の従業員が男湯の清掃をすることがあるのでしょうか。
どこかで把握していないかと取材を進めていくと、全国のスーパー銭湯でつくる「温浴振興協会」が2019年にアンケート調査を取っていました。
それによりますと、回答のあった118施設のうち、44%にあたる52施設で女性従業員が男湯を清掃していると答えました。

男性浴室清掃に入るスタッフ 118施設回答
・ 男性 56%(66施設)
・ 女性 44%(52施設)

もちろん、女性従業員と答えた施設でも、男性従業員ができる時は対応しているそうです。とはいえ、銭湯にいったら2分の1に近い確率で女性の従業員が清掃しているとなると、気になる人は落ち着いてお風呂に入っていられないかもしれません。
一方で取材中、銭湯に勤めている70代の女性従業員から「おばあさんでも異性の風呂を掃除するのは緊張していたので、男湯を男性が掃除するようになった時、ホッとしました」という声も聞かれました。
清掃する側も負担に感じている人がいるようです。

◆ 集まり始めた『男性だって恥ずかしい』の声
こうした中、温浴振興協会には、男性利用者から女性従業員が男湯を清掃しないでほしいという意見が寄せられているといいます。

温浴振興協会 理事 「最近協会にも頻繁に、恥ずかしい、なんとかしてくれとメールが来ます。具体的には『男湯に女性が入ってきて恥ずかしかった』とか、『男だからいいのか』とか、中には夫が外国の方で一緒に風呂に来た妻から『夫が風呂にいたら女の人が入ってきてびっくりしていた』という意見も寄せられました。当然ですが、男性でも異性に見られたくない人はいると感じます」

利用者の意識の変化を感じてきた協会では、男性利用者へのアンケート調査も行いました。

男性脱衣所・浴室の清掃は(男性1348人に調査)
▼男女気にしたことがない  50%(674人)
▼男女どちらでもいい    20%(270人)
▼できれば男性従業員で行う 25%(337人)
▼必ず男性従業員で行う   5%(67人)

1300人余りの男性利用者へのアンケートでは、「気にしたことがない」が半数、「どちらでもいい」が2割でしたが、「できれば男性従業員で行う」「必ず男性従業員で行う」という回答もあわせると3割を占め、男性利用者の3人に1人は、同性に清掃してほしいと感じていることが分かりました。

◆ 時代とともに男性も声をあげられるように
この結果について、性差別の問題に詳しく男湯に女性従業員が入ることを規制してほしいと声を上げている森立(もり・りゅう)弁護士に話を聞きました。

森立弁護士 「潜在的に3割の男性が恥ずかしさを感じているのは多いと感じます。性別に関する問題というと“女性が差別される側”とか“女性の置かれた状況の改善が必要”という方向で語られがちだったと思いますが、女性が声を上げやすい世の中になってきたことで、男性も我慢してきたことや抱えてきた違和感に対し声を上げやすくなってきたのではないでしょうか」

◆ 利用客の声を受け…変わりはじめたスーパー銭湯
こうした中、業界では変化の動きも出てきています。 
埼玉県のスーパー銭湯ではオープンから16年間、清掃は女性従業員の仕事で男湯も女湯も女性が清掃してきました。しかし、利用客からの声を受け、2年前から改善を重ねてきたといいます。

店長 「20代から30代ぐらいの男性のお客さんから、女性による清掃は何とかならないかとご意見いただいていました。何度も仰る方もいて、そこまで苦情を入れてくるということは、うちのお湯が気に入ってもう一度来たいという思いの裏返しではないかと感じました。そうした方たちが女性が清掃していることでハードルになって入れないのはもったいないですし、今の風潮にあった運営にしなければいけないと思ったんです」 

そこで行ったのが、従業員の配置転換です。コロナの影響をうけて砂蒸し風呂を廃止したこともあり、砂かけを行っていた5人の男性従業員に男湯を清掃してもらうことにしました。
その結果、全ての営業時間の8割で男湯は男性従業員が清掃するようになりました。
平日は1時間に1回は掃除に入り、洗面台、床の掃除、カラン周辺の片づけ、サウナマットの取り替えなどをしているといいます。これが土日だと30分に1回は入るそうです。
土日は全て男性が行うように見直し、平日も男性が必ず入っているそうですが、それでも午後3時から6時の時間は人手が薄く、営業時間の2割は今も女性が対応しているといいます。
そこで当面の対応として、女性従業員の清掃に抵抗がある人には、なるべく配慮をするので事前に受け付けに申し入れてもらうよう掲示を入り口に設置しました。
「当館は衛生管理上、女性スタッフが男性浴場にも出入りをいたしております。望まないお客様には、極力出入りをご配慮いたしますので、事前にご利用時間を受付にお伝えください」

◆ 男性従業員も女性従業員も確保 人件費で難しさも
一方で、これ以上男性スタッフを確保することは容易ではないといいます。
男性が足りない時間帯に、新たに雇うとなると年間の人件費は180万円~200万円必要になるそうですが、コロナ禍で利用客が減ったことに加え、昨今の物価の上昇が経営を圧迫していて、簡単に増やせる固定費ではないといいます。

店長「そもそもこの商売は売り上げの10%も利益が出ません。コロナ前まで利用客が戻っていないのに加えて、宴会などの利用もなくなりました。資材も高騰しており、赤字にならないように経営するのが精一杯で、これ以上は人員を増やせず悩ましいです」

◆ 男性トイレの清掃は?外国人からの要望で変化も
では、「男性トイレ」の清掃はどうなっているのでしょうか?7割が女性従業員だと言われているビルの清掃について港区に本社があるビルのメンテナンス会社に話を聞きました。

「女性従業員が男性トイレに清掃に入ってくるとギョっとするという声は、外国人の利用者から多く寄せられていました」

この会社では、東京オリンピックで多くの外国人が来ると見込まれたことをきっかけに、男性従業員による清掃を希望している外国人が多く働くビルのトイレ清掃は男性が行うことにしました。
新たに5人の男性従業員を確保。
慢性的な人手不足の業界で、男性従業員が増加すればさらに事業を拡大できます。
男性従業員による男性トイレの清掃を求めるビルは他にもあるだろうと、他のビルの管理会社にも提案しましたが、返ってきたのは思いもよらないことばだったといいます。

「てっきり喜んでもらえると思っていたら、『綺麗に掃除してくれるだろうから、女性にやってほしい』と言われてしまうことがありました。男性従業員も同じ様に育成しているので実際には綺麗になるのですが、イメージの問題が大きい。実際にトイレを使う人からは『男性がいい』という要望があることを、管理会社やオーナーがもっと理解してくれればいいのですが……」 

◆ それって当たり前?男湯と男性トイレから見る“いま”
今回、NHKに寄せられた男子高校生の投稿をきっかけに取材を進めてみると従業員の確保の問題や、人件費といった課題に加えて、「男性なのに気にするな」といった風潮や「清掃は女性の方が…」といった先入観が壁になっていることが見えてきました。
利用する側も働く側も、心地よく安心できるようになるにはどうしたらいいか、こうした声を受け止め変わっていく必要があるのではないかと感じました。
NHKの情報提供窓口「ニュースポスト」では“当たり前”への違和感や身近な困りごとについても、皆さんからの情報をお待ちしています。

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以上です。いかがでしょうか。 

公衆浴場の脱衣場や浴室は、"異性の存在を前提としない場" です。そこへいきなり異性が入ってくることは、本来はあってはいけないことだと思います。 
しかし、それが男性に対してはまったく担保されていないというわけです。

温浴振興協会が行ったアンケート調査結果によれば、「気にしたことがない」が5割,「男女どちらでもいい」が2割ということで、約7割の男性が脱衣所や浴室の清掃を女性が行っても平気ということのようですね。たとえ少数派だったとしても、男性の性的羞恥心を踏みにじっていいということにはなりません。 

もっとも、この回答には年代による差が出てきそうだなと思います。若い世代のほうがより羞恥心が強い傾向があり、女性スタッフによる清掃により強く抵抗感を持つのではないでしょうか。この記事が書かれるきっかけを作ったのも高校生でしたし、温浴施設へ是正するように意見を出す男性も20~30代の方が多いようです。 

また、「男は恥ずかしがるべきではない!」とのジェンダー規範による抑圧の影響 も無視できないでしょう。意識していたとしても意識していなかったとしても、程度の差こそあれ、すべての男性がこの抑圧下で生きています。男性としてこの世へ生を享けたその瞬間からです。そのため、本当は女性スタッフが脱衣場や浴室へ入ってくることに対して羞恥心があり、不快感を抱いているのだとしても、それを表出できない男性も実のところ多くいると予想します。潜在的には、もっと多くの男性が不快感を持っているのかもしれません。
(性的羞恥心が麻痺してしまっている男性も多く居るのではないでしょうか。これもジェンダー抑圧の結果ではないでしょうか) 

羞恥心を公に表出することが社会的に許されており、羞恥心に対する配慮が当たり前のように行われるというのは、いうなれば女性の "特権" です。 
女性の性的羞恥心に対する配慮は誰しもが当然のように行うし、もし不十分であれば女性が直ちに声を上げ、基本的には速やかに是正されるようになっています。  

それに対して、羞恥心の表出が許されず、羞恥心に対する配慮をほとんど受けられないのが男性です。ジェンダー抑圧により性的羞恥心の表出じたいを禁じられているため、問題視すらされません。勇気をもって声を上げる人が現れても、その人を待ち受けているのは苛烈なバッシングあるいは無視です。
(ジェンダー規範に縛られた男女からのバッシング,性的羞恥心が麻痺している男性からのバッシング,羞恥心に対する配慮を男性が求めることを許したくない "特権" の上に胡坐をかいた女性からのバッシング……… etc.) 

しかし、この社会は少しづつですが変わってきているようにも感じます。 
声を上げる男性が確実に増えてきています。これが一番大きいです。臆せず声を上げる人が増えれば増えるほど、問題が認知されるようになるからです。  
「男性が恥ずかしがっても良い」「男性だって性的羞恥心への配慮を求めて当然」という感覚が社会の常識となる日が、遠くない将来には訪れたらいいですね。
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兵役義務(徴兵制)は国家による男性に対する人権蹂躙である

2022-08-07 18:23:04 | 男性差別 V (社会の制度に関わること)
兵役義務(徴兵制)は国家権力による男性のみを対象とした人権蹂躙であり苦役の強要である。 最大にして最悪の "男性差別" である。 
残念ながら、たいていの軍隊組織は極めて不健全であり、理不尽ないじめ・シゴキや暴力が当たり前のように蔓延っているものである。国家権力が、ただ「男性に生まれた」という理由だけで、全ての男性を強制的にそのような組織へぶち込むのが兵役義務(徴兵制)である。
これは極めて重大な人権蹂躙であり性差別であるが、そのことをまともに問題として議論されることすら無い。 

折しも、ロシアによる軍事侵攻を受けるウクライナにおいて、「18~60歳の全男性の出国禁止」という措置が当たり前のように取られている。もちろん、武器を持って国のために闘えというそういう意図であることは明白であろう。また、ロシアは徴兵制が健在の国であり、ウクライナへ出撃したロシア兵の中には、徴兵によって意に反して軍隊へ入隊させられたうえで、戦地へ連れてこられて破壊と殺戮に従事させられている者も少なからず居るのではないだろうか。考えるだけでおぞましいことだ。 

日本の隣国である大韓民国にも兵役義務(徴兵制)がある。そのことについては以前も記事に書いたので、そちらもあわせて読んでいただけたら幸いである。 

兵役義務(徴兵制)は最大の "男性差別" である - Nikkoh の 徒然日記

兵役のいじめや体罰。韓国人YouTuberが語る『D.P.-脱走兵追跡官-』(ジン)韓国を語る上で欠かせない「兵役」。最近では、BTSの兵役はあるのかないのか、あるならいつなの...

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2022年6月に、朝鮮日報が大韓民国の兵役義務(徴兵制)によって人権を蹂躙されている若年男性の悲惨な状況について、最新の状況を報じた。ここではその内容を紹介してみたい。 

軍隊めぐる不公平感…韓国の20代男子「同期女子はもう就職、自分は兵役後授業にも付いていけず」

軍隊めぐる不公平感…韓国の20代男子「同期女子はもう就職、自分は兵役後授業にも付いていけず」

軍隊めぐる不公平感…韓国の20代男子「同期女子はもう就職、自分は兵役後授業にも付いていけず」

 
 

24歳大学生の話 
・ 「軍隊は思い出したくない記憶」 
・ 「3日に1回は徹夜しながら任務に就いたため、服務期間中は常に熟睡できなかった」
・ 同じ大学の女性の同期たちが海外に語学研修に向かう中、休暇1日取るのに躍起になっている自分自身を見ては「一体何をやっているのか」と恥ずかしささえ覚えた。
・ 復学後の専攻授業では、簡単なプログラミング関数さえも覚えることができず、しばらく戸惑った。
・ 「他人は『最近軍隊が楽になった』と言うが、私の立場からすると青春の一部を犠牲にしたも同然」 


朝鮮日報が陸海空軍、および海兵隊現役将兵と兵役終了者、将兵の家族など2224人を対象に実施したアンケート 
(回答者の73.8%(1642人)は現役将兵で、兵役終了者は23.6%) 
・ 兵役経験者のうち89.4%は、兵役経験のない人々に対して剥奪感(世の中の不公平のために自分が損をしているという感覚)を感じたことがあると回答。 
・ 回答者の 72.8% は「徴兵制は男性に対する差別」と回答。 
・ 将兵の 87.9% が「兵役が就職や学業などの社会復帰に障害となる」と回答。
 

22歳 陸軍1等兵の話 
・ 「家庭と学校では男女間に差別なく育ってきたが、とりわけ軍隊だけが何の補償もなく『男は行って当然』と言われるのは受け入れがたい」  
・ 「進明女子高校の生徒たちが書いた慰問の手紙のように、軍人を『軍カンス』(軍とバカンスを合わせた造語)、『軍バリ』(軍人を見下す俗語)とばかにする女性たちを見ると腹が立つ」
 

23歳 昨年陸軍兵長として兵役を終えた男性の話 
・ 「軍隊は以前よりも居心地が良くなったのは事実だが、高齢者たちはその補償で軍加算点のような社会的恩恵を享受した」 
・ 「1980年代半ばまで現役判定率(徴兵検査で合格とされる率)は60%にも満たなかったが、われわれの世代は社会服務要員まで合わせると90%台の現役判定率で服務している」


24歳 昨年入隊した男性(公認労務士を目指している) 
「軍ではいくら努力したところで勉強時間の確保は難しい。私にとって入隊とは経歴の断絶を意味する」
 

24歳 大学生男性 
・ 「復学した学期にグループ別課題の班長を引き受けたが、ズーム(Zoom)で画像会議を開く方法も知らなかった」 
・ 「コロナ禍で企業の採用まで急減したが、単位(学業成績)のインフレを享受した後輩たちと競争できるか心配」


24歳大学生 
「卒業した同級生女子たちは、すでに就職戦線に乗り出しているが、私は大学の授業にも付いていけず、もどかしかった」


韓国国防研究院の責任研究委員 
・ 「20代の若さで1年6カ月を失うということは、人生のキャリアを揺るがすほどの大問題」 
・ 「人口減少により現役判定率が80%を上回る状況で、兵役による剥奪感をどのように解消していくか、社会全体が共に考えていかなければならない」


深刻化する軍隊ストレス…韓国20代男性のうつ病、5年で2倍に

深刻化する軍隊ストレス…韓国20代男性のうつ病、5年で2倍に

深刻化する軍隊ストレス…韓国20代男性のうつ病、5年で2倍に

 
 

韓国健康保険審査評価院から入手した資料 
・ 2021年にうつ病と診断された20代の男性は5万8649人(5年前の2016年(2万7891人)に比べて約2倍以上) 
・ 2016年には男性の全年齢層のうち、うつ病を患っている20代が、10代、80代以上、30代に次いで4番目に少なかった。
・ 2021年は20代の患者が男性の全年齢層のうち最多。


専門家らの指摘 
・ 兵役に対するプレッシャーが20代の男性たちをうつ病へと追い込む最大の原因。


建国大学精神健康医学科 教授の話 
・ 「過去に比べて男性の感受性がはるかに敏感になった」 
・ 「高齢層の男性はうつ病を患っても隠していたが、20代の男性は『大変なことは大変なこと』と捉え、積極的に精神科を訪れる」 


精神健康医学科の専門医の話
・ 「精神科を訪れる20代男性の半数以上は軍隊での問題を打ち明ける」 
・ 「『ヘリコプター・ママ』という言葉のように、親の過保護・過干渉の下で育った若い世代は、家庭と学校で統制された経験が少ないため、軍で初めて経験する社会との断絶に対する不安と恐怖が大きい」
 

翰林大学聖心病院精神健康医学科 教授の話 
・ 「就職競争が激しくなり、若い世代が兵役を控えて感じるプレッシャーも共に増えた」 
・ 「20代初めから20代半ばの男性は学業断絶から来るストレスに苦痛を感じている」
 

26歳男性(2019年に陸軍除隊)の話 
・ 「分隊長時代、自殺すると言った後任を2人見た。1人は実際に手首を切った」 
・ 「2人とも普段から『なぜ私がここにいなければならないのか』『除隊後、社会に再び適応できるだろうか』という不安を口にしていた」


精神科疾患で現役入隊対象から除外される人は、年々急増している。兵務庁によると、
・ 神経精神科疾患により現役判定で不合格(5-7級)となった人数は10年間で2倍になった。 
 (2010年の3401人から20年の6870人へ) 
・ 現役入隊したものの、精神疾患の問題で帰宅措置となった人数も10年間で3倍以上になった。 
 (訓練所への入所後に精神科疾患で帰宅した入隊兵は、2010年は1468人だったが、2020年は4481人)2010年(1468人))


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個人的には、このような記事がきちんと出されるようになったということがまず喜ばしい。兵役義務(徴兵制)では明らかに男性のみが著しい不利益を受けている。心身の健康を害している。この重大な問題をきちんと認識しようとする動きが出てきていることは、(ようやくかという呆れもあるが)素直に嬉しい。
また、若年男性がきちんと弱音を吐けるようになってきている印象を受けて、これも大切なことだと思う。男性差別や男性の被害者性に目が向きにくいのは、そもそも男性が弱音を吐いたり被害を訴えたりしづらいということが大きな要因であろう。(そのような行為を「男らしくない」として禁じられるのが、男性に対するジェンダー抑圧なのである) 
男性が弱音を吐いて何が悪いか。苦しい時に苦しいと言って何が悪いか。女性と同じ程度にそのようなことが許容されるべきだろう。法の下の平等が保障されているというのならば、当然のことだ。 

この問題は根深くて、まだまだ是正には程遠いだろうと思う。いばらの道であることは間違いないだろう。 
そもそも女性にとっては "他人事" であり、徴兵対象から外れた中高年以上の男性にとってもまた "他人事" である。そのこともまた障壁を高くしていると感じる。 
僕は、「男性として生まれたから」というだけの理由で暴力と理不尽が蔓延る組織へぶちこまれて苦しい思いをする男性が、この地球上からいなくなることを心の底から願う。「男性だから」という理由だけで、意に反して武器を持って敵を殺すように国家権力に命じられ、心身を病んだり最悪の場合には生命を落としたりする男性がもうこれ以上増えないことを心の底から願う。
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