中国貴州省とそこで暮らしている苗族トン族等の少数民族を紹介しています。

日本人には余り馴染みのない中国貴州省と、今私が一時滞在中の雲南省や大理白族自治州大理古城について

中国での江歌事件の報道について

2017年12月22日 | 日本と中国

最近はあまり覗かないのですが、私が割合良く覗く中国語のサイトは澎湃新聞、新京報、南方週末等のごく限られたサイトです。中国語サイト「澎湃新聞」では、江歌案で検索すると12本程(12月22日の時点)の記事が掲載されています。また、新京報(電子版)にも、江歌案についての記事が28本も掲載されており、この事件の中国での関心の高さが伺い知れます。

最近は中国中央テレビのニュース専門チャンネルは、見てないのでこの事件がTVでどの様に報道されたのかは全く分かりません。また、私の微信の朋友圏でも、この江歌案(中国語の案とは事件を指す)の記事を転載する人も多いと共にこの事件で発信する人も多く、この事件に関する関心の高さを肌で感じる次第です。

中国語のネットサイト「澎湃新聞」では、12月20日付で「江歌案件・運命的な出会い」と題してかなり長文の記事を載せています。二年の間に、三人の青年が如何に出会い、知り合いとなり、悲劇で終わる運命的な出会いとなったかを追った大変良い記事となっています。

この事件の被害者である江歌と云う女性が直前迄働いていたバイト先の店長や日本人のバイト仲間、中国人バイト仲間にも取材をしており、他の記事とは一味違った記事となっています。

この記事に拠れば、今回事件に巻き込まれ不幸にも無くなった江歌と言う女性の評判はとても良かった様です。遅刻はしない、周囲に気配りをする、人手が足りない時には、時間があれば出勤する等等江歌を知る人は皆、彼女の人柄を褒めたたえています。

母子家庭だったとの事ですが、とても母親思いの、所謂孝行娘だったとの事です。彼女は近所の人や先生から見てもとても努力家で前向きな人だったようで、彼女の夢は日本の大学院を卒業した後には、自分で起業して経営者となり、将来は東京に家を買い母と一緒に住む事が夢だったとの事。

母親は、日本へ留学する娘の為に真っ赤なコートを買ったとの事ですが、それは若し地震に遭って家屋の下敷きになっても赤い色なら見つけ易いからとの思いからだったそうです。そのコートは900元もしたそうですが、娘の江歌にすれば今までの内で一番高価な衣服だったとの事。

日本語学校時代に、江歌と刘鑫は知り合ったとの事ですが、高校時代ある時期は家も近かったとの事。刘鑫は大東文化大学、江歌は法政大学へと進学し、大東文化大学で刘鑫は、今回の加害者陳世峰と出会い同居を始めたとの事。この記事の中でも刘鑫のバイト先の上司や同僚に取材して記事にしていますが、当然の如くに刘鑫のバイト先等の評判は良くない様で、注意されるとすぐふくれっ面をする等等この記事の中では刘鑫の人柄等では何一良い事は書いてありません。

刘鑫は江歌が亡くなった後も、なかなか江歌の母親に会おうとしなかった事や江歌の事件当時の様子も母親が尋ねても何一つ語ろうとしなかったので、母親は彼女に対する不信感を募らせるとともに、反感も募らせて行った様です。

今回の事件での多くの中国人の反応は人一人殺して懲役20年では余りにも刑が軽いと云う物です。懲役20年でも日本の法律では刑期が短縮され17 8年程で仮釈放されるのではないかとのニュースも流れており、余計に多くの中国人には刑の軽さが理解出来ない様です。満期で陳世峰が刑務所から出て来ても、彼はその時40代半ばで残りの人生も多く残されれいるが、24歳で殺された江歌の無念さを思うと到底納得が行かないと云う人が多い様です。日本の刑法は、中国の刑法より劣るとの的外れな指摘も多く見受けれます。

「世界華人週刊」と云う雑誌では、「懲役20年の陳世峰は日本の刑務所で快適に過ごす事が出来るだろう」と題して日本の刑務所での囚人の一日の過ごし方や三度の食事内容等が事細かく載せられています。また、満期にはそれなりの報酬も払われる事や刑務所の中で色々な技術を習得出来る事等も紹介してあります。

この記事の中では、刑務所で刑に服する人とサラリーマンの労働時間の比較や通勤時間の対比も載っています。それに拠れば囚人は一日8時間労働、サラリーマンは残業を入れれば平均10時間、通勤時間は1時間、囚人は徒歩通勤で数分、残業はなし、サラリーマンはほぼ毎日残業とか、刑務所の中の囚人は三度三度きちんと食事を摂るが、サラリーマンは時により食事も抜く等、日本の囚人が普通のサラリーマンと比べても如何に待遇が良いかを記事にしていますが、この様な対比には意表を突かれる思いです。

今回の事件で、多くの中国人は日本の刑法と中国の刑法の違いを知った事と思います。また、日本の刑務所の様子等も初めて知った中国人も多かった事と思います。江歌の母親は中国で刘鑫に対する裁判を起こすとの事ですので、残された彼女はこれからも大変の様です。

 



 

 

 

 

 



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