中国貴州省とそこで暮らしている苗族トン族等の少数民族を紹介しています。

日本人には余り馴染みのない中国貴州省と、今私が一時滞在中の雲南省や大理白族自治州大理古城について

雲南省楚雄市石羊鎮の塩造り

2013年05月04日 | 少数民族の食べ物

雲南省と貴州省の違う点の一つとして、雲南省では各地で塩が採れるが貴州省では、塩がほとんど採れないという点が挙げられるのかも知れません。特産とも言える雲南省の塩は、岩塩から造った塩ではなく、そのほとんどは塩分を含んだ地下水を汲み上げ、その塩分を含んだ地下水を煮詰めて造った塩のようです。

雲南省楚雄市イ族自治州の大姚県石羊鎮でも古くから塩が採れたそうで、その石羊鎮の製塩の歴史はとても古く、時代は漢代までも遡る事が出来るそうです。やはり雲南の塩の産地として古くから有名で、歴史もある同じ楚雄市イ族自治州禄豊県にある黒井鎮の「黒井」に比して、この石羊鎮は「白井」とも称された事もあるそうです。
尚、この黒井、白井等の名称の「井」は、塩分を含んだ地下水をくみ上げる井戸を指したとの事。

 楚雄市イ族自治州大姚県石羊鎮の塩も約二千年もの長い間に亘り、塩を採り続けた事もあり、今ではその塩もほとんど採れなくなり大規模な製塩業はなくなったとの事ですが、大姚県石羊鎮では、かっては大変盛んだったであろうと思われる製塩の様子が今でも垣間見ることが出来ます。

まず、石羊鎮での塩造りの工程の第一歩は、地下から塩分を含んだ地下水を井戸から汲み上げて、その汲み上げた地下水を木製の樽に入れて屋根の上まで運んで、その塩分を含んだ井戸水を下の写真の様な巨大な施設の屋根の上から流すそうです。このようにすることで、先ず塩分を含んだ井戸水に含まれる異物や雑物を取り除くとともに、井戸水が下まで滴り落ちる過程の中で日差しも強いこともあり、より多くの塩分の含んだ井戸水になるという効果もあるそうです。

木造の三階建ての建物の外面は稲藁のような物で覆ってありましたが、残念なことに何というと言う植物かを聞くのは忘れてしまいました。階段を登りこの建物に登ると、屋根にも人が通る木道があり、樽に入れて屋根まで運んだ井戸水を天井から流し不純物等を取り除くそうです。また、塩分を含んだ井戸水を上から流すことで、水が下まで滴り落ちる過程で水分がある程度、蒸発するのでより塩分の濃い井戸水となり燃料が節約できるとの事。

 

下には異物が取り除かれてより塩分の濃い井戸水が落ちてくるので、その井戸水を煮詰め塩を造るそうです。建物の下には落ちてくる井戸水を貯める側溝が掘ってあり、そこに水は貯まる。

 

石羊鎮には、その昔に製塩に用いた建物が、今でも二棟残っていて、この建物を利用して細々と塩造りが続けられています。建物を覆っているのは稲わらと思い込んでいましたが、良く写真を見るとどうも稲わらでもないようです。てっきり稲わらと、かってに決め込んでいたので、どのような物で建物を覆っているのか聞かないでしまいました。失敗です。


建物の内部の様子。

 

不純物などが取り除かれ建物の下で集められた井戸水。これを煮詰めて塩にする。


いったん濾過された井戸水は、この様な木製の桶に入れられる。その後大竈の上にある鍋に入れて、煮詰める。どのくらいで塩が出来るかも尋ねないでしまいました。以前別な所で、家内工業的に製塩するところを見ているので、ついつい分かっているような積りで、あまり聞かないでしまい残念なことをしたと後悔しています。もう二度とここを訪ねる機会もないので余計に残念です。

 

その後、塩分を含んだ井戸水はこのようなやや小型の金属製の鍋に入れられ、煮詰められ塩が造られる。燃料は薪。大竈の上に、14個の小さな鍋に混じり大きな鍋が一つありますが、形にして固め出来上がった塩の含まれる水分を抜きさらに乾燥させるために使う鍋。こうしないと型にした塩がすぐに崩れてしまう。このようにして型にして乾燥させた塩はかなり硬いので、落とした位では割れないです。砕くには金槌が必要な程硬い。

 

鍋から取り出された塩。このようにして取り出された塩は型にされ、水分を抜きより硬くするため鍋入れて下から熱して乾燥させて塩が出来上がる。


出来上がった石羊鎮の塩。幾つかの型がありますが、これは主に観光客等に売るための塩のようです。昔の出来上がった塩は型も今とは違い大きさ、重さも決められており,出来上がった塩は、歴代の政府により独占販売されていたそうです。固められた塩は大変固く、金槌や刃物で砕かないと使えない程カチカチに固まっています。私もお土産として買って来ました。

 

貴州省には約三年滞在していましたが、貴州省では、ついに自然塩は見つけることが出来ませんでした。今は雲南省に滞在中ですが、雲南省に来て、まだ三ヶ月ほどですが、今私の部屋には、諾トウ鎮の塩、白羊鎮の塩、黒井鎮の塩と、すでに三種類の雲南省で造られた自然塩が置いてあります。改めて雲南省は塩が産出する所が多いことを実感する次第です。また、雲南省には雲南省昭通市塩津県等のように塩が付く地名も多いようで、その雲南省にある昭通市塩津県でも当然塩が採れるそうです。


この巨大な建物を覆っている物は良く見ると、どう見ても稲わらではないようです。私はハナカラ稲わらだとばかり思っていましたので、どのような物を使っているのか聞かないでしまいました。全くもって残念です。どんな物を使っているのか余計に気になります。

 



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