中国貴州省とそこで暮らしている苗族トン族等の少数民族を紹介しています。

日本人には余り馴染みのない中国貴州省と、今私が一時滞在中の雲南省や大理白族自治州大理古城について

「油茶」と言う植物油について

2013年09月06日 | 少数民族の食べ物

貴州省の黔東南苗族トン族自治州等には「油茶」又は「山茶油」と呼ばれる「山茶」と言う植物の種から採った植物油があります。なんでも、この「油茶」は、オリーブ油、ヤシ油等並んで、ビタミンE等を多く含み栄養豊富で、体に良い油として知られているそうです。「油茶」は、不飽和脂肪酸も多く、ビタミンEは菜種油、オリーブ油等と比べて2倍以上含んでいるとの事。

今から3年程前に、貴州省黔東南苗族トン族自治州の榕江県に行った時に知り合いの中国人から「油茶」の話を聞いた事がありましたが、その際には「油茶」がどんな物かは全く知らなかったので、その中国人から説明を受けても「油茶」が、どんな油なのかは良く理解出来ませんでした。

今年7月に貴州省貴州省黔東南苗族トン族自治州黎平県に行った時に、中国人の家で食事をご馳走になった際に、油で炒めた料理が大変美味しかったので聞いた所、「油茶」を使っているとの答えでした。それで、初めて「油茶」という植物油を使った料理を実際に食する事が出来ました。その地方の多くの家では、「油茶」を今でも使っているとの事でした。また、同じく黎平県のある村に行った時には、油を絞っている所は見学出来ませんでしたが、その「油茶」を作っている工場を見る事が出来ました。

 

中国では「野茶」或いは「白花茶」と呼ばれる、この植物の実から「油茶」を作るそうです。思うにこのように白い花が咲くので俗に「白花茶」と呼ばれるのかも知れません。

 

「山茶」は「野茶」とも呼ばれているそうですが、白い花はこの様な実をつける様です。
ツバキ科のツバキ族に属する植物との事。

 

実から種を取り出し天日で乾燥させているところ。乾燥させた後、この種から油を絞るそうです。手に取って、少しかじって見たのですが、確かにこの種にはたっぷりと油が含んでいました。

 

天日乾燥した実を、このような大鍋でさらに炒った後、圧搾機で油を絞るそうです。


この様な機械を利用して、この乾燥した実を圧搾して油を絞るとの事。残念ながら実際油を絞っているところは見ることは出来ませんでした。また、「油茶」を買おうと思ったのですが、今は手元に「無い」と言われ、ここでは買う事は出来ませんでした。

 

これは黔東南苗族トン族自治州の凱里市のスーパーで見かけた「茶油」場所により、この様に「山茶油」とも言う様です。今の所雲南省では、この「茶油」は見かけていません。

 

ネット等で調べるとこの「茶油」は、貴州省ばかりではなく、湖南省、江西省、広西チワン族自治区等で現在は年間20万トン程生産されているそうです。古くから中国では、この「茶油」は、宮廷への献上品の「油」としても知られると共に、明朝の時には、「茶油」は、止血剤や便秘薬、解熱剤等の薬としても用いられたとの事。また、この樹は大変硬いので「弾弓」「独楽」等の材料に用いられたそうです。(注:弾弓とは古代中国の武器の一種で、巨大なパチンコのような物で、これで石飛ばした。)

シラミに悩まされて居た人が、この樹を燃やした灰で髪の毛を洗ったところ、その後シラミがすっかり居なくなったので、ある村では昔から、この樹の灰で頭を洗っていたというような記述もあります。

 



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