中国貴州省とそこで暮らしている苗族トン族等の少数民族を紹介しています。

日本人には余り馴染みのない中国貴州省と、今私が一時滞在中の雲南省や大理白族自治州大理古城について

雲南省楚雄市の禄豊酢

2015年01月17日 | 少数民族の食べ物

私も最近知ったのですが、日本でも雲南省楚雄市禄豊県で作られる醋は結構有名の様です。それで、その禄豊醋を探していたのですが、先日大理州の某スーパーで売られているのを見つけて買ってみました。430ミリリットル入りで値段は5.3元でした。何時頃から、日本でも禄豊醋が知られ、売られる事になったのかは分かりませんが、日本へも輸出されているとの事です。

中国では、醋と云えば、山西省の老陳醋や江蘇省の鎮江醋が特に有名で、山西省等は度々訪れた事もあり、山西省や江蘇省の醋の存在は知ってたのですが、雲南省楚雄市の禄豊醋は今に至る迄、全く知りませんでした。大理州の食堂等に置いてある醋も、殆んどが、山西省の老陳醋(注:商品名)か鎮江醋で、そもそも禄豊醋を見かける事は滅多にありません。これは、大理古城等では雲南省人より、他所の市や省から大理州に来て飲食店を経営している人が多い事にも関係しているのかも知れません。

中国人でも醋と云えば、先ず山西省や江蘇省の醋を挙げると思われ、雲南省人でも意外に禄豊醋を知っている人は少数派に属するのかも知れません。それ程食堂等の飲食店に置いてある醋は山西省や江蘇省の香醋が多いのが実情の様です。

ネット等で調べると禄豊醋は、その歴史も大変古く、明王朝は天启時代(1621年から1627年)には朝廷への献上品として納められ、皇帝の食膳に上ったとの事ですので禄豊醋は、既に約400年もの歴史がある香醋として中国の一部では良く知られている様です。清王朝の康熙帝の時代に書かれた「雲南府誌」には、「禄豊醋は明王朝天启時代禄豊で、陳と云う人により製造が始められ、「帛」に原料を入れ発酵させ造り」と云う様な記述があるとの事です。その後も清王朝の時代にも朝廷に献上品として納められ、禄豊醋は明、清の二代の王朝に亘り献上されたと云う古い歴史があるそうです。禄豊醋も、鎮江醋と同様に良質な糯米を原料にして作られるとの事ですが、鎮江醋は黒醋とも呼ばれている様です。因みに、中国では大変に有名な山西省の醋の原料は高粱やトウモロコシ等の事で、その点が鎮江醋や禄豊醋とは違う点の様です。

日本のネット等には、禄豊香醋に関しての宣伝があり、昔ながらの製法が依然守られとかの記載がありますが、それは違う様です。昔は、帛と云う絹や麻布等で作った容器に原料を入れて発酵させて造ったとの事で、その布に醋を染み込ませ、その後、その布を乾燥させていたそうですし、その醋を食する時には、その醋が染み込んだ布を切り、水やお湯に浸した後に食したそうです。この様に乾燥した香醋は運送に便利でその故もあり、その昔は雲南省は無論の事、南のシルクロードを通じて海外にも運ばれたそうです。

1970年代に入り、香醋の製造工程も一部近代化されたとの事で、当然昔ながらの製法で今も造られている訳ではありません。今では工場で働く職人も高齢化しており、後を受け継ぐ若い人も少ないので如何に後継者を育てるかが最近では問題となっているとの事です。私は楚雄市の禄豊県には一度行った事はありますが、その時には禄豊香醋の事は知りませんでしたので、その工場がある処を素通りしてしまいました。禄豊県は世界最大規模の恐竜の化石が発見された処としての方が今は有名の様です。また、禄豊県には黒井と云う有名な2000年近くもの歴史のある塩の産地がありますが、そちらも有名で、私はその黒井と云う漢の時代から続く古い歴史のある鎮には行った事はありますが、残念ながら禄豊醋が作られている処へは行かず仕舞いとなりました。恐竜にも興味が無いので、恐竜の郷と呼ばれる場所も見学してません。

禄豊香醋は香港や日本へも輸出されているとの事ですが、何時頃どんな人が日本への輸出を思い立ったのかは分かりませんが、抑々どんな人が禄豊香醋を日本へ持ち込んだか興味のあるところです。尚、楚雄市の禄豊醋は、2013年には雲南省の非物質文化遺産として登録されたそうです。


スーパーで見かけた禄豊香醋。山西省の老陳醋等と違いやや甘い感じがします。「まろやか」と云うのか、このままでも飲んでも意外に抵抗なく飲めます。

 

禄豊香醋の原料は、良質な糯米と麦麩のみで作られるとの事。原材料表示には、水、もち米。麦麩、食品添加物として安息香酸ナトリウムが添加されています。山西省の老陳醋の様に塩も入っていないので甘く、まろやかな感じがします。5.3元。思いの外大理州でも、この禄豊香醋が置いてある店は少ない様です。

新聞等に拠れば、雲南省には「通海醤油、禄豊醋、新興姑娘、河西布」と云う様な云い方があるそうですが、私もその通海産の醤油を探しているのですが、まだ売っているのを見つけていません。以前山西省を訪れた際、山西省の醋をお土産に貰った事があり、体に良いので醋はそのまま飲んでも良いと云われ飲んだ事もありますが、あまり口当たりが良いとは云い難く、すぐ止めて仕舞いましたが、禄豊醋は口あたりも良く、抵抗なく飲めます。

 

 



最新の画像もっと見る